今回は、動物が登場することわざを、鳥・牛や馬・魚や甲殻類・犬や猫のことわざ別にご紹介します。
ことわざには動物に関連するものが多く存在し、さまざまなシーンで使われているので、最後まで要チェックです。
動物のことわざ【鳥】
ここでは、動物のなかでも鳥が登場することわざをピックアップしてご紹介します。
鳩を憎み豆を作らぬ
鳩は現在では平和の象徴として比較的良いイメージを持つ鳥です。日本全国各地に生息しているので、特に身近な鳥の一種でしょう。
しかし、鳩は害鳥という一面も持っています。豆などの農作物を食べるため、畑などに被害を与えることがあるのです。
このことわざは害鳥として豆をついばむ鳩を嫌って豆を作らないという意味です。ちょっとしたことにこだわることで、逆に大きな被害、損害を招いてしまうことのたとえとして使われます。
飛ぶ鳥跡を濁さず(立つ鳥跡を濁さず)
その場から立ち去るのであれば、あとを濁さない、見苦しくしないようにすべきであるという意味合いで使われることわざです。また、潔く身を引くことのたとえとして使われることもあります。
鳥が登場することわざのなかでも特に有名なもので、教訓的な意味を持つことから日常会話や送別会での挨拶、スピーチなどでも使いやすいものの一つです。
鳶も居ずまいから鷹に見える
鳶(とび)と鷹も日本に古くから生息する鳥であり、さまざまなことわざに登場します。このことわざのようにセットで使われることが多いのも特徴です。
このことわざは、鳶のように卑しい者であっても、立ち振る舞い次第で鷹のように高貴で上品に見えるという意味です。
ことわざにおいて、一般的には、鳶は人間の食べ物などを奪うことなどもあるため、格下、意地汚い態度や人にたとえられ、鷹は高貴な存在を表します。鷹も鳶も同じ猛禽類であり、大きさも近いため似たものとして認識されることもありますが、ことわざにおいては異なるイメージで使われることが多い傾向にあります。
怠け者の足から鳥が起つ
このことわざには普段から怠けている人は、いざ何かが起こると大騒ぎして対応を始めるという意味があります。怠け者の態度や動を表したことわざです。
急に騒いで何かを始めることを単に「足元から鳥が立つ」と表現することもあります。
動物のことわざ【牛や馬】
続いては、牛や馬が登場することわざをご紹介します。
練り牛も淀まで
練り牛には「ゆっくりと進む牛」という意味があります。
このことわざには、京を出発した牛は、ゆっくりであっても淀(よど)にたどり着くという意味があります。ものごとのスピーチの違いはあっても、結局同じ場所に到着することのたとえとして使われることわざです。
「遅牛も淀早牛も淀」も同じ意味で使われます。
女賢しくて牛売り損なう
このことわざには女性が賢そうな様子で前に出すぎると、相手に見透かされて失敗してしまうという意味があります。 単に女性がという意味ではなく、浅い知恵を使って何かをしようとすると失敗することのたとえとしても使われるようです。
噛む馬はしまいまで噛む
馬の悪癖として、よく知られているのが「噛み癖」です。このことわざには、噛み癖のある馬は死ぬまで噛み続けるという意味があります。悪癖はなかなか直らないことのたとえとして使われることわざです。
ネガティブな意味ではありますが、教訓的な意味合いでさまざまなシーンで使うことができます。
夕立は馬の背を分ける
このことわざには、夕立は馬の背で分けられた片方だけで降り、もう一方では降らないという意味があります。夕立が降る範囲は局所的であり、近くであっても状況が大きく異なることのたとえです。
馬の背という言葉は、馬の背中以外にも、両側が崖になっている谷で囲まれた細い山の地形を指すこともあります。
動物のことわざ【魚や甲殻類】
ここでは、魚や甲殻類が登場することわざのなかでも特に有名なものをピックアップしてご紹介します。
魚の目に水見えず
文字通り、魚の目には水は見えていないという意味です。身近にあり、自分にとって大切なものや関わりの深いものは見えない、その存在に気づかないことのたとえとして使われます。
