テレビ東京の木ドラ 24枠『チェイサーゲーム』(毎週木曜24:30〜)が8日深夜から放映される。同作は『NARUTOーナルトーナルティメット』シリーズや『鬼滅の刃ヒノカミ血風譚』など数々の人気作の開発を手掛けたゲーム会社・サイバーコネクトツーが制作しクリエイティブ業界を中心に「読むと胃が痛くなる」と波紋を呼んだ同名漫画の実写化作となる。

今回、連続ドラマ初主演を果たすのが、今注目の俳優・渡邊圭祐。ゲーム開発会社のダイナミックドリームで働く主人公・新堂龍也を演じる。新堂は入社9年目にして中間管理職のプレイングマネージャーへの昇進を果たすが、やる気に満ちあふれる龍也を待ち受けていたのはひと癖もふた癖もあるメンバーばかり。もうすぐ発売の新作ゲームが、主役声優のパパ活疑惑で大幅な変更を迫られたり、発注元のプロデューサーの終わらないパワハラに悩まされたり、問題は尽きず、理想と現実のギャップに悩む。今回は、主演の渡邊圭祐にインタビュー。作品について思うところや、今の時代だからこそ考えさせられる観点について話を聞いた。

  • 渡邊圭祐 撮影:島本絵梨佳

    渡邊圭祐 撮影:島本絵梨佳

■予想もしていなかったような問題が描かれている

――原作、脚本を読まれた感想はいかがでしたか?

お話をいただいた時は「お仕事ドラマなのかな」と想像して本を読ませていただいたんですけど、演じる龍也は何かに秀でているものもなく、僕は全くゲーム会社での仕事の世界観も知らなかったので、これがリアルなのか、と思いながら読ませていただきました。現代社会で直面しているであろう、いろんなジェンダーの問題だったりもアレンジされていて、今に寄り添った内容になっているなというのが、率直な感想です。

――ご自身のお仕事経験と照らし合わせて「わかるな」と共感したところ、思い出したことはありますか?

幸いといったらいいのかわかりませんが、同僚にも恵まれ、周りの環境を作るのも割と得意な方なので、僕の中で近しいなって思える感覚は多くなかったのですが、少なからずトランスジェンダーの方が感じている問題があるのだろうなと、実際に演じて監修してくださってる若林佑真さんがいるからこそ、考えることがありました。僕らが本当に全く知りもしないこととか、予想もしていなかったような問題が描かれているので、そういった面だけでも、やる意義があるのではないかと感じました。

――トランスジェンダーの若林さんが監修にというお話もありましたし、今作で示される価値観みたいなところについて、渡邊さんが共感するところも大きいですか?

実際にお話を聞いて、知らないことだらけで。なかなかデリケートな問題というのも理解はしてますし、打ち明けづらい世の中だなと思います。まだまだ交渉も難しくて、つい「男は」「女は」と考えてしまう方もいらっしゃると思うので、当事者の方が言い出しづらいのはもちろん、周囲が理解しようとしていても、知らなかった部分がある。若林さんと話して、全然知らなかったことが多く、新しい発見でもありました。実際にお話を聞いてるからこそ、難しいことがたくさんあるのだと思いました。

――今作ではただ台本を読んでいる時点でも結構身につまされるようなところが多く、渡邊さん的に印象に残ってる、大変なところや大変そうだなと思ったところってありましたか?

後半に出てくる更木という人物です。もともと同じ会社(ダイナミックドリーム)からジーガという会社で働き始めた方なんですが、一緒のシーンは気が重たかったです。上司は媚びへつらって、下は言いづらいみたいな、ああいう状況がきっとあるんだろうなと思うと、いやだなと。現実に起こり得る問題だし、きっとどこかで実際に起こってるんだと思うんです。ああいうシーンは、演じてても苦しい気持ちになりました。

――状況がつらいということですか?

状況もですし、更木役の方が人を腹立たせるようなチクチク嫌な感じを出していることもすごいなと思いました。つまり演技力がすばらしいということなのですが、インパクトもあり非常に残ってます。

――でも、それだけ問題提起というか、考えさせられる部分もある作品いうことですよね。

それは本当に思いました!

■実際のゲーム開発会社が作る、リアルな内容

――作中で出てくる「タクシーで大井町に行こうとしたら別の県に行ってしまい、経費が…」というエピソードはTwitterでバズってるのを見たことがあって、社長のキャラクターとしてドラマに取り入れられているのが面白く思いました。

そうなんですか!? 初耳でした。あそこのシーンはもうハマケン(浜野謙太)節といいますか、(役の)上田節が炸裂しているので、面白いシーンになっています。

――それだけリアリティがあるということですよね。お仕事ドラマって、リアリティないと言われがちでもありますが…。

今回は、作っているのが実際のゲーム開発会社の方ですから(笑)。僕らはものすごく力強いと思っています。見てる方には共感がしやすいのではないでしょうかと。

――そこらへんのリアルさが、テレ東ドラマっぽいなと思いました。出られる方の印象としてはいかがですか?

切り口がすごく斬新で、「そこから竹切るんだ!?」みたいな(笑)。 「そこ、水絶対ないって!」とツッコまれるたびにちゃんと水を出す、というような作り方だなと思っていて。チャレンジ精神がものすごく強いというか、それを絶対に面白いという感覚を持っていらっしゃる方がたくさんいるのかなと思うと、作品を作る上で自信を持ってお送りするのが大事なことなのかなと思います。テレ東さんの確固たる地位みたいな、許容される自分たちのフィールドも作り上げているというのが、素晴らしいなあと思います。

――渡邊さんも、そのワールドに合ってるのではないかと見込まれるんでしょうか?

どうなんですかね?(笑) でも、やっててめちゃくちゃ楽しかったんです。今までいろんな作品に参加させていただいた中で、やっぱりテレ東さんの『直ちゃんは小学三年生』(2021年1月期放送)という作品が僕の中で相当思い出にも残ってますし、もうめちゃくちゃに楽しい現場で。

そこからまたテレビ東京さんからお話をいただいて、作品を見ずに「やります」と言ってしまったくらいの信頼感を持ってしまっています。もはや変にいじりたくないというか、一瞬「ええ!?」と思っても、「多分、これがいいんだよ」という違和感を成立させるパワーがどこかにあると思ってるので。またご一緒できてすごく嬉しかったです。

■渡邊圭祐
1993年11月21日生まれ、宮城県出身。俳優、モデルとして活躍。ドラマ『仮面ライダージオウ』(18~19年)、『直ちゃんは小学三年生』(21年)、『推しの王子様』(21年)、『やんごとなき一族』(22年)など、話題作に出演。映画作品では『ブレイブ-群青戦記-』(21年)、映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』(22年)など。12月23日には映画『ブラックナイトパレード』が公開。