「定量的」や「定性的」という言葉をご存知でしょうか。ビジネスシーンで頻繁に使用される言葉の一つです。見聞きしたことがあっても、意味や違いがよくわからないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では「定量的」と「定性的」の意味について解説します。
定量評価と定性評価、定量目標と定性目標などの違いについてもわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「定量的」「定性的」とは? 意味の違いって?
ここでは「定量的」と「定性的」の意味を解説します。また、違いをわかりやすい例でご紹介しますので要チェックですよ。
定量的の意味とは
定量的とは「数値・数量で表せるさま」という意味を持つ言葉です。
数量や数値を用いることで、より具体的にわかりやすく相手に伝えられます。たとえば、昨年と比べて売上額が上がった場合、「売上額が上がりました」と報告するよりも「昨年比150万円の売上増です」と伝えたほうがイメージがしやすいです。
定性的の意味とは
定性的とは、物事の数値化できない部分に着目して捉えることを指しています。
数字のように明確ではないため、説明する人の経験によって捉え方が異なり、認識齟齬(にんしきそご)がうまれやすいという特徴もあります。
「定量的」と「定性的」のわかりやすい例
- 今年は毎日欠かさず50ページの読書をする
- 今年は読書をするよう心がける
どちらが定量的でどちらが定性的なのかわかるでしょうか?
こちらの例だと、「今年は毎日欠かさず50ページの読書をする」は、数字で目標設定をしているため、定量的な目標です。「50ページ」という基準は、人によって異なるということはなく、誰しもが同じ認識で捉えることができます。
一方で、「今年は読書をするよう心がける」は定性的な目標です。「心がける」というのは、本人の感覚が軸になっています。どのくらい読書をしたら「心がける」ということになるのか、人によって感覚は違いますよね。
このように、数字を軸にしており全員が同じ認識で捉えられることを「定量的」、本人の感覚を軸に捉えられることを「定性的」というのです。
定量分析と定性分析の違いとは
ビジネスでは、目標を立てる前に、現在の状態を分析して問題点や改善点を洗い出すことが大切です。
ビジネスシーンで何か分析をする際には、「定量分析」と「定性分析」の2つの方向で問題点や課題を見つける必要があります。それぞれ詳しく解説しましょう。
定量分析
定量分析とは、数字や数値を使用したデータをもとに分析する方法です。営業職なら、訪問件数や提案数、契約件数などがあげられます。これらの数値のデータから、問題点や改善点を推測していくことが可能です。
たとえば、月ごとの売上高をグラフ化したデータを活用すれば、売上が落ち込んでいる月が明確になります。
定量分析のメリットは、数値を軸に分析を行うため、誰が見ても同じ認識を持てることです。
定性分析
定性分析とは数値では表せないところを分析する方法です。分析に用いる定性的なデータの例として、自由回答式のアンケート調査やSNSの反応などがあげられます。これらのデータは数値で表すことはできませんが、サンプル数が少ない場合でもビジネスにおいて十分活用できるのがメリットです。
たとえば、定量分析で売上が落ち込んでいる月がわかり、それに対して施策を打つ場合、顧客にアンケートをとって「なぜその月に購入しないのか」という理由を自由回答してもらえば、売上高に影響する事柄を発見できることもあります。
どちらか一方で判断せず、定量分析・定性分析の両方から状況を正確に判断することが大切です。
定量評価と定性評価の違いとは
人事評価においても、評価方法には「定量評価」と「定性評価」の2種類があります。ここではそれぞれの違いを解説します。
定量評価
定量評価とは契約本数や顧客獲得件数など、数字の実績で評価する方法です。誰に対しても同じように評価できるのがメリットとしてあげられます。
営業職なら契約件数や訪問数などが定量評価に当てはまります。
定性評価
定性評価は、数値ではなく、そこに至るまでの過程や行動などをもとに評価する方法です。たとえば、数字での実績は芳しくなく良い評価ができないとしても、仕事に対する姿勢や顧客対応など、数字で表せない部分に良いところが隠れている可能性もありますよね。
