デジタルカメラで撮影された写真には、写真の本質といえる画像データ以外にも「EXIF(Exchangeable image file format、イグジフ)」と呼ばれるデータが埋め込まれています。そこには使用したレンズやシャッタースピードといった機材に関するデータのほか、撮影日時や縦横のピクセル数といったデータが含まれます。
iOS 15の写真アプリでは、そのEXIFを含むメタデータを編集する機能が追加されました。編集できるデータは撮影日時と撮影位置に限られますが、専用のEXIF編集アプリを使わずそれらを修正/調整できるのは大きなメリットです。
撮影日時を修正する動機はいろいろ考えられますが、いわゆる"アリバイ作り"はそのひとつです。何月何日何時何分にどこで撮影したのか、正確な情報を写真のEXIFデータを見れば確認できますから、確認されることを見越してEXIFを改ざんした写真を配布するというわけです。
しかし、写真アプリのEXIF編集機能では、正確な修正ができません。撮影日時を例にすると、年月日および分単位での修正は可能であっても、秒はつねに「0」に変更されてしまいます。
たとえば、撮影日時を2022年8月31日8時45分22秒から2022年8月30日8時45分22秒(きっかり1日前の撮影)に修正しようとしても、自動的に2022年8月30日8時45分0秒にされてしまいます。1枚のときはともかく、2枚、3枚の写真すべてが「0秒」での撮影となると、EXIFを確認するほど慎重な人は訝しく思うに違いありません。
位置情報も同様に、緯度/経度を細かく指定することはできません。iOS 15の写真アプリでは、住所または行政区分、駅や有名な建物しか認識されない仕様になっています。見る人が見れば、不自然な撮影位置に映るのではないでしょうか。