アメリカ航空宇宙局(NASA)が、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えた「タランチュラ星雲」の写真を9月6日付けで公開した。タランチュラ星雲にある何千もの若い星や、形成過程の星を捉え、新たなタランチュラ星雲の姿を明らかとした。

  • ウェッブ宇宙望遠鏡、今度は新たな「タランチュラ星雲」の姿を捉える

    ウェッブ宇宙望遠鏡が「タランチュラ星雲」の画像を公開

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙で30年間稼働していたハッブル宇宙望遠鏡の後継機。この宇宙望遠鏡のプロジェクトは、NASAが20年以上の歳月と1兆円を超える費用をかけて進めてきたもので、2021年12月に打ち上げられた。人間の目で視認できない、波長の長い赤外線をとらえることに特化しており、135億光年以上離れた宇宙を観測することができる。7月11日に、約46億光年先にある銀河団「SMACS 0723」のカラー画像を公開。さらに8月25日には、鮮明な「木星」の写真を公開し、話題となっていた。

タランチュラ星雲は、「かじき座30」とも呼ばれており、地球からおよそ16万光年離れた銀河・大マゼラン雲の中にある。

ウェッブ宇宙望遠鏡は今回、タランチュラ星雲にある何千もの若い星や、形成過程の星を捉えた。そしてウェッブ宇宙望遠鏡が持つ3つの装置を用いてタランチュラ星雲を観察。近赤外線カメラ(NIRCam)が捉えた画像では、青く光る若い大質量星団から放射されえる恒星風で、星雲の中心部分が空洞化しているのが確認できる。また、近赤外線分光器(NIRSpec)が捉えた画像では、形成中の若い星を捉えることに成功している。さらに、長い波長を観測できる中間席赤外線観測装置(MIRI)が捉えた画像では、高温の星が見えなくなり、低温のガスやダストが光っているのを確認することができる。

  • NIRCamで捉えた画像。神秘的だ

  • MIRIで捉えた画像。タランチュラ星雲の新しい姿

タランチュラ星雲が天文学者にとって興味深い理由には、宇宙が誕生して数十億年しか経っていない、星形成がピークに達した「宇宙の正午」という星形成領域と同じような化学組成を持っているためだという。今回の鮮明な画像が、天文学者に手がかりを提供するだろう。

ネット上では「美しすぎてまるで細密画のよう。」「こんなゲームみたいな世界が存在するなんてね!!」「なんだかよくわからないけど、Σ(・Д・;)すげぇー!」などの声が寄せられた。