日産自動車の「エクストレイル」といえば、初代から「タフギア」であることを売り物にしてきたクルマだ。4世代目にあたる新型は伝統の「タフさ」を継承しつつ、「上質さ」も兼ね備えた1台を目指したという。聞いただけだと二律背反しそうな2つの要素だが、実際にうまく融合させられたのだろうか。実車でデザインのポイントを確認してきた。

  • 日産の新型「エクストレイル」

    タフで上質なSUVを目指した日産の新型「エクストレイル」

エクストレイル、前から見るか横から見るか

デザインをチェックしたのは最上級グレード「G」の「e-4ORCE」(4輪駆動)。ボディカラーはサンライズオレンジ/スーパーブラックの2トーン(特別塗装色7.7万円)、内装はブラックだ。価格は車両本体が449.9万円で、ルーフレールやパノラミックガラスルーフ、アダプティブLEDヘッドライトシステムなど計41.25万円のメーカーオプションが付いている。

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    ボディサイズは全長4,660mm、全幅1,840mm、全高1,720mm

デザインを担当した日産の入江慎一郎さんによると、新型エクストレイルのフロントマスクは「インテリジェントであり、精悍」。ワイドなグリルには日本の伝統的な「組木」のモチーフを取り入れている。ヘッドライトは上下スプリット形状とした。

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    知的で精悍な表情に仕上げたというフロントマスク

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    グリルも近くから見ると手が込んでいる

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    ヘッドライトは上下2分割

「スタンスの良さ」は初代からの続くエクストレイルの伝統だと入江さん。新型でもタイヤの位置を限界ぎりぎりまで外に持っていき、「フェンダーとタイヤはほぼツライチ(フラットな状態)」としたそうだ。前から見ると、確かにしっかりと踏ん張っている印象を受ける。

横からのシルエットは「タフさ」を強調。まずはSUVらしくスクエアだし、余計なラインや凹凸が少ないところは武骨といってもいいくらいだ。ただ、すっきりとして張りのある面は艶やかで質の高さも感じさせる。

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    スクエアで「The SUV」(入江さん)なシルエット

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    入江さんが「タフさを代表する部分」と話す19インチのアルミホイール

リアでは横に長いコンビランプが目立っている。近づいてよく見ると、ライトの中には「切子パターン」が入っていてキラキラだ。

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  • リアは凸型というのか台形というのか、丸みを帯びていないところがタフギア感を強調している

内装は「高級ラウンジ」の雰囲気を志向した。全車を「電制シフト」としたことにより、センターコンソールは下に空間があって浮き上がっているように見える「ブリッジタイプ」に。インパネは「骨太で水平」(入江さん)な見た目だが、ダブルステッチのおかげで質の高さも感じることができる。

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  • 内装でもタフさと上質さの融合を図った。ドライブモードを選ぶダイヤルなど、HMI関連のパーツはほぼ全てを新型「エクストレイル」から開発。車内には統一感がある

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  • 「G」グレードのシートは新開発の合成皮革「テーラーフィット」(ブラック、写真左)とナッパレザー(タン、オプション8.8万円、写真右)から選べる。テーラーフィットには指紋と同じくらいの幅のシボを施し手触りの良さを追求。耐圧分布が均等で、長く乗っても疲れないシートとなっているそうだ

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  • メーターとセンターディスプレイの発色、クリアさ、文字の自体、色づかいなどは、日本メーカーの中では日産が最も優れていると思うのだが、どうだろう

新型エクストレイルの発売は2022年7月25日。8月31日時点の受注台数は1.7万台を突破している。歴代エクストレイルで最速のペースで売れているとのことだ。ボディカラーの内訳は「ブリリアントホワイトパール」26%、「ダイヤモンドブラック」20%、「ブリリアントホワイトパール/スーパーブラック」15%、「シェルブロンド/スーパーブラック」14%、「ステルスグレー/スーパーブラック」5%、「カーディナルレッド」5%、その他15%。グレードはGが65%、Xが33%、Sが2%で、G購入者のうち35%はオプションのナッパレザーを装着しているという。