2022年9月8日、タクティカルFPSゲーム『VALORANT』の世界大会「VALORANT Champions Tour 2022 Champions」(以下、VCT 2022 Champions)にて、日本代表チーム「ZETA DIVISION」とブラジル代表チーム「LOUD」の試合が行われました。
この日の試合は、「ZETA DIVISION」にとって、グループステージの初戦で敗れた「LOUD」へのリベンジマッチ。そして、両チームにとって、勝てばプレイオフ進出、負ければ大会敗退という重要な一戦でした。
しかし、「ZETA DIVISION」はリベンジを果たせず、マップカウント0-2で敗北。プレイオフ進出には届かず、今大会の敗退が決まりました。本試合の模様と、試合直後のプレスカンファレンスの内容をお届けします。
■試合結果
ZETA DIVISION [0-2] LOUD
1マップ:11-13(バインド)
2マップ:5-13(アセント)
【バインド】接戦を繰り広げるも、あと一歩が届かず
1マップ目は、「ZETA DIVISION」がピックしたバインド。「ZETA DIVISION」は、Dep選手がジェット、TENNN選手がレイズをピックし、アグレッシブな2デュエリスト構成で臨みました。
「ZETA DIVISION」は前半の守りで、「LOUD」を追いかける展開となりますが、Dep選手のオペレーターによる活躍が光り、5-5の同点へと持ち込みます。その後も、抜きつ抜かれつの展開が続く接戦となりました。
終盤では、11-11の同点に並びますが、「LOUD」のaspas選手のスーパープレイによってペースを崩され、11-13で惜しくも敗北。「ZETA DIVISION」としては、あと一歩のところで1マップ目を勝利につなげることができず、苦しい状況に追い込まれました。
【アセント】勝率90%超えの完成度を前に、リベンジ叶わず
続く2マップ目は、「LOUD」が驚異の勝率90%超えを誇る、得意マップのアセントをピック。「ZETA DIVISION」は、グループステージ初戦でアセントを8-13で敗北しており、その結果を覆さなければなりませんでした。
「ZETA DIVISION」は前半、少しずつラウンド差を広げる「LOUD」に食らいつき、5-7での折り返しを迎えます。しかし、後半の攻めでは「LOUD」の堅い守りに阻まれ、「ZETA DIVISION」はラウンドを取得できず。「LOUD」の6ラウンド連取を許し、5-13で敗北となりました。
これにより「ZETA DIVISION」は、マップカウント0-2で敗北。「LOUD」がグループステージを2位で突破し、プレイオフ進出を決めました。
試合を終えた直後の「ZETA DIVISION」にインタビュー
「LOUD」との試合直後、合同で行われたプレスカンファレンスに「ZETA DIVISION」の選手5名とXQQコーチが登壇しました。インタビューでは、リベンジマッチとなった「LOUD」戦や2022年シーズン全体の振り返り、そして来年に向けた意気込みなどが語られました。
再戦を意識した「LOUD」側のバン&ピックに苦戦
――今回の「LOUD」戦はリベンジマッチでしたが、事前にどういった準備をされていましたか。また、実際に戦っていかがでしたか?
crow:情報がないマップについては、前回の大会や予選の試合を観て、かなり研究して試合に挑みました。アセントでは、前回の試合を研究してピックを変えたりしたのですが、「LOUD」のアセントはものすごく強かったです。
――「LOUD」との再戦において、マップのバン&ピックにはどのような狙いがありましたか。また、「LOUD」側のバン&ピックで難しかった部分はありますか?
XQQ:バン&ピックで印象的だったのは、彼らが初戦で勝ったフラクチャーをバンしてきたことと、「OpTic Gaming」戦で見せたパールもバンしてきたことです。これは、かなり再戦を意識したバン&ピックだったと思います。
その結果、僕たちが勝負したかったパールやフラクチャーを消されてしまい、もともと情報があまりないバインドやヘイヴンでプレイせざるを得ませんでした。
――XQQコーチは、アセントの試合を俯瞰で見ていて、「LOUD」のどのような点が強いと感じましたか?
