日産自動車の「エクストレイル」といえば、初代から「タフギア」であることを売り物にしてきたクルマだ。4世代目にあたる新型は伝統の「タフさ」を継承しつつ、「上質さ」も兼ね備えた1台を目指したという。聞いただけだと二律背反しそうな2つの要素だが、実際にうまく融合させられたのだろうか。実車でデザインのポイントを確認してきた。
エクストレイル、前から見るか横から見るか
デザインをチェックしたのは最上級グレード「G」の「e-4ORCE」(4輪駆動)。ボディカラーはサンライズオレンジ/スーパーブラックの2トーン(特別塗装色7.7万円)、内装はブラックだ。価格は車両本体が449.9万円で、ルーフレールやパノラミックガラスルーフ、アダプティブLEDヘッドライトシステムなど計41.25万円のメーカーオプションが付いている。
デザインを担当した日産の入江慎一郎さんによると、新型エクストレイルのフロントマスクは「インテリジェントであり、精悍」。ワイドなグリルには日本の伝統的な「組木」のモチーフを取り入れている。ヘッドライトは上下スプリット形状とした。
「スタンスの良さ」は初代からの続くエクストレイルの伝統だと入江さん。新型でもタイヤの位置を限界ぎりぎりまで外に持っていき、「フェンダーとタイヤはほぼツライチ(フラットな状態)」としたそうだ。前から見ると、確かにしっかりと踏ん張っている印象を受ける。
横からのシルエットは「タフさ」を強調。まずはSUVらしくスクエアだし、余計なラインや凹凸が少ないところは武骨といってもいいくらいだ。ただ、すっきりとして張りのある面は艶やかで質の高さも感じさせる。
リアでは横に長いコンビランプが目立っている。近づいてよく見ると、ライトの中には「切子パターン」が入っていてキラキラだ。
内装は「高級ラウンジ」の雰囲気を志向した。全車を「電制シフト」としたことにより、センターコンソールは下に空間があって浮き上がっているように見える「ブリッジタイプ」に。インパネは「骨太で水平」(入江さん)な見た目だが、ダブルステッチのおかげで質の高さも感じることができる。
新型エクストレイルの発売は2022年7月25日。8月31日時点の受注台数は1.7万台を突破している。歴代エクストレイルで最速のペースで売れているとのことだ。ボディカラーの内訳は「ブリリアントホワイトパール」26%、「ダイヤモンドブラック」20%、「ブリリアントホワイトパール/スーパーブラック」15%、「シェルブロンド/スーパーブラック」14%、「ステルスグレー/スーパーブラック」5%、「カーディナルレッド」5%、その他15%。グレードはGが65%、Xが33%、Sが2%で、G購入者のうち35%はオプションのナッパレザーを装着しているという。