俳優の安田顕が、フジテレビ系ドラマ『PICU 小児集中治療室』(10月スタート、毎週月曜21:00~)に出演することが25日、明らかになった。安田が月9にレギュラー出演するのは初めて。
駆け出しの小児科医・志子田武四郎(吉沢亮)が先輩医師と共に、どんな子どもでも受け入れられるPICU(小児専門の集中治療室)を作るため、そして、1秒でも早く搬送できる医療用ジェット機の運用を実現するために奔走する姿を描く同ドラマ。安田が演じるのは、武四郎が勤務する北海道の丘珠病院にPICUを新設するため、はるばる東京からやってくる小児科医・植野元だ。
植野は、アメリカでPICU医の資格を取得し、帰国後、日本各地でPICUの整備を推し進めてきた小児集中治療のパイオニアという役どころ。穏やかな口調で物腰は柔らかく、常に子どもの目線を忘れない心優しい小児科医だ。小児救急に携わり続け、時に目を背けたくなるほどつらい現実や別れを幾度となく経験してきた。未熟でまだ何も経験していない武四郎のことを“しこちゃん先生”と愛着をもって呼び、根気強く指導していく。北海道に来るまでの間、全国各地に招喚されてはPICU開設に尽力。地道な活動によりPICUは着実に日本全国へ広がりつつあるが、最後の砦として立ちふさがったのが、広大な大地をもつ北海道だった。陸路での搬送は絶望的。険しい山を越えるにはドクターヘリでは高度が持たない。そんな日本一広大な自然を相手に、植野が掲げた目標は「医療用ジェット機を運用する日本屈指のPICUを作る」という壮大なものだった。
しかし、立ち上がったばかりのPICUは圧倒的な人材不足で急患を受け入れられる状態ではなかった。“死”と無縁の世界で生きてきた武四郎は急患対応の経験もなければ覚悟もない。そんな中、稚内市の病院から「5歳の少女が転院先を探して4時間も待機している」という衝撃の電話が入る。「私たちまだ準備が…」と皆が困惑する中、「どんな状況のどんな子どもでも受け入れる」という植野の確固たる信念に従い、少女を受け入れることになるのだが…。発展途上にある真っさらな武四郎と、幾度となく“救えた命”と“救えなかった命”と向き合ってきた植野。幼い命を守るため、2人は過酷な現実に立ち向かっていく。
植野元というキャラクターは、日本のPICUのパイオニアの一人である埼玉県立小児医療センター小児救命救急センター長の植田育也医師をモデルにしている。植田医師は1991年に千葉大学医学部を卒業後、千葉大関連施設での小児科研修を経て、94年から98年にわたりアメリカ・オハイオ州のシンシナティ小児病院で小児集中治療に従事。帰国後、それまで臓器別に専門化されていた日本の小児医療体制の中に、新たに救命治療に特化したPICUの分野を持ち込んだ。日本各地でPICU開設に尽力し、小児集中治療の基礎を築いた第一人者である。長野県立こども病院、静岡県立こども病院のPICU設立、運営に携わった後、16年に埼玉県立小児医療センターに小児救命救急センターを開設。小児死亡率の課題と向き合い続け、今では多くの尊い命がPICUで救われている。
コメントは、以下の通り。
■安田顕
――台本を読んだご感想をお聞かせください
「命のお話に、心うたれました。真剣に向き合わせていただきます」
――実在するPICU医をモデルにした役柄となりますが、役作りで意識されること、取り組まれようとしていることがありましたらお聞かせ下さい。
「植田先生が立ち上げた埼玉県立小児医療センターのPICUを見学した際、ご本人から色々お話を伺いました。実際に子どもたちの命と向き合う方々がいらっしゃることを忘れず、その想(おも)いが届けられるよう取り組ませていただきます」
――舞台は安田さんの故郷・北海道です。北海道の魅力をぜひともお聞かせください。
「どこにいても夕暮れを見るたび、故郷の夕暮れをふと思い出します。広大な大地と開拓精神、長い冬を乗り越える我慢強さとあたたかさは、自然の厳しさの中で今もこれからも脈々と受け継がれていると信じています」
――放送をご覧になる視聴者の皆様へメッセージをお願いいたします。
「どうか、多くの方に届くドラマになりますように」
■金城綾香プロデューサー
「植野という役の名前は、埼玉県立小児医療センターの植田育也先生から一文字いただきました。植田先生から、日本の小児医療業界が置かれている環境の厳しさや、日々、医師や看護師の皆様、そして医療従事者の方々がどんな困難にも真っすぐ力を注がれているというお話をお伺いし、“PICU”をドラマにするべきだと決心いたしました。慈愛に満ちた優しい眼差(まなざ)しを持ちながら、同時に厳しさを兼ね備えていないと成立しないこの植野医師は、複雑な感情を細やかに表現しながら、今、まさに現場で戦っていらっしゃる雰囲気をお持ちの役者さんにお願いしたいと思い、安田顕さんにオファーさせていただきました」