俳優の役所広司が主演を務めるオリジナルドラマ『THE DAYS』が2023年にNetflixで全世界同時配信されることが14日、わかった。
同作は、2011年に起きた福島第一原発事故を入念なリサーチに基づき、三つの異なる視点から克明にとらえたオリジナルドラマ。あの日あの場所で本当は何が起こっていたのかを、政府、会社組織、そして現場で命を懸ける者たちそれぞれの視点から緊迫の7日間を描いている。Netflixシリーズ初主演となる役所は、最前線で指揮をとった福島第一原発所長の吉田昌郎さんをモデルとした人物を演じる。
同作の企画・プロデュースは『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズなど大ヒット作を手掛ける一方、『はだしのゲン』といった骨太な社会派ドラマを世に送り出してきた増本淳氏。監督には、『コード・ブルー』シリーズで増本氏と長年タッグを組んできた西浦正記氏と、『リング』シリーズの中田秀夫氏が2人で担当する。
コメントは以下の通り。
■役所広司
最初は題材が題材なだけに「これをエンターテインメントにしていいのか?」という気持ちがありましたが、プロデューサーの話をお聞きして意義を感じ、出演を決めました。私が演じた役は、チェルノブイリでさえ経験しなかった全電源喪失といった極限状況下でも信念を持って指揮をとるリーダーですが、英雄として描かれるわけではありません。原子炉が落ち着いた後も続く、事故に対する彼の終わりなき問い、そこにこそ本作の意義があるのだと思います。
■増本淳プロデューサー
勇気ある者たちが日本の危機に立ち向かったという美談、英雄譚にはしたくありませんでした。原案のタイトルにもあるとおり、4機の原子炉が同時に暴走するという、まさに死の淵に立たざるを得なかった人々が味わった恐怖と不条理をできうる限り事実に忠実に伝えることをテーマとしました。そして、10年以上が経過した今もなお終わりの見えないこの事故の存在を世界の人々に忘れずにいてもらいたいという願いから制作に至りました。
■西浦正記監督
映像化には苦労しました。3.11のニュース映像は世界中が目にしている。現実の映像が持つ迫力にどれだけ迫れるかは大きな挑戦でした。とは言え、空撮を多用したハリウッドのディザスター映画のようにはしたくなかった。地を這う者の目線にこだわり、被災した人々の恐怖を少しでも自分のものとして感じてもらえるようにしました。また、役所さんをはじめ、普通の人として演出することも挑戦でした。
■中田秀夫監督
目に見えない放射線への不安や恐怖感をどう描くか。それが演出上、最重要な点でした。吉田所長以下、現場の方々が知恵と体力を振り絞り、その恐怖に立ち向かって行く。それでも容赦無く放射線量は増大していく。彼らが経験した極限状態の緊迫感を身近に感じてもらうため、我々も事前に実際の建屋内に入り、セットに反映しました。尋常ではない不安や恐怖を抱えつつ「これは仕事だ」と職務を続けた彼らの内面に肉迫したいと常に考えていました。