NTT東日本は、エブリ・プラスおよび、ひばりプロダクションと連携し、9月2日に全国の介護施設・高齢者をオンラインで双方向に結んだ企画「美空ひばり記念館オンラインツアー」を開催。
約800施設における高齢者約2万人が同時接続し、美空ひばり記念館をめぐったほか、Zoomを経由して名曲「川の流れのように」を合唱した。本稿では横浜市鶴見区の「銀河の詩 デイサービスセンター」を取材した模様をお伝えする。
美空ひばりさん生誕85周年、介護施設でオンラインツアー開催
同企画は、エブリ・プラスの提案にひばりプロダクションが応え、NTT東日本が技術面からサポートしたもの。エブリ・プラスの担当者が介護施設を訪れた際に、高齢者から「私たちは美空ひばりさんに希望と楽しみをもらってきた人生だった。そのお礼を伝えられたら良かった」という言葉をかけられたのが企画立案のきっかけになったという。
美空ひばりさんのメモリアル動画が配信されたあと、東京目黒にある美空ひばり記念館にて息子の加藤和也さんが館内を案内した。銀河の詩 デイサービスセンターでは42名ほどが生中継を見守った。
今回のオンラインツアー開催に先立ち、全国の介護施設から届いた手紙や絵などは約500通にも上ったそう。そのうちの何通かは、オンラインツアーのなかで加藤さんが代読した。「美空ひばりさんに会って話をしてみたかったです」「貴女のブロマイドをたくさん持って、自分の彼女ですと皆様に紹介したものです」など、心温まる文面に高齢者たちも笑顔になっていた。
最後は、全国の高齢施設をオンラインで結んで「川の流れのように」を合唱した。エブリ・プラスによれば、オンラインによる大合唱を約2万人規模で実施したことは全国でも初の試みだという。銀河の詩 デイサービスセンターの参加者からも「楽しいねぇ」「やっぱり、ひばりさんは上手だよねぇ」などと笑顔で話す姿が見られた。
イベントを終えて、加藤さんは「素晴らしい企画を用意していただいて深く感謝しています。思った以上のかたに参加していただけました。映像を一方的に配信するのとは違い、各施設の皆様とオンラインでつながってオンタイムでコミュニケーションをとれることが嬉しかったです。まだまだ、美空ひばりがやるべき仕事はたくさん残っているのではないか、との思いを新たにしました」と振り返る。
そして「皆さんの合唱する姿に感動して泣きそうになりました。本当に素晴らしい歌を聞かせていただきました。隣の部屋の仏壇で、うちの母も一緒に聞いていましたが、とても喜んでいたのではないでしょうか」と語った。
銀河の詩 デイサービスセンター所長の梅田優さんにも話を聞いた。いまコロナ禍でやれることが限られるなか、同センターでは体操、クイズ、オンライン旅行ツアーなど、これまでも工夫した出し物を用意してきたという。なかでも高齢者の反応が良いのは歌。梅田さんは「昔の歌謡曲は、みなさんの思い出とも結びついているのでしょう」と解説する。
もちろん感染症の予防に細心の注意を払って、マスクをしながら大きな声は出さないで歌う、などの配慮をしているが、これまでも美空ひばりさんの曲に対する反応の良さを感じていたそうだ。
なお、美空ひばり記念館の見学ツアー自体は、オンライン形式で2022年1月より開始しているが、本イベント以降はオンラインレクと物販購入がセットになるツアーとしてリニューアル予定だという。