日常生活やビジネスシーンにて頻繁に使われる「親身になって」という言葉。
本記事では「親身になって」の詳しい意味や例文を交えた相手別の使い方、よく使うフレーズを紹介。類語、対義語に英語表現もまとめました。
「親身になって」の意味とは
まずは「親身になって」という言葉を理解するために、「親身」の意味から確認してみましょう。
「親身」の意味
「親身」という言葉には、大きく分けて2つの意味があります。
1つ目の意味は「血統や結婚などによって近しくつながっている人」で、親族や近親者など身内のことを指しています。
2つ目の意味は、「肉親であるかのように真心を込めて心づかいをすること」。つまり、血のつながっていない他人の面倒を見たり、友人などに尽くしたりすることを表します。
「親身になって」は「相手の身になり真心を持って(対応する)」という意味
2つの意味を持つ「親身」という言葉ですが、「親身になって」の形で使う場合は、「肉親であるかのように真心を込めて心づかいをすること」の意味で使われます。
特定の人が、家族でもない誰かに誠実な対応をすることを表現する言葉で、日常生活でもビジネスシーンでも使用されるフレーズです。
「親身になって」の使い方と例文
「親身になって」自体は相手の立場を問わず使える言葉です。しかし、文章全体を敬語にしたい場合は、続く表現を状況に合わせて変化させなければなりません。
そこでここからは、「親身になって」の使い方と例文を「目上の人に使う場合」と「同僚や後輩などに使う場合」の2パターンに分け、詳しく解説していきます。
目上の人に使う場合の例文(尊敬語・謙譲語)
目上の人が「親身になって」くれた場合は、続く言葉を尊敬語か謙譲語を使って表現するといいでしょう。
【例文】
・田中部長が親身になってご指導くださり、とても助かりました
・ご担当の方が親身になって話を聞いてくださったこと、大変感謝しております
・御社のマネージャーの山田さんには、いつも親身になっていただいています
・○○さん、先日は親身になってご対応いただき、ありがとうございました
同僚や後輩などに使う場合の例文(丁寧語)
同僚や後輩などに対して「親身になって」を使う場合、後の言葉を尊敬語や謙譲語にする必要はありません。ただし、フォーマルな場面で使うのであれば、丁寧語を加えるといいでしょう。
【丁寧語の例文】
・中田さんはいつも親身になって相談に乗ってくれます
・同期の山田さんが親身になって話を聞いてくれるので、大変助かっています
【カジュアルな例文】
・この間は親身になってくれてありがとう
・親身になって寄り添ってくれて、すごくうれしいよ
「親身になって」の使い方のポイント
献身的に尽くしてくれる人や、肉親であるかのように気に掛けてくれる人に対して使う「親身になって」という言葉。
どのようなことを意識しながら使用すればいいのでしょうか。ここからは、「親身になって」を使う上で覚えておきたいポイントを紹介します。
「親身になって」が含まれるフレーズを確認しておく
「親身になって」が含まれるフレーズはいろいろとあり、例えばよく使われるものの一つに「親身になっていただき」があります。
親切にしてくれた人にお礼を言いたい時などに、「親身になっていただきありがとうございます」というと、深く感謝している気持ちを伝えられることでしょう。
また「親身になって相談に乗る」や、「親身になって対応する」「親身になって寄り添う」「親身になって向き合う」などもよく見聞きするフレーズです。
さまざまな立場の人に対して使える
思いやりを持って接してくれた人などに対して使う「親身になって」は、さまざまな立場の人に対して使える言葉です。
「親」という字が入っているので目上の人にしか使えないと思うかもしれませんが、同僚や後輩などの目下の人に使っても問題はありません。
また、日常生活・ビジネスシーン問わず使用できる表現でもありますので、幅広く使えることを覚えておきましょう。
「親身になって」の類語・言い換え表現
言葉の意味をより深く理解したり使い方のポイントを把握したりするためには、類語を知ることが効果的です。
「親身になって」にも似た意味を持つ言葉やフレーズがいくつかありますので、それぞれの類語の意味や使い方などを確認しておきましょう。
親切に
「親切」とは、相手の身になって何かを行うことや、思いやりを持って接することです。
「先日は親切にしていただきありがとうございました」「いつも親切にしてくれて救われているよ」などの形で使用します。
献身的に
「献身的」とは、自分自身や自分の利益を犠牲にするほど一心に、人や物事に尽力する様子を表す言葉です。
「献身的にお世話いただき、誠に感謝しています」「献身的な対応に感銘を受けた」などの形で使用します。
自分を顧みず
「顧みず」は、「心に留める、気に掛ける」という意味の「顧みる」を否定した表現です。そのため「自分を顧みず」という言葉は「自分のことを気に掛けずに」という意味合いになります。
「親身になって」と同じく、他人のために尽力する様子を表す言葉です。
家族同様に
「親身になって」は、血のつながりがないにもかかわらず非常に親密な関係である様子を表しているため、「家族同様に」とか「身内同然に」という言葉にも置き換えられます。
例えば、親身になって従業員の話を聞いている雇用主などに対して、「社長は従業員を家族同様に大切にしている」などと表現できるでしょう。
「親身になって」の対義語
「肉親であるかのように真心を込めて心づかいをすること」という意味の「親身になって」の、反対の意味を持つ言葉も見ていきましょう。
事務的に
「事務的」とは、単に事務に関する事柄、という意味もありますが、感情を入れずに型通りに処理する、という意味も持ちます。後者が「親身」の対義語です。
「深刻な悩みを抱えて相談に来た人に対して、○○さんはあくまで事務的に対応した」などの形で使用します。
その他、「冷たく」「他人行儀に」なども「親身になって」の対義語と言えるでしょう。
「親身になって」の英語表現
「親身になって」の英語表現は、「warmly」や「cordially」、「 with tender care」などで表します。
「warmly」は「温かい」という意味の形容詞「warm」を、「cordially」は「心からの、心のこもった」という意味の形容詞「cordial」を、それぞれ副詞形にした形です。
「tender care」は「愛護」という意味で、前置詞「with」を一緒に使うことで「愛護して=親身になって」という意味になります。
例えば、「彼女は親身になって考えてくれた」という場合は、「She thought of that warmly(cordially).」といった形で使います。
「親身になって」はビジネスシーンでも使える温かい言葉
「親身になって」は「相手の身になり真心を持って」という意味で、肉親であるかのように親切にする様子を表しています。
相手の立場に関係なく幅広いシーンで使える言葉ですが、目上の人に対して使う場合は、後に続く言葉を尊敬語や謙譲語にする必要があります。
「親身になって」の類語や英語表現なども覚えておき、どんなシーンでも正しく使えるようにしておきましょう。