キリンビールは9月27日より、さわやか辛口の『麒麟 発酵ジンジャーサワー』(350ml缶・500ml缶)を全国発売する。ジンジャーとレモンのすっきりした味覚が特徴。担当者は「キリンのおいしいお酒づくりの原点である”発酵”技術を取り入れました。既発売の『麒麟 発酵レモンサワー』に続く商品となります。新しいフレーバーを求めるお客様にお届けしていければ」とアピールする。

  • キリンビールから、さわやか辛口の「麒麟 発酵ジンジャーサワー」が発売される

開発の背景 ー マッチングに1年を費やす

『麒麟 発酵ジンジャーサワー』は、発酵ジンジャー×レモンによる味わい豊かで甘さ控えめの、すっきりとした味覚が特徴。ジンジャーを乳酸菌で発酵させたことで、アルコールとしょうが由来の辛味を低減し、まろやかな味わいに仕上げた。香料・酸味料・甘味料は無添加。レモンの酸味成分とジンジャーの辛み成分のバランスで、ふたつの素材を調和させている。

  • パッケージは、さわやか辛口の中味をイメージさせるデザイン。既発売の『麒麟 発酵レモンサワー』との親和性も持たせた

  • 価格はオープン。アルコール分は6%、果汁量は7%となっている

新商品は、どのような背景で開発されたのだろうか。キリンビール マーケティング部の田中寛人氏は、その前提として「昨今の市場動向では日常生活を豊かにしたいという期待が向上しており、酒類にもその兆しが見えています」としたうえで「自宅飲用の機会が広がったことも後押しとなり、いま高単価のRTD(Ready to Drink、栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)が伸び続けています。そのなかでも食事に合う、すっきりした味覚が支持される傾向です。たとえば『氷結 無糖』の2022年1月~8月の販売規模は、前年比で約1.6倍まで拡大しました」と報告する。

  • キリンビール マーケティング部 RTDカテゴリー戦略担当 主務の田中寛人氏

現代の消費者がRTDに期待していることは「新規性」と「安心感」。そこからは新しい味を試したいけれど、失敗はしたくないという消費者心理が読み取れるという。そこでキリンビールでは、他社が真似できない”発酵技術”の強みを生かした新商品の開発を進めた。

田中氏は「私たちはお客様の気持ちに、発酵サワーブランドらしくしっかり応えていきたい。発酵サワーならではの食事に合う、すっきりとした新しいおいしさをお届けしていければ」と話し、下半期の販売展開に期待を寄せる。

  • RTDへのお客様期待

続いて『麒麟 発酵ジンジャーサワー』の開発背景について、キリンビール マーケティング部の増崎瑠里子氏が説明した。そもそも新商品の開発では、素材(果物、穀物、根菜など)×発酵菌(酵母、麹、乳酸菌など)の組み合わせを1年間かけて73パターンも試したという。その結果、ジンジャーに可能性を見出した。しかし次の段階として、ジンジャーと酵母の間でうまく発酵できず、失敗を繰り返してしまった。

「ジンジャー特有の良さを活かしつつ、発酵を進めるにはどうしたら良いのだろう。開発に時間はかかりましたが、ジンジャー×レモン×乳酸菌のベストマッチを見つけることができました」(増崎氏)。

  • キリンビール マーケティング部 商品開発研究所中味開発グループの増崎瑠里子氏

  • 開発背景

ジンジャーは「身体に良さそう」「ピリッとした刺激が食事とも合いそう」というイメージはあるが、一方でRTDにすると「辛くて飲めないのではないか」という心配もある。しかし増崎氏によれば、ジンジャーを発酵するとショウガオール(辛味成分)の一部が別の成分に変化するためにダイレクトに刺激のある辛味は減少し、まろやかな味わいになるとのこと。またレモンに含まれるクエン酸、リンゴ酸も乳酸菌との発酵により酸っぱさが低減して穏やかな酸に変化すると解説する。

  • 現在、特許出願中のおいしさのポイント。まろやかな味わいながらも、アルコール由来の辛味(のどが焼けるようなバーニング感)も残せたと説明する

  • 一般消費者を対象に行ったモニター調査でも、飲みやすく、味のバランスが良く、これまでのレモンサワーとは違う新鮮さがあると好評だった

辛くないの?試飲してみた

実際に、発売前のサンプル商品を試飲する機会を得た。缶を開け、氷の上に注ぐと乳白色のなかに微炭酸の泡が浮き上がってくる。グラスを口に近づけるとレモンのさわやかな香り。この時点でジンジャーの匂いはしない。

  • 350ml缶を開けた

  • 乳白色のなかに微炭酸の泡

そこでひと口飲むと、ほどよい炭酸とともに果汁感、そして中盤あたりからジンジャーのマイルドな辛味が舌先に伝わってきた。とは言っても”辛口のジンジャーエール”のような強烈な個性とは違い、どこまでも上品な辛味。なにより切れの良さがあり、味を引きずらない。この爽快感はジンジャー特有の効果だろう。

  • ジンジャー特有の切れの良さがある

次は「国産炙り帆立(塩味)」「鶏ハラミ直火焼き」といった缶詰をツマミに飲む。なるほど、さわやか辛口の『麒麟 発酵ジンジャーサワー』は魚介と鶏肉、どちらとも相性が良い。帆立、あるいは鶏ハラミの後味を邪魔せず、けれど飲み終わりには口のなかがサッパリしている。ツマミの旨さも引き出す、そんなサワーに仕上がっているようだ。これから旬を迎える秋刀魚の塩焼きなどとも合わせてみたいと思った。

  • 国産炙り帆立(塩味)、鶏ハラミ直火焼きなどとも相性が良かった