2022年7月、あるキャリアの大規模通信障害が大きなニュースとなりました。のべ3日間という障害時間の長さと回線数の多さから社会的影響は大きく、明日は我が身と他キャリアユーザの心胆をも寒からしめました。この機になんらかの通信障害対策を講じておこう、と決意した人も多いはずです。
その内容ですが、予算的に複数キャリアとの契約が許されるのであれば、iPhoneユーザには「eSIM」の活用がベストです。当然、通信コストは増えるものの、物理SIMを持ち運ぶ必要がなく、差し替える必要もありません。
XR/XS以降のiPhoneはeSIMに対応しており、しかも複数のeSIM情報(プロファイル)を1台のiPhoneに保管できます。通信に利用できるeSIMは原則1つ -- ただしiPhone 13シリーズ以降は物理SIMをオフにすると2つのeSIMで同時に通信できる -- という制約はあるものの、メインで利用している物理SIMのキャリアに通信障害が発生しても、eSIMの回線でカバーできます。
たとえば、キャリアAを物理SIMで、キャリアBをeSIMで利用しているとき、キャリアAに問題が生じてもキャリアBを利用できます。eSIM対応のiPhoneはDSDS(Dual SIM Dual Standby)に対応しているため、AとB両方のキャリアに音声通話契約があれば、その番号で発信/待受できるのです。
物理SIMのキャリアでデータ通信障害が発生しても、心配はいりません。『設定』→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」画面にある「モバイルデータ通信の切替を許可」スイッチをオンにしておけば、通信障害や電波状況が悪いとき、データ通信をeSIMの回線に自動切替してくれます。
なお、通信障害対策であれば、物理SIMとeSIMでキャリア/MVNOを分ける工夫は必須です。物理SIMのキャリアとeSIMのMVNOが同じ場合、通信障害が起きると両方の回線とも利用できないことになりかねませんよ。