そしてビタミンDと成長の関連の検討が行われたところ、血中ビタミンD濃度が10ng/ml未満だった子どもは、そうでない子どもに比べて身長の伸びが有意に小さいことも確認された。ビタミンD不足のない子どもの身長は年間約8cm伸びているのに対し、ビタミンD欠乏が見られた子どもの身長の伸びは、年間7.4cmに満たないという結果であったという。

  • ビタミンDと身長の伸び

    ビタミンDと身長の伸び (出所:熊本大プレスリリースPDF)

また、血中ビタミンD濃度と屋外活動の時間の関係性についての検討が行われたところ、血中ビタミンD濃度が低いグループでは日中に屋外で遊ぶ時間が短い傾向があり、特に冬における差が大きいという結果が見られたとする。血中ビタミンD濃度は日照時間の短い冬に下がりやすいため、冬の期間に屋外活動の時間が少ないと、ビタミンD不足を増悪させることが明らかにされたとする。

  • ビタミンDと冬の外遊びの時間

    ビタミンDと冬の外遊びの時間 (出所:熊本大プレスリリースPDF)

今回の研究成果は、ビタミンD不足が子どもの低身長や成長障害のリスク因子であることを示唆するものだと研究チームでは説明しているが、今回の研究では経時的に対象者の血中ビタミンD濃度を測定しているわけではなく、また血中カルシウム濃度や骨密度などの評価も行ってはいないため、ビタミンD欠乏がどのようなメカニズムで身長の伸びを阻害するのかを明らかにできてはいないともしており、今後の研究で、そのメカニズムが解明されることが期待されるとしている。

なお、研究チームでは引き続き、ビタミンD欠乏の子どもの成長がどのように推移するのか調査を継続していく予定としているほか、子どもの成長だけでなく免疫機能や心疾患、糖尿病などとの関連についても明らかとなることが期待されるとしている。また、ビタミンD欠乏の子どもを対象としたさらなる解析(血中カルシウム濃度や骨密度の測定)によって、ビタミンD欠乏が身長の伸びを抑制するメカニズムが解明されていくと思われるとしているほか、介入研究(ビタミンDの補充など)によって、ビタミンD欠乏に対する治療法や対処法を確立していくことも重要としている。