最近「#多分私しかやってない」のハッシュタグがTwitter上で話題になり、超絶技巧の職人技やユニークな面白ネタが披露されています。

そんななか、国産つまようじを製造する大阪府河内長野市の菊水産業株式会社(@kikusui_sangyo)の「中の人」が投稿したのが、つまようじの検品風景。

#多分私しかやってない 国産爪楊枝の検品 ウソみたいだろ? 目視でピンセットで不良品取り除いてるんだぜ? 目が、目がぁぁぁ~!(@kikusui_sangyoより引用)

  • (@kikusui_sangyoより引用)

無数のつまようじの仕上がりのチェック方法は、なんと「目視」。一本一本目でチェックし、不良品があればピンセットで取り除いているのだそうです。つまようじの検品にこんなに手間ひまをかけている企業があったとは……!

この投稿に対し、リプライや引用リツイートでは、「す、すごい。目がチカチカしそうだし、全部同じに見えそうだし、途中でどこまでやったか分からなくなりそう」「どれが不良品か分からない」など、あまりにも細かい作業への感嘆の声が集まりました。

いったいどのようにして不良品を見分けているのか、菊水産業の中の人・お菊さんに検品のポイントや目のケア方法などをうかがいました。

「つまようじの検品」、投稿者に聞いてみた

――菊水産業はどのような会社さんでしょうか?

弊社は大阪府河内長野市の地場産業である「つまようじ」の会社です。製造部門では皆さんが普段お使いになる「爪楊枝」と、和菓子を食べる際に使用する高級楊枝の「黒文字楊枝」の国産品の製造をしています。

  • 伐採から製造まで国産で、職人でもある社長自ら制作しているという黒文字楊枝(@kikusui_sangyoより引用)

またその他には職人さんに制作してもらった国産の台所用品、海外産の商品などの卸、百貨店さんや飲食店、和菓子屋さんへのOEM商品からEC販売まで飲食にまつわる商品を幅広く取り扱っています。

現在、日本国内で流通するつまようじは中国製品が大半を占めています。最盛期には一般的なようじを製造するメーカーは国内に20数社ありましたが、現在は全国で2社しかありません。地場産業として河内長野市内で製造しているのは「菊水産業」のみ、もう一社さんは本社は河内長野にありですが製造は北海道でされています。

――今回投稿された検品の場面は、つまようじ作りのどの段階ですか?

こちらは出荷する前の最後の検品の様子です。一般的な溝がある形状の国産つまようじではなく、溝のないタイプのものになります。

1ケースに6列入っていて、1列並べるごとに製造過程でも目視の検品を行っていますが(第1段階の検品)、どんどん製品ができあがるので丁寧に見る時間があまりありません。

こちらは1本ずつ袋入り加工をするものなので、袋加工工場に出荷する前にも丁寧に検品しておかないとそのまま袋入り加工されてしまいます。そうならないよう、最終的な検品の様子となります。

――こちらの検品でチェックされているポイントを教えてください。素人目には全部きれいなようじにしか見えません……。

尖っている先側が並ぶなかで、先が尖っていないもの、削りすぎて細くなりすぎているもの、先が割れているものなどを取り除いています。

――ところどころ逆側(頭側)が手前になっているのはなぜでしょうか?

これは、製造工程でどうしてもそうなるのですが、機械から大量につまようじが出てきます。その際にたまたま反対向きになってしまったり、箱詰めの際に逆を向いたりします。

  • (@kikusui_sangyoより引用)

こんな感じで機械からたくさん出てきたのをまとめて箱詰めしています。6列で1ケース(約9万本)ですね。

――細かな作業、とにかく目が疲れそうですが、目が疲れた時のケア方法があればお聞かせください。

目視で行っていて疲れてくると焦点が合わなくなってくるので、拡大鏡を使ったりしています。

この作業は毎日しているわけではないので、一時的な疲労は若干ありますがなんとかなっています! しいて言えば、わかさ生活さんのTwitter公式中の人と親しくさせてもらっており、以前目にいいサプリメントをたくさんいただいたのでたまに飲んでいます。


「つまようじがどのように作られているかなんて知らなかった」という人も多いと思いますが、こうして人の目をフルに使って手間ひまかけて作られているつまようじが存在すると知れば、どんなものか俄然興味が湧いてきますよね。

菊水産業のつまようじは同社のネットショップでも販売中。北海道産のシラカバを使った純国産のつまようじ、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。