XQQ:ひと言でいうなら、熟練度の違いかなと僕は思います。彼らはこの構成で長い間アセントを戦ってきているので、相手がどうであれ、どういう状況で何をすべきかが素早く判断でき、それが共通認識として共有されています。だからこそ、安定した戦い方ができているのだと思います。
2度の国際大会に挑んだ、2022年シーズンを振り返って
――この2022年は「ZETA DIVISION」にとって、とても大きな年になったと思います。この1年を振り返って、どのような1年だったと感じますか?
Laz:「VCT 2022 Stage1 Masters」では、かなりいいところまで行ったと思います。でも、その後の「VCT 2022 Stage2 Challengers」では負けてしまって、今大会もグループステージでの敗退と、あまり良い結果ではありませんでした。今は、これからもっとがんばろうという気持ちです。
――「VCT 2022 Champions」を含めて、この1年で2回の国際大会を経験されました。世界との戦いを経て、通用したと思うところや差があると感じたところを教えてください。
Laz:今大会は通じないまま終わってしまったので、前回の「VCT 2022 Stage1 Masters」の経験から言うと、自分たちの連携や戦略などを短期間で修正して、成長していくところはほかのチームより優れていたと思います。
――今年1年の経験を通して、今後伸ばしていきたいところや、改善していきたいところについて教えてください。
XQQ:やはりまだ世界のトップチームと比べると粗い点が目立つので、そういったところをこれからのオフシーズンで、しっかり改善していきたいです。今回の「VCT 2022 Champions」は、この大会のために特別に変えた部分もいろいろあったので、かなり粗い部分があったと思います。これまでの大会を踏まえると、今後はそのタイミングごとの強い構成や戦い方を、しっかり吸収できると良いと考えています。
「来年が楽しみ」チームのさらなる成長と活躍に期待
――今年は、ファンの期待が「ZETA DIVISION」の活躍を押し上げたと思います。来年に向けて、『VALORANT』のシーンにどのような成長を期待していますか?
XQQ:今までと同じように、国際大会に挑戦するチャンスがしっかりあることは必須条件だと思っています。日本のシーンは、「NORTHEPTION」の活躍もありますし、僕らの「VCT 2022 Stage1 Masters」での活躍もありました。まだまだ伸びてくるチームは多いと思うので、来年以降は今までよりもさらに、日本シーンのレベルが上がったらいいなと思います。
――改めて、今回の「VCT 2022 Champions」を振り返って、感想を教えてください。また、最後にファンの皆さんへの一言をお願いします。
Dep:自分としては、今大会は最悪の状態かつ最悪のグループで、どうなってしまうのだろうと思っていました。でも、自分たちが用意してきたものが通用していたし、僕は来年が本当に楽しみです。
今回は負けてしまったのですが、やれることはやって負けたと思っています。ファンの皆さんには、来年を楽しみにしていただけたらうれしいです。
グループステージを突破した8チームによるプレイオフへ
「ZETA DIVISION」は、グループステージにてインドネシアチーム「BOOM Esports」から1勝をあげましたが、「LOUD」との対戦で2度敗北。グループステージ1勝2敗、ベスト12という結果で今大会での挑戦を終えました。
「ZETA DIVISION」は今回、一時休養していたTENNN選手の復帰後、5人そろっての練習期間が1週間と非常に短く、チームとして本調子とは言えない状況での出場でした。万全の体制で臨むであろう、来年の「ZETA DIVISION」の活躍に大きな期待が寄せられます。
9月9日から始まるプレイオフでは、グループステージを突破した8チームによる、敗者復活ありのダブルエリミネーショントーナメントが行われます。
トーナメントの最終3日間は、9月16日にロワーブラケット準決勝とアッパーブラケット決勝、17日にロワーブラケット決勝、そして18日にグランドファイナルが開催されます。果たして、どのチームが2022年の世界王者に輝くのか。ぜひ「VCT 2022 Champions」を見届けましょう。