「東京ゲームショウ2022」(TGS2022)が9月15日から18日まで開催された。ホールの一角には「インディーゲームコーナー」を設置。ここだけで80ほどの企業、団体、個人が出展している。国際色も豊かで、普段、日本ではあまり見かけないようなゲームと出会うこともあるだろう。
そのため、「インディーゲームコーナー」は、ジャンルや国籍などが異なる、さまざまなゲームがギュッと詰まった、まるで“おもちゃ箱のような場所”と言える。気鋭のクリエイターたちが自らゲームをアピールする会場では、大手のパブリッシャーとまた違った熱を感じられて楽しい。
そんなインディーゲームコーナーをぶらりと散策。今回は、展示されていた作品のうち、『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』を紹介する。
『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』(リアス)は、インディーゲーム開発者のピッチコンテスト「センス・オブ・ワンダー ナイト 2022(SOWN2022)」セミグランプリに選ばれた作品。「アダシノ島」と呼ばれる不思議な島に迷い込んだキツネとカエルが、家に帰る方法を探す物語だ。
同作では、島にいるさまざまな住民と会話し、「アダシノ島」の秘密を探す「探索パート」と、突然島の鬼から襲われる恐怖の「鬼ごっこパート」に分かれている。
試遊では、「アダシノ島」に迷い込んでから、情報を集め、追いかけてくる鬼から逃げ切り、旅館にたどり着くところでまでを体験できた。旅館もなにやら不穏な空気が漂っており、「え、このあとどうなってしまうの?」といったタイミングで終了したので、続きが気になって仕方がない。
島には、主人公の行く手を阻む黒いモヤモヤがあちこちに存在。祠を見つけて灯をつけると、モヤモヤが消え去り、探索できるエリアが広がっていく。鬼ごっこでは、回数制限のある線香花火のような「光」を駆使して鬼を足止めしながら逃げ道を探す。光の使用回数は祠で回復可能だ。
プレイしてみた印象では、光を使えば鬼から難なく逃れられたものの、進む方向を間違えると光の使用回数が不安になるレベル。本編でどの程度鬼ごっこパートが用意されているかわからないが、マップの理解と素早いルート選択が重要になってくるだろう。
“和”のテイストが織り込まれているグラフィックも魅力的。居酒屋のデザインや街中の雰囲気は、昭和の温泉街を彷彿とさせる。暗闇に浮かび上がる提灯の淡い光も風情を感じさせた。
一方で、鳥居やネオンの看板がほどよい不思議さと怖さを演出。場所によっては提灯の光が緑色だったり、どデカい能面が壁に飾ってあったりと、美しくも恐ろしい。そんななか、突然鬼が襲い掛かってきたときは「ヒェッ」となったが、「驚く」より「じわじわと不気味さを感じる」シーンのほうが多かった。
不思議で不気味。でもどこか懐かしさがある。そんな「アダシノ島」を舞台にどんな鬼ごっこが繰り広げられるのか、興味は尽きない。