スバルが新型SUV「クロストレック」を発表した。日本では「XV」、米国など海外では「クロストレック」の車名で売っていたコンパクトSUVをフルモデルチェンジし、車名を統一したクルマだ。日本での受注開始は2022年秋以降、発売は2023年以降の予定。9月15日のワールドプレミアの後、恵比寿のスバル本社(東京都渋谷区)で実車のお披露目があると聞いたので行ってきた。

  • スバルの新型「クロストレック」

    スバルの新型SUV「クロストレック」

キャラを立たせてライバルに差をつけろ

車名の「クロストレック」(CROSSTREK)は「クロスオーバー」と「トレッキング」を掛け合わせた造語。都市と郊外を自在にクロスオーバーし、気軽にトレッキングできる自由なクルマという意味が込められている。日本ではXVという車名で販売してきたが、クロストレックという造語で表現した意味合いがこのクルマに適しており、このイメージをさらに強めたいとの思いから今回、グローバルで車名を統一する。

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  • 新型「クロストレック」のボディサイズは全長4,480mm、全幅1,800mm、全高1,580mm。ホイールベースは2,670mm、最小回転半径は5.4m、最低地上高は200m、車両重量は1,540kg~1,620kgだ(本稿の数値は日本仕様プロトタイプのスバル社内測定値を記載)

新型クロストレックは通算3世代目(初代は2012年、2代目は2017年発表)にあたるクルマだ。つまり、現行型XVがフルモデルチェンジして3代目クロストレックになると考えればいい。

パワートレインは2.0Lの水平対向エンジンにモーターを組み合わせた「e-BOXER」(マイルドハイブリッド)のみ。発表会では将来的にストロングハイブリッド、プラグインハイブリッド(PHEV)、電気自動車(EV)といった電動車のラインアップを追加するかどうかについて質問が出たが、「今後の商品計画なので」(スバルの中村知美社長)非公表との回答だった。ただ、スバルは環境技術に関するロードマップの中で、「2020年代前半にCセグメントのSUV」でEVを投入する方針を明言しており、「トヨタハイブリッドシステム(THS)の技術を取り入れたストロングハイブリッド車を2020年代中盤には発売したい」との意向も示しているので、クロストレックに今後、さらなる電動車のラインアップが増えても不思議ではない。

  • スバルの新型「クロストレック」
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  • 新型「クロストレック」の車内は室内長1,930mm×室内幅1,505mm×室内高1,200mm

スバルが日本市場で初めて採用する広角単眼カメラにより、安全運転支援システム「アイサイト」の性能も向上している。カメラの広角化により、特に横方向からの飛び出しに対する検知能力が上がっているという。ちなみに「レヴォーグ」が装備している「アイサイトX」は非採用。競合車の多いコンパクトSUVなので、価格上昇を抑えたいという思惑もあったようだ。

開発責任者の毛塚紹一郎さんによれば、新型クロストレックが属するコンパクト~ミドルサイズSUV市場は需要拡大を続けてきたものの、多くの競合車が登場した結果、いまでは飽和状態となっている。新型の開発ではクロストレックの存在感を示すため、商品力を磨き上げたという。

XV(2代目クロストレック)はインプレッサをベースとするSUVだったのだが、今や販売台数はインプレッサを超え、スバルにとっては「フォレスター」「アウトバック」と並ぶ量販車種の1つとなった。日本ではホンダ「ヴェゼル」、トヨタ自動車「カローラクロス」、日産自動車「キックス」などが競合となるコンパクトSUVだが、ライバル達はどちらかというと都市型あるいはクロスオーバーとしての価値で勝負している。スバルとしては人気のXVが強みとしているアウトドアのイメージをさらに強め、競合と明確な差別化を図りたい意向のようだ。

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