西山朋佳白玲に里見香奈女流五冠が挑戦する第2期ヒューリック杯白玲戦七番勝負(主催:ヒューリック株式会社)の第1局が8月27日(土)に東京都港区「グランドニッコー東京 台場」で行われました。結果は127手で里見女流五冠が勝ち、開幕戦を制しました。
今年度の両者によるタイトル戦はマイナビ女子オープン、女流王位戦に続く3度目。過去2回はいずれもタイトル保持者の防衛という結果でしたが、今回はどうなるでしょうか。開幕の第1局は振り駒の結果、里見女流五冠の先手番になりました。両者の戦いといえば相振り飛車になるのが恒例ですが、本局も先手の里見女流五冠が中飛車に、西山白玲が三間飛車に振っています。
まずは里見女流五冠の動きを逆用する形で西山白玲が4筋に攻め駒を集中し、優位に立ちます。4筋で銀がぶつかっている47手目、里見女流五冠は▲6二歩と打ちました。歩を一枚渡すマイナスはありますが、△同金引とさせることで後手玉を狭くできます。続く▲9四歩からの端攻めの迫力が増しました。ただ先手の端攻めよりも後手の4筋攻めの方がより厳しく、後手の優位は変わりません。
ただ里見女流五冠もうまく手をつなぎ、また西山白玲が優勢を自認して踏み込みを欠いたところがあり徐々に差が詰まっていきます。ついに87手目▲9三歩成と端の突破に成功しました。こうなると前述の▲6二歩△同金引が絶妙の利かしになっています。形勢は混沌としてきました。
99手目▲7七桂と飛車に当てた手に対し、△6四飛と9四の飛車にぶつければ難解だったようですが、実戦は△2五飛だったため、▲6四歩の金取りが厳しく入り、ついに先手の逆転模様となりました。最後は里見女流五冠が後手玉を即詰みに打ち取り、七番勝負の開幕戦を制しました。里見女流五冠は初の七番勝負について「経験したことのない七番勝負ですので、長丁場の戦いになると思うのですが、少しでも成長できる勝負にできたらと思います」と語りました。一方、敗れた西山白玲は「(第2局は)手番も決まっていますので、いい状態で臨みたいなと思います」と次戦への抱負を述べました。第2局は9月3日(土)に京都府京都市の「ザ・ゲートホテル京都高瀬川」で行われます。女流棋界トップの戦いから、目が離せません。
相崎修司(将棋情報局)