このように定性評価は、評価する人の感覚によって基準が変わるのも特徴です。
どちらかの方法だけで評価すると、正当な評価を受けた気になれずモチベーションが低下してしまう可能性も考えられます。人事評価を行うときは、定量評価と定性評価を組み合わせることが多いです。
定量目標と定性目標の違いとは
個人や組織で目標を設定しその達成度によって評価を行うという、MBO(目標管理制度)を導入している会社は多いです。
MBOが導入されている会社で良い評価を得るためには、まずしっかりした目標を立てることが大切です。目標も、大きく分けると「定量目標」と「定性目標」の2種類があります。
ここでは、定量目標と定性目標のそれぞれの意味を解説します。
定量目標とは
定量目標とは、目指すべき状態を数値で表した目標を表します。たとえば営業だと、契約数や訪問数、売上などが定量目標にあたります。
■例
- 月あたり5件の契約を取る
- 毎月50万の売上を出す
定性目標とは
定性目標とは、数値で表せない部分での目指すべき目標を表します。成果を出すまでのプロセスや、仕事に対しての姿勢、行動などに着目します。
■例
- 取引先との信頼関係を構築する
- PDCAサイクルを意識して業務を進める
定量目標を立てるポイント
定性目標は自分の感覚で立てられるものの、定量目標を立てるのは難しいという方も少なくありません。ここでは、定性目標を立てる際のポイントをご紹介します。
定量目標の設定には「SMARTの法則」を活用しましょう。モチベーションが下がりにくい目標を設定することが可能です。
「SMARTの法則」は「具体性(Specific)」「計測可能(Measurable)」「達成可能(Achievable)」「関連性(Relevant)」「期限(Time-bound)」の5つの要素を用いた目標設定の方法です。詳しく解説しましょう。
1 具体性(Specific)
「具体性(Specific)」は目標設定において非常に重要な要素です。その目標が、誰が見ても同じ内容に捉えられるかどうか、人によって違う捉え方をしてしまうような内容になっていないか、ということに着目しましょう。
2 計測可能(Measurable)
目標を達成するには、「計測可能(Measurable)」であることが大切です。たとえば、「1日のうちできるだけ多く新規顧客に電話をかける」よりも「1日20件、新規顧客に電話をかける」の方がわかりやすく、結果も達成できたかどうかを数字ではっきりと示すことができます。
3 達成可能(Achievable)
目標は「達成可能(Achievable)」なものにする必要があります。
たとえば「1日20件の顧客訪問をする」という目標を立てることは簡単ですが、実際に20件の顧客訪問を毎日継続するというのは現実的ではありませんよね。
だからといって誰でも達成できるような数値を目標にするのはよくありません。現状を分析して、難しすぎず優しすぎないレベルの目標を立てるのがポイントです。
4 関連性(Relevant)
その目標が事業内容と「関連性(Relevant)」があるかどうかも、要チェックなポイントです。その目標達成にむけて行動することは、事業にとって本当に価値があるのか、事業を成長させることに繋がるのか、ということを考えた上で目標設定をしましょう。
5 期限(Time-bound)
目標達成において「期限(Time-bound)」を設けることで、計画性が高まり、モチベーションを維持しやすくなります。業務を進めていると、期限のない仕事はどうしても後回しにしてしまいがちですよね。
しっかり期限を決めることで、その目標達成にむけてスピーディーにアクションを起こすことができます。
「定量的」と「定性的」の意味の違いを理解してビジネスシーンで活用しよう
定量的とは数値・数量で表せるさまで、定性的とは物事の数値化できない部分に着目して捉えることを指しています。
定量分析や定性分析は、マーケティング調査でも使われている手法です。他にも目標設定や人事評価などのビジネスシーンにおいて、定量的・定性的両方の視点で考えることが重要になります。普段から定量的・定性的両方の考え方を意識して行動することで、成長に繋げることも可能です。
「定量的」と「定性的」の違いを理解して、ビジネスシーンに活用してみてくださいね。