アイリスオーヤマが、4K放送に対応するチューナーを載せたLUCA(ルカ)シリーズの液晶テレビ5機種を9月1日に発売しました。新製品の機能と画質・音質の特徴を解説します。

  • 65V型「65XDA20S」

新しいLUCAシリーズは、アイリスオーヤマのオンラインストアであるアイリスプラザと、全国のホームセンターを中心に販売します。ラインナップと価格は下記の通りです。

4K液晶テレビ

  • 65V型「65XDA20S」:162,800円
  • 55V型「55XDA20」:109,780円
  • 50V型「50XDA20」:98,780円
  • 43V型「43XDA20」:87,780円
  • 55V型「55XDA20」

  • 50V型「50XDA20」

  • 43V型「43XDA20」

量子ドット技術採用 4K液晶テレビ

  • 55V型「55XQDA20」:140,800円
  • 量子ドット技術を搭載した55V型「55XQDA20」

新LUCAシリーズの「5つの特徴」

55V型のモデルが2機種に分かれ、上位の55XQDA20には新しいテレビの高画質化技術として注目される量子ドット採用のパネルが搭載されています。

新しいLUCAシリーズの4Kテレビに共通する「5つの特徴」を解説します。

【1】4Kチューナー内蔵。幅広いHDR高画質技術に対応

各モデルともに4K対応の映像コンテンツが最良の画質で楽しめるよう、幅広く普及するHDR10のほか、4K放送に採用されるHLG(ハイブリッド・ログ・ガンマ)、そしてUltra HDブルーレイソフトやオンライン動画配信のコンテンツに広がるDolby Vision(ドルビービジョン)のHDR方式をサポートしました。

【2】43〜65V型までの幅広いサイズ展開

新しいLUCAシリーズは一般的な家庭のリビングルームのサイズに合わせやすい、43V型から65V型の画面サイズ構成としました。全モデルがVA方式の4K液晶パネルと直下型バックライトを搭載しています。

55V型「55XQDA20」は唯一、量子ドットによる高画質化技術を採用しています。液晶パネルのLEDバックライトモジュールが発光する色を、半導体粒子を組み込んだ層を通過させて波長を変え、より鮮やかで自然な色合いを再現するところに量子ドット技術の特徴があります。

  • 量子ドット技術を用いた「QLED」の概要。55V型「55XQDA20」のみ採用している

従来の液晶パネルよりもバックライトの駆動効率を高められるため、同じ明るさの映像を表示すると、量子ドット技術を採用するテレビの方が消費電力を少なく抑えられるメリットもある、と言われています。

アイリスオーヤマが開催した記者説明会では、新たに発売した55V型のLUCAシリーズを比較しながら視聴できました。量子ドット技術を採用する55XQDA20の方が、赤や緑の色合いがより鮮やかで、映像が力強くきらめく印象を受けました。従来の液晶技術を採用する55XDA20Sと約3.1万円の価格差で、新たな高画質化技術として注目される量子ドットを採用するテレビが買えるのであれば、これは「お買い得」だと言わざるを得ません。

  • 左が、量子ドット技術を採用した55XQDA20。右の通常液晶パネルの55XDA20Sよりも、さらに鮮やかな色合いを再現する

【3】スピーカーの音質向上、Dolby Atmos対応に進化

新しいLUCAシリーズはDolby Atmos(ドルビーアトモス)による立体音響体験に対応しました。テレビ単体で、映画館のような迫力あるサラウンド音声が楽しめます。

  • 新しいLUCAシリーズはDolby Atmos対応

テレビ本体には2ウェイのスピーカーユニットを搭載。パネル下側左右に下向きの開口部を配置しています。55V型の55XQDA20によるサウンドを試聴するととてもスムーズで、大きめの音量で鳴らしても破綻しない余裕のある鳴りっぷりです。

  • 本体下部に2ウェイ仕様のスピーカーユニットを配置。テレビ単体で充実のサウンドを鳴らす

  • 本体下部からスピーカーユニットのある開口部が見える

【4】テレビ放送の画質・音質を自動で最適化「AIオート機能」

新しいLUCAシリーズには、テレビ放送の番組情報からジャンルを読み出して、5つのジャンルに最適な映像と音に自動調整する「AIオート機能」が付きました。ジャンルはニュース/音楽/映画/スポーツ/アニメの5種類。ユーザーの好みをAIオート映像に反映できる「かんたん映像設定」モードも新たに追加しています。

  • テレビの映像設定から「かんたん映像設定」モードを呼び出したところ

【5】Android TV搭載、リモコンで音声操作

LUCAの従来シリーズには、アイリスオーヤマが独自に開発したシナリオ応答方式による(ネット接続不要の)音声アシスタント「LUCA」が搭載されていました。今回の新シリーズではLUCAに代わって、汎用性の高いGoogleアシスタントによる音声操作をサポートしています。

  • マイク内蔵リモコンを使ったGoogleアシスタントの音声操作に対応。リモコン上部に6つのネット動画サービスを直接起動できるボタンを搭載するが、後述の通りNetflixには対応しない

テレビのスマートOSは、GoogleのAndroid TVになりました。Chromecast built-inにより、スマホやタブレットからテレビにコンテンツをキャストすることも可能です。以前のアシスタントLUCAでは音声によるテレビの電源オンに対応していましたが、Googleアシスタントではこの音声操作が非対応になります。

  • テレビのスマートOSにAndroid TVを採用

音声操作用のマイクを搭載するリモコンは、上部に6つのインターネット動画配信サービスへのダイレクトアクセスボタンを搭載。YouTubeやAmazonプライムビデオなど人気のサービスに対応していますが、Netflixには対応していません。Android TVへのアプリ追加や、スマホでNetflixを立ち上げてLUCAシリーズのテレビに無線LAN経由でキャスト再生することも不可となります。Netflixユーザーの方は、新しいLUCAシリーズを選ぶ前に注意したいポイントです。

クオリティと機能をほどよいバランスにまとめた4Kテレビ

新しいLUCAシリーズは、4Kテレビに求められるHDR画質と、立体音響体験を絶妙に「ほどよいバランス」にまとめ上げています。65V型の大画面がリビングに欲しい方や、プライベートルームに小さめのも4Kテレビを入れたい人の期待にも幅広く応えるラインナップ展開ができていることも強みだと思います。なお、設置スペースと予算が許すのであれば、筆者のおすすめは量子ドット技術を搭載する55V型「55XQDA20」です。

新しいLUCAシリーズはオンラインストアを利用すれば全国どこからでも購入でき、ホームセンターに足を運べば実機を確かめることもできます。24時間365日対応の「お客様サポート」が利用できるところも、日本のメーカーならではの安心感です。

  • アイリスオーヤマでLUCAシリーズを担当する武藤和浩氏

アイリスオーヤマの研究開発本部 デジタル家電開発部 部長である武藤和浩氏は、「新しいLUCAシリーズには昨今のスマートテレビのトレンドを反映させて、従来のLUCAシリーズのユーザーから寄せられた声を開発に盛り込んだ。生活に密着した『使いやすいテレビ』をぜひ体験してほしい」と呼びかけました。発売後の反響にも注目が集まりそうです。

  • 通常液晶パネルの新LUCAシリーズ4機種