健栄製薬が化粧品業界に本格参入する。同社では新スキンケアシリーズ「ル・マイルド」を立ち上げ、化粧水、乳液の2商品を9月20日より発売予定。長年、消毒剤や軟膏製剤の基礎研究に取り組んできた知見を活かした、こだわりの高保湿スキンケアになっているとアピールする。都内では記者説明会が開催された。
長年の知見を活かした商品に
健栄製薬は1946年創業の消毒薬トップメーカーとして知られている。手ピカジェル(指定医薬部外品)、ベビーワセリン(化粧品)、ヒルマイルドクリーム(第2類医薬品)などの商品を使ったことがある人も多いことだろう。
そんな同社が化粧品業界に参入する。健栄製薬 代表取締役社長の滝野六朗氏は、その背景を次のように説明した。「私どもは白色ワセリン、ベビーワセリンなど皮膚の乾燥を防ぐ医薬品の研究を69年間にわたり続けてきました。また医療機関向けには指消毒用のアルコールも30年間製造販売しています。肌に優しい保湿の技術、ノウハウの蓄積がある。これを活かして、肌にマイルドな高保湿化の『化粧水』と『乳液』を開発できないかと考えました」。
きっかけは2020年に発売した乾燥肌治療薬「ヒルマイルド」(一般用医薬品)だった。当時、市場では医療用医薬品として処方されるヘパリン類似物質製剤を美容目的で使用する人が増加し、医療費を圧迫していた。そこで健栄製薬では「薬局で買える」「乾燥肌は自分で治せる」というキャッチコピーを掲げたヘパリン類似物質製の「ヒルマイルド」を発売した。その結果、初年度に200万本以上の売上を記録している。
消費者からは「肌への効果は優れているけれど、医薬品なので毎日は使いづらい」「美容目的で使えるヘパリン類似物質製剤も開発して欲しい」という声が寄せられた。そこで、1.美容目的で日常使いできる、2.原料は医療用医薬品と同じ、3.乾燥肌以外の肌質でも使える、という特長を持った「ル・マイルド」ブランドを新たに立ち上げた。
6つの有効成分にこだわった。「ヘパリン類似物質」は、水分を引き寄せて保ち続ける働き。肌内部の角質層まで浸透して肌細胞に働きかける。「グリチルリチン酸ジカリウム」は消化作用を有し肌荒れに効く。「CICA成分」にはニキビやニキビ跡の改善する効果がある。「アロエエキス」は肌のハリツヤを維持。「セラミド類似成分」は潤いを保ち、バリア機能を正常化する。「リピジュア」は表皮にベールを張るようにして外的刺激から皮膚を保護する。
「化粧水」「乳液」ともに、肌荒れ、あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐほか、肌を清浄にして、皮膚を健やかに保つ、潤いを与える、乾燥を防ぐといった効能・効果が認められるという。
滝野社長は「弊社が発売する初めての化粧品です。大手メーカーとは違う、健栄製薬ならではの商品となりました。もともと発売する以上は、本当にいいモノを、お手頃な値段で出さないとわざわざ出す意味がない、と思っていました。自信を持ってオススメする化粧水と乳液になりました。ぜひ、多くの方に使ってもらえたら」と紹介した。
肌トラブルが急増中
このあとゲストとして、美容外科・皮膚科医で自身のスキンケアブランドも展開している上原恵理氏が登壇した。上原氏は「いま世代を問わず『肌の乾燥』について悩んでいる人が増えています。原因のひとつは、空気の乾燥にあります。冬場は乾燥しているのでもちろんですが、夏の間もエアコンを効かせていますね。つまり私たちの肌は1年中、空気の乾燥にさらされているわけです」と切り出す。
さらには、マスクの使用による肌トラブルにも言及。「マスクをしていると空気がこもり、温度が上がります。そしてマスクをとった瞬間に蒸気が蒸発し、一気に乾燥が進んでしまうんです」。診療に訪れた患者にはこれまで、保湿のためにヘパリン類似物質の入った商品を薦めてきた、と上原氏。新商品の「ル・マイルド」については、有効成分の効果・効能を1つずつ解説したうえで「肌の保湿を徹底的に考えた商品になっていますね」と太鼓判を押した。