「度重なるトラブルに彼は落胆していた」など、「落胆」という言葉はがっかりしている人の心情を表す言葉として使われます。一般的に浸透している言葉であり、ビジネスシーン・日常会話を問わずよく使われますが、類語との細かいニュアンスの違いや、言葉の成り立ちについてはあまり知らない人も多いでしょう。
この記事では、「落胆」の意味や使い方、類語、対義語、英語表現などを紹介します。
落胆の意味とは
「落胆」には、「期待や希望がかなわず、がっかりして気力を失うこと」という意味があります。自分の望みがかなうだろうと思っていたのにかなわなかった状況を表す言葉です。
落胆の成り立ち
「落胆」を構成する「落」と「胆」という漢字には、それぞれ次のような意味があります。
まず「落」の意味は、「落ちる」「落とす」などです。そして「胆」には「心」「気持ち」という意味があります。この2つが組み合わさって「気持ちが落ち込む」という意味の「落胆」となりました。
落胆の使い方・例文
「落胆」は、「する」や「大きい」などの言葉と組み合わせてよく使われる言葉です。ここでは、「落胆」の具体的な使用例を紹介します。
落胆する・落胆した・落胆させる
・悪い報告をしなければならず、課長が落胆する姿が目に浮かぶようだ
・思っていたよりも手取りが少なく、落胆した
・前もって期待させるようなことを言ってしまったばっかりに、結局彼を落胆させてしまった
「落胆」は気持ちの様子を表す名詞なので、上記のように「する」「した」「させる」などと組み合わせて使われることが多いです。
落胆の色が隠せない
・昇進を確信していただけに、人事発表が肩透かしで落胆の色が隠せない
・勝てると踏んでいた試合に負けてしまい、メンバー全員、落胆の色が隠せないようだ
「色」は「表情」という意味がある言葉です。「落胆の色が(を)隠せない」は、上記のように「落胆する表情を隠せないほど落ち込んでいる」という意味で使われることがあります。
落胆が大きい
・せっかく昇給したのに税負担が思った以上に大きく、手取りが増えなかったことへの落胆が大きい
・チーム一丸となって取り組んだプロジェクトがうまくいかず、メンバーらの落胆が大きかった
「落胆」の度合いが大きい場合、上記のように「大きい」と組み合わせて使われることがあります。「落胆」の代表的な使い方として覚えておきましょう。
落胆の類語・言い換え表現と、落胆との違い
「落胆」には似た意味がある言葉がいくつかあります。状況に合わせて使い分けられるよう、それぞれ「落胆」との違いも解説するので、併せて覚えておきましょう。
失望
・昇進を期待していただけに、全く評価に反映されておらず失望してしまった
「失望」の意味は「期待が外れてしまいがっかりすること、その結果、希望を持てなくなってしまうこと」です。「落胆」と似た意味ではありますが「これから先の夢や希望まで失ってしまう」という点が「落胆」との違いです。
がっかり
・楽しみにしていた旅行を中止せざるを得なくなり、がっかりしてしまった
「がっかり」とは、「望みがかなわなかったり当てが外れたりして、気力をなくしてしまう様子」という意味がある言葉です。「落胆」と意味は似ていますが、「がっかり」の方がより日常会話に使われることが多いかもしれません。
意気消沈(いきしょうちん)
・チーム一丸となって取り組んだプロジェクトだが、失敗に終わりメンバーは意気消沈してしまった
「意気消沈」の意味は、「意気込みがすっかり衰えて、元気がなくなること」です。
「落胆」も「意気消沈」も、「落ち込むこと」という意味は共通しています。ただし「落胆」は「希望がかなわなかったこと」による落ち込みを表現しているのに対し、「意気消沈」は落ち込んだ結果として「意気込み、やる気がなくなってしまった」状態を表しています。ニュアンスが少し異なる点に注意しましょう。
虚脱(きょだつ)
・また一からやり直しせねばならず、虚脱感にさいなまれた
「虚脱」には「体力も気力もなくなり、何も手につかない様子」という意味がある言葉です。「落胆」は気持ちの落ち込みを表す言葉ですが、「虚脱」は気持ちも体力も残っていないことを表す点が異なります。
落胆の対義語
「落胆」の対義語について見ていきましょう。
奮起(ふんき)
・思っていたよりも手取りが少なかったので、奮起して頑張ろう
「奮起」の意味は「勇気や元気を奮い起こすこと」です。「落胆」と逆の心情を表す言葉として覚えておきましょう。
有頂天(うちょうてん)
・試合に大勝し、メンバー全員が有頂天になっていた
「有頂天」とはもともとは仏教由来の言葉で、一般的には「得意の絶頂であること」という意味で使われます。「落胆」とは逆の立場となった者が使う言葉です。
期待
・このプロジェクトには全力で取り組んだので、成功を期待してもいいはずだ
「期待」には「ある物事が実現するだろうと、望みをかけて心待ちにすること」という意味があります。「落胆」は「期待」に反して失敗することですので、逆の状況を表すといえるでしょう。
感動
・新作のドキュメンタリー映画を観たら、感動して泣いてしまった
「感動」とは、「物事に深い感銘を受け、強く心を動かされること」という意味の言葉です。気持ちの高ぶりを表していることから、「落胆」とは逆の意味と考えることができるでしょう。
落胆の英語表現
日常会話やビジネスで英語を使う機会があるなら、「落胆」の英語表現も覚えておきましょう。「落胆」「落胆する」「落胆させる」などで適した英語表現が異なるため、それぞれ紹介します。
「落胆」の英語表現
・discouragement(落胆、がっかりさせること)
・dejection(落胆、失意、ゆううつで意気消沈している状態)
・dismay(障害に直面した絶望感、心配や恐怖などにより気力をなくした状態)
名詞としての「落胆」には、上記のような表現があります。少しずつニュアンスが異なるので、心情に合わせて使い分けましょう。
「落胆する」の英語表現
・be discouraged(落胆する、へこたれる)
・lose heart(落胆する、心が折れる)
・lose courage(落胆する、怖じ気づく、勇気を失う)
「落胆する」にもいくつかの表現があるので、上記を参考に、英会話などで活用してみてください。
「落胆させる」の英語表現
・discourage(落胆させる、勇気を失わせる)
・disappoint(失望させる、裏切る)
「落胆させる」という意味がある英単語はたくさんありますが、中でも上記の2種類がよく使われますので、覚えておきましょう。
落胆はがっかりした時に使う言葉
「落胆」とは、「希望や期待がかなわず気落ちすること」という意味がある言葉です。具体的には、「落胆する」「落胆が大きい」「落胆の色が隠せない」といった使い方があります。
「失望」「がっかり」など類義語もいくつかありますので、使用シーンに合わせて使い分けるといいでしょう。
「落胆」はビジネスシーン・日常会話など、さまざまなシーンで使える言葉です。この記事で紹介した使い方の例文を参考に、適切な状況で活用してみてください。