CCAはこのほど、医師を対象に「睡眠と脳腸相関」に関する調査を実施し、結果を公表した。
同調査は2022年7月11日〜7月12日、医師1,013人を対象にインターネット調査にて実施。モニター提供元はゼネラルリサーチ。
しっかりと眠ることは、私たち人間が健康に生活するために欠かすことができない。しかし、現代人は慢性的に睡眠不足だとも言われている。睡眠が大切だとわかっていても、ついつい夜更かしをしてしまう人も多いかもしれない。
睡眠は十分な時間だけでなく質も重要となる。特に中高年になってくると、夜布団に入ってもなかなか眠れない、一度寝付いてもすぐに目が覚めてしまう、などという悩みを抱えている人も多いのではないだろうか。
また最近の研究では、睡眠の質と腸に関連があるということがわかってきた。では、具体的にどのような関連があるのか。また、質の良い睡眠をとるためにはどのようなことをしたらいいのだろうか。
はじめに、不眠と更年期の関係について聞いた。
「不眠と更年期は関係がありますか?」と質問したところ、9割以上が「とても関係がある」(43.2%)・「やや関係がある」(49.9%)と回答。ほとんどの医師が、不眠と更年期には関係があると考えていることがわかる。
では、更年期の不眠で多い症状とは何なのだろうか? そこで、不眠と更年期は関係があると回答した人に、「更年期の不眠に多い症状を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、「途中で目が覚めてしまい再び眠れない」(58.6%)との回答が最も多く、次いで「寝つきが悪い」(49.6%)、「夜中に何度も目が覚める」(48.9%)と続いた。
一度目が覚めると眠れなくなるという症状が最も多いようだ。それ以外にも、寝つきの悪さや夜中に目が覚めるなど、更年期の影響で睡眠の質が悪くなると考えている医師が多いことがわかった。
先程の調査の結果、9割以上の医師が不眠と更年期に関係があると回答した。では、更年期の不眠の原因とは一体何なのだろうか?
先程の質問で、不眠と更年期は関係があると回答した人に「更年期の不眠の原因にはどのようなものがありますか?(複数回答可)」と質問したところ、「ホルモンバランスの変化」(61.5%)との回答が最も多く、次いで「生活リズムの乱れ」(43.2%)、「腸内環境の悪化」(32.8%)と続いた。
更年期は女性ホルモンが減少することで起こると言われており、そのホルモンバランスの変化が不眠の原因にも繋がっているようだ。また、生活リズムの乱れや腸内環境の変化などにより、不眠の症状が出ていることがわかった。
では、生活環境により不眠の症状が悪化することはあるのだろうか? 「不眠症状が生活習慣などで悪化することはありますか?」と聞いたところ、9割以上が「よくある」(41.2%)・「たまにある」(51.2%)と回答。ほとんどの医師が、生活習慣が不眠に影響していると考えていることが判明した。不眠に悩んでいる人は、自分の生活環境を見直してみる必要があるかもしれない。
9割の医師が、生活環境により不眠の症状が悪化することがあると考えていることが明らかとなった。では、自宅で手軽にできるおすすめの不眠対処法はあるのだろうか?
そこで、「自宅でできるおすすめの不眠の対処法について教えてください(複数回答可)」と質問したところ、「専門医に相談する」(50.6%)と回答した人が最も多く、次いで「生活リズムを整える」(43.5%)、「腸内環境を整えるものを摂る」(31.9%)と続いた。
最も多かったのは、専門医に相談するという結果となり、医師の立場からするともっと気軽に相談して欲しいと考えている人が多いのかもしれない。また、生活リズムや腸内環境を整えることも有効だと考えているようだ。
心当たりがある場合は自身で見直してみる必要がありそうだが、睡眠改善のためにやりがちなことで、医師から見ると実は間違っていることなどはあるのだろうか?
続いて、「一般の方が睡眠改善のためにやりがちなことの中で実は間違っていることはありますか?」と質問したところ、8割以上が「とても多い」(29.2%)・「多少ある」(58.0%)と回答。非常に多くの医師が、間違っていることがあると感じている。
では、具体的にどのような対処法が間違っているのか、詳しく聞いたところ、
■どんな対処法が間違っている?
・寝る前のアルコール摂取(30代/男性/埼玉県)
・運動のやり過ぎ(40代/男性/静岡県)
・枕の高さが足りないものを使用している(40代/男性/愛知県)
・症状改善のために効能が明確でないサプリメントを摂取すること(50代/男性/東京都)
などの回答が得られた。
寝る前にアルコールを摂取したり、激しい運動をしたりすることで眠りやすくするという対処法が間違っていると感じているようだ。また、枕の高さやサプリメントなど、良かれと思って行っていることでも、実は間違っていることがあると判明した。
睡眠改善のためにやりがちなことの中で、間違っていることがあると感じている医師が8割以上いることがわかった。先程の質問で、おすすめの不眠の対処法として腸内環境を整えるものを摂ると回答した医師が3割程度いたが、実際に腸内環境を整えることは睡眠の質に影響するのだろうか?
そこで、「腸内環境を整えることで睡眠の質は変化しますか?」と質問したところ、8割以上が「とても変化する」(28.7%)・「やや変化する」(57.5%)と回答。多くの医師が変化すると考えているようで、やはり不眠には腸内環境が大きく関係していることがわかる。
では、その理由とは一体何なのだろうか? 「とても変化する」「やや変化する」と回答した人に詳しく聞いた。
■腸内環境が睡眠の質に影響を与える理由とは
・腸内菌が関係ある(30代/女性/栃木県)
・脳腸相関(40代/男性/東京都)
・免疫力が上がるから(40代/男性/東京都)
・腸内細菌がリラックスを招く(50代/女性/鹿児島県)
などの回答が得られた。脳腸相関というワードが挙げられ、脳と腸が密接に関わっていることが影響しているようだ。
腸内細菌の影響を受け、免疫力を高めたり、リラックス効果を高めたりすることが影響し、睡眠の質を良くすると考えられていることがわかった。腸に影響を与えるものといえば食事が挙げられるが、食事以外で睡眠の質を高めたい時にできる腸活は何なのだろうか?
「とても変化する」「やや変化する」と回答した人に、「睡眠の質を高めたいときに食事以外で取り組むべき腸活を教えてください(上位3つ迄)」と質問したところ、「早寝早起きなどの規則正しい生活」(44.1%)と回答した人が最も多く、次いで「軽いストレッチ」(33.8%)、「目元・首元を温める」(33.2%)、「腹部を温める」(30.0%)と続いた。
生活リズムを整えることが大切だと感じている医師が4割以上もいることから、早寝早起きをして、身体にリズムを覚えさせることが大切だということが明らかとなった。
また、軽いストレッチや目元・首元・腹部を温めるといった、寝る前の少しの工夫でできるような腸活もあり、取り入れやすいものも多い。まずは、自分で取り入れやすいものから始めてみるといいかもしれない。
今回の調査結果から、更年期と睡眠の関係について調査を行ったところ、深い関わりがあることが判明した。
9割以上の医師が関わりがあると回答しており、ホルモンバランスの変化や生活リズムの変化などが影響して、不眠の症状が起こっているようだ。