タニタと住宅建材メーカーの城東テクノは、家の床に組み込む体組成計付き高気密型床下点検口「NORNE(ノルネ)」を共同開発した。9月1日に発売する。価格はオープンだが、本体のみの想定売価は100,000円前後の見込み。販売店によって価格が異なるほか、加えて工事費などが必要になる。
家の床下点検口に埋め込み、乗るだけで体組成を測る
NORNEは、家の床下点検口と体組成計を一体化した製品。総合健康企業のタニタと、大阪に本社を構える城東テクノとのコラボレーションで実現した。
床下点検口は床下をメンテナンスするために設けられる開口部で、多くは収納スペースと兼用。床下は湿気がこもりやすく、シロアリ被害を受けたりカビが発生したりすることがあるため、床下点検口を設け、床下の状況を定期的に確認することで、家の長寿命化を図れる。
今回両社が発表したのは、この床下点検口に体組成計を埋め込み、日常生活の導線上で体組成を測定できる製品だ。医療分野の技術を家庭用体組成計に取り入れた、タニタのデュアルタイプ体組成「innerscan DUAL」(インナースキャンデュアル)をベースに開発されている。
本体で測定できる項目は、体重/体脂肪率/内臓脂肪レベル/筋肉量/筋質点数/基礎代謝量/体内年齢/推定骨量/体水分率/BMIの10項目。通信はBluetooth LEでスマートフォンと接続でき、タニタ製アプリ「Health Planet」(ヘルスプラネット)で測定データを記録・確認できる。
製品名「NORNE」の由来は「乗るだけWellness」。乗るだけで電源がオンになり、体組成を計測できる。アプリから電源オンの操作も可能だ。対応人数は4名分+ゲスト。カラーはホワイトで、計量範囲は0~180kg。最小表示は100g(0~100kg)/200g(100~180kg)、電源は単3形アルカリ乾電池×4本。消費電流は最大250mA。
「タニタ本社受付は床が体重計」公式ツイートがきっかけ
「NORNE」の開発は、タニタの公式Twitterによるツイートがきっかけだったという。
ちなみにタニタ本社受付で迂闊に変なところに立つと体重測られます。 pic.twitter.com/WpOVNirpvG
— 株式会社タニタ (@TANITAofficial) May 20, 2016
もともと城東テクノ側では、床下点検口に付加価値を付けたい考えがあった。一人の社員による「体組成計の出し入れが面倒で、出しっぱなしにすると家族に怒られる」「片付けると体組成をはかり忘れてしまう」といった悩みから、床下点検口に体組成計を埋め込むアイデアが出たという。
そして「タニタ本社の受付に埋込み型の体重計が設置されている」とのツイートを見た城東テクノ側からタニタへ打診があり、NORNEの開発へつながった。当初は体重計の埋め込みを想定していたが、最終的には体組成計を採用。生活動線上に設置できるため、体組成の測り忘れを防ぎ、段差3mm以下のため踏んでも気にならず掃除もしやすいという。
タニタは体組成計の機能部分を担当。床として日常的に踏まれることを想定し、業務用機器と同等の部品を採用することで、製品の耐久性を高めた。
また、体組成計の測定は、測定時に体へ微弱な電流を流し、体重や身長、年齢などのデータを基にその電気抵抗値で体組成を推定する。この体組成を測定するアルゴリズムはメーカーごとに異なっており、例えば同じ60kgという体重でも、A社では体脂肪率18%、筋肉量50kgのところ、B社では体脂肪率20%、筋肉量48kgとなる、といった違いが生まれてしまう。
タニタはアルゴリズムの違いが「ユーザーの利便性を低下させる」として、現状メーカーごとに異なる体組成計アルゴリズムを、標準化させたい狙いもあるとした。
城東テクノ側では、床下点検口の開発を担当。床下点検口は内部が空洞のために歪みやたわみが生じることがあるが、体組成計は平らな場所に置いて測定する必要があるため、床下点検口自体の強度も高めなければならなかった。同社では、荷重を面で支える独自構造の「高気密型床下点検口」を採用。きしみやガタつきを抑え、正確に体組成計測できる床下点検口を提供した。
想定利用者は、新しく家を建てるユーザーや、家をリフォームするユーザー。住宅会社やリフォーム会社などを通じて販売する。なお、NORNEを埋め込んだ上で、床下収納スペースを加えて設置できることも特徴の1つだ。サイズは床開寸法606mm×606mmに対応する。
両社によると、床下点検口に体組成計を埋め込んだ製品はこれまでにもあるが(例:凸版印刷が開発した「トッパンIoT建材シリーズ:ステルスヘルスメーター」)、床下点検口の下に収納スペースを取り付けられる製品は今回が初としている。