ライフスタイルが大きく変わる中、ビジネスシーンにおいてもカジュアルな装いが浸透しつつある。ビジネスパーソンにはおなじみのスーツ専門店「洋服の青山」が、変革と挑戦を掲げて新展開するビジネスカジュアルブランドを紹介したい。

「ACTIBIZ(アクティビズ)」「ANCHOR WOMAN(アンカーウーマン)」

コロナ禍で大きく変化したライフスタイルを反映し、ビジネスシーンでの装いを改めて見つめ直した「洋服の青山」が、カジュアルブランド展開を始める。発表会には、フリーアナウンサーの新井恵理那氏、社会学者の宮台真司氏が新ブランドを身に着けて登場。スーツ、ビジネスなどについて語った。

コロナ禍以前から、暮らしと働き方は多様化しており、誰もが当たり前のようにスーツを着る時代は終わりを告げようとしている。

制服のようなスーツスタイルより、いかなるシーンにおいてもパフォーマンスを上げることこそ重要。個性を際立たせる装い、これからの社会生活に最適なスタンダードとなるべく服を提案することを同社は目指している。

メンズとレディースを融合させ、世界観を同じに

スーツもそろそろ、「男性だから」「女性だから」といった性役割を軽やかに飛び越えて選びたい。新ブランドのビジュアルイメージは、メンズとレディースを融合させて、同じ世界観の中で表現しているのは評価すべきポイントだ。

メンズの新ブランド「ACTIBIZ(アクティビズ)」のコンセプトは、「快適な社会生活のための服」だ。洋服の青山が創業から58年培ってきたノウハウを活かした、誰もが気楽にコーディネートして自由なスタイルを楽しめるビジネスウェアとなった。

アイテムはジャケット、パンツ、シャツのみならず、ニット、カットソーといったコーディネートアイテムまで幅広く展開。どう組み合わせても調和の取れたスタイルとなることに注力している。機能性の高い素材が使われ、着心地もよさそうだ。

レディースの新ブランド「ANCHOR WOMAN(アンカーウーマン)」のコンセプトは「いつも、自分コンフォート」だ。キャリア志向のスーツではなく、肩の力を抜いて自分らしい装いができる服が欲しいという声を大切にしている。確かに、第一線で活躍する女性のキメすぎないスーツ姿も最近よく見かける。そんな感じの“こなれ感”と上品さを感じさせるラインナップとなっている。

新井恵理那氏と宮台真司氏、スーツと働き方を語る

新井恵理那氏は、ブラウンのセットアップで登場。上下合わせているのでワンピースのように見えるが、実は別々に着ることもできる。宮台氏は、ゆったりシルエットのセットアップにホワイトのバンドカラーシャツ、足元はレザースニーカー。

トークの冒頭で、二人とも「人生最初にスーツを誂えたのは洋服の青山だった」ということがわかり、盛り上がった。その後は、コロナ禍以降の働き方について話す。

新井氏は働き方の自由度が上がっていることを実感しているという。自身の仕事柄、衣装と私服の取扱いについて不便もあったというが、選択肢が増えることを好意的に見ているようだ。

宮台氏は自身の働き方や服装に大きな変化はないとしながら、日本人の生産性の低さについて指摘。「コロナ禍により、図らずも働き方が見直されたことにより生産性が上がるのであれば不幸中の幸い」とも述べた。

スタンダードな働き方に必須となるもの

悩み多きビジネスパーソンへのヒントになる質問や回答もあった。「これからのスタンダードな働き方に必須となるものは」と問われ、新井氏は「欲」と答えた。さまざまな選択を迫られる中で、自らの欲に素直になることの重要性を力説した。

宮台氏は、「空っぽから充溢(じゅういつ)へ」という回答を示した。「僕らが子どもの頃は安全快適便利なものを作れば売れた。今はそうした製品より、価値を感じる製品を求めている。自己の内面から湧き出る価値に従うことが重要だ」と述べる。

また宮台氏は、「これからは見かけよりも中身の時代。だからこそ自分の価値を、着ているもので表現することが重要。洋服の青山のカジュアルブランドの展開はとてもいい方向性だ」と評価した。