渡辺明棋王への挑戦権を争う第48期棋王戦コナミグループ杯(主催:共同通信社)は、9月1日(木)に挑戦者決定トーナメントの藤井聡太竜王―久保利明九段戦が行われました。結果は83手で藤井竜王が勝ちました。

第48期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメントの表

本局は後手の久保九段が四間飛車に振り、藤井竜王は居飛車穴熊を目指します。藤井玉が▲9九玉と穴に入った瞬間、ハッチを締められる前に久保九段が△4六歩▲同歩△9五歩▲同歩△6五歩と、次々と歩を突き捨てて軽快に仕掛けました。以下、後手の攻めが続くかとなりますが、45手目の▲6六角から先手が桂得し、取った桂を▲8八桂と受けに使って、藤井竜王がペースを握ります。

ただ、久保九段も細かく攻めを繋げていき、△9五香と詰めろに走って先手玉にも危険が迫ってきました。藤井竜王は▲9六歩△同歩▲9七歩と歩の連打で受けます。

対して久保九段は△7七歩と金頭をたたきます。▲同桂と取った手が8五の角に当たりますが、それにも構わずに△8六桂と歩頭桂の捨て駒、さらに▲8五桂と角を取った手に対して△9九角の捨て駒を放ち久保九段は激しく迫ります。しかしこの攻めの切っ先はわずかに届かないことを藤井竜王は見切っていました。▲8九玉とかわした局面は危険ですがわずかに詰みはありません。戻って△7七歩に代えて、△7六香と打てば難しかったようです。

最後は蓄えた駒を使って藤井竜王は後手玉を即詰みに切って落とし、勝利。棋王戦では初めてベスト8に進出しました。次戦では豊島将之九段対阿久津主税八段の勝者とぶつかります。

現在、王位戦の防衛戦を戦っている藤井竜王ですが、10月からは竜王戦の、そして年を明けた1月からは王将戦の防衛戦が始まります。そのようなハードスケジュールでさらに棋王にも挑戦できるかどうか。棋王戦はベスト4からは敗者復活戦があるので、そういった意味でも次の一番は重要です。

相崎修司(将棋情報局)

棋王戦で初めてベスト8に進出した藤井竜王(提供:日本将棋連盟)
棋王戦で初めてベスト8に進出した藤井竜王(提供:日本将棋連盟)