人生において重要な気づきを与えることわざの代表的なものなので、ビジネスシーンやスピーチなどでも使いやすい表現の一つです。
魚心あれば水心あり
相手が好意を示しているのであれば、こちらも好意を示す気になるという意味のことわざです。相手の態度によってこちらの態度も決まる、といった意味で使われることもあります。
好意のみでなく、相手の求めているものが身勝手で、不正なものである場合、こちらが与えるのも同様になるといったネガティブな意味で使われることもあります。
さまざまな意味合いで使うことができるので、覚えておくことでコミュニケーションの幅を広げることができます。
釣り落とした魚は大きい
釣り落とした、逃がしてしまった魚ほど大きく感じられるという意味のことわざです。手に入れることが叶わなかったものは、悔しさも加わって実際よりも大きく、価値があるもののように感じられるというたとえで使われます。
「逃がした魚は大きい」といわれることもあります。こちらも、魚に関することわざのなかでも有名なものの一つであり、日常会話などでも使いやすい言葉なので頭に入れておきましょう。
蟹は甲羅に似せて穴を掘る
蟹は自分の体の大きさに合わせて穴を掘るという意味で、自分の身分や力量などに相応しい行動・言動をしたり、望みを持ったりすることのたとえとして使われます。
教訓的な意味合いを持つことわざなので、スピーチや相手を激励する際などにも使いやすい言葉です。自分の気を引き締めるための決意表明などにも使いやすいです。
動物のことわざ【犬や猫】
犬や猫は、多くのことわざや慣用句に使われています。ここではそのなかでも有名なものをピックアップしてご紹介します。
飼い犬に手を噛まれる
犬が登場することわざでも有名なものの一つが、「飼い犬に手を噛まれる」です。
意味は文字通り、自分が飼っている犬に手を噛まれてしまうというもの。味方や、目をかけている人、部下などに裏切られて損害を被る、ひどい目にあうことのたとえとして使われます。
あくまで自分の部下など、自分より立場が下の人に裏切られてしまった場合に使われるものです。上司など目上の人に裏切られたとしても、「飼い犬に手をかまれる」とはいわないので注意が必要です。
結構毛だらけ猫灰だらけ
「結構毛だらけ猫灰だらけ」は、特別な意味を込めたり、何かのたとえとして使ったりするものではありません。「とても結構だ」「たいへん結構だ」という意味であり、少しふざけていう際に使われます。
「猫灰だらけ」とは、現在ほど暖房機器などが普及していなかった時代、猫は夜などに暖をとるために火が消えても暖かく保たれる台所の竈(かまど)の中に入っており、猫は冬には灰だらけになることが由来です。
厳密にいうと、この言葉はことわざではなく地口の一種であり、ことわざをはじめとしたさまざまな言葉に近い発音で作られたしゃれ言葉です。コミカルな表現なのでかしこまった場所やスピーチなどではなく、日常会話や比較的カジュアルなシーンや場を和ませたい時に使いやすい言葉です。
鳴く猫は鼠を捕らぬ
よく鳴く猫は鼠(ねずみ)をあまりとらないという意味のことわざです。口が達者な人は逆に行動を起こさない、実行をしないことのたとえで使われます。口だけの人を揶揄するようなシーンで使われます。
かつて猫は、鼠を捕ってくれることを期待して飼われるケースが多く、猫にとって鼠を捕ることが仕事だったのです。
こちらも猫に関することわざのなかでも特に有名なものの一つなので、日常会話でも使いやすい表現です。ただし、ネガティブな意味を持つのでビジネスシーンなどで使用する際には注意してください。
動物のことわざをコミュニケーションに活かそう
今回は動物のことわざをご紹介しました。
動物が登場することわざは数多くあり、文字から意味が分かりやすいものだけでなく、分かりづらいものもあります。
ぜひことわざと意味をセットで覚えて、コミュニケーションに活かしてみてくださいね。