今回は、先週も少し触れたOneDriveを取り上げたい。公式ブログによると、OneDriveは15周年を迎えた。これはコード名「SkyDrive」で開発していた「Windows Live Folders」のベータテストが2007年6月、同年8月に「Windows Live SkyDrive」へ改称して一部の国に一般提供を開始したことに起因するのだろう。
その後は機能強化やサービス内容の変更で混乱しつつも、「Microsoft SkyDrive」→「Microsoft OneDrive」と改称し続け、現在に至る。Windows XP・Vista・7時代のMicrosoftは、インターネットツール群をひとまとめにした「Windows Live」とWindows本体を分離開発し、技術革新が著しいインターネットの変化を追いかけていた。Windows Liveは、Windows 8リリースに合わせて、2012年に開発・ブランド戦略を終えている。
はじめからOneDrive単独であれば、「Microsoft製クラウドストレージはOneDrive」と分かりやすかっただろう。そしてさらなる混乱を招いたのが、ビジネス向けの「OneDrive for Business」の存在だ。
原点は同じなのだが、Lotus Notes開発者の一人であるRaymond Ozzie(レイモンド・オジー)氏がMicrosoftに参画し、同氏のGroove Networksが持つP2P型グループウェア「Groove」をMicrosoft Officeと融合させ、そこから「SharePoint Workspaces」→「SkyDrive Pro」→「OneDrive Business」と名称を変えつつ、別の進化を遂げていった(Ozzie氏は2010年にMicrosoftを退社)。
「OneDrive」と「OneDrive for Business」は、ファイルが格納されるストレージも運用ポリシーも異なり、両者は似て非なるサービスだ。OneDriveが個人のファイル保存や友人・家族とのファイル共有が主な用途であることに対し、OneDrive for Businessは組織メンバーとのドキュメント共同編集や、社内外とのファイル共有が主目的。とはいえクライアントのバイナリーは同じく、Web UIも似通わせるなど共通点は多い。
さて、MicrosoftはOneDriveの15周年に当たって、15個の利点を主張した。詳細は割愛するが、ポイントを挙げると以下のようになる。
- すべてのファイルを指先で操作できる。
- チームの仲間や同級生と安全にファイルを共有できる。
- 深く統合したOfficeを活用する。
- TeamsやSharePointのファイルへ簡単にアクセスできる。
- Microsoft Graphによるインテリジェント検索。
- 外出先からファイルの作成・アクセス・閲覧・編集・共有が可能。
- 職場または学校のファイルと個人用ファイルのシームレスな行き来。
- OneDrive上で写真を直接編集。
- 大容量ファイルや動画のアップロード、プレビュー、編集が可能。
- 貴重なローカルストレージ領域を節約。
- 機密文書やデータの保護。
- KFMによるフォルダーのバックアップまたはリダイレクト。
- 組織内コンテンツの一元管理。
- Personal Vaultによる個人用文書の保護。
- ワンクリックでファイルや写真を家族や友人と共有する。
説明の端々を読む限り、OneDriveとOneDrive for Businessの利点が混在しているが、個人的にはおおむね同じ意見だ。ただ公式ブログのコメント欄には手厳しい意見も寄せられているので、一読してみるとよいだろう。また、今回の15周年を記念し、MicrosoftはOneDriveのトップページリニューアルを予定している。
別の公式ブログによれば、「OneDrive Home」の上部は自身に関係のあるファイルがサムネールつきで推奨され、過去に利用したファイルはファイル形式(docx、pptx、xlsx、pdf)で選別できる。特徴的なのは新たに加わる「Activity」列だろうか。コメントやメンションなど共同編集にまつわる情報を表示し、編集・確認すべきドキュメントを見逃さない。なお、Quick accessセクションは、OneDrive内のフォルダーをピン留めする領域のことだ。筆者はOneDriveのWebページを使用しておらず、未ローンチであるOneDrive Homeの評価は難しいが、Microsoftはファイル操作もWebに導こうとしているのだろう。