アクティビティトラッカー(活動量計)は、運動量や消費カロリー、心拍数や睡眠状態など、自分の状態を数値で計測してくれるデバイスです。日々の活動量を見える形で把握することで、休息が必要なタイミングがわかったり、普段より多めに運動してみたりと、毎日の健康管理に役立ちます。
多くのアクティビティトラッカーはランニングやサイクリングなど、スポーツに関する記録も取れますが、スマートウォッチと比べより“健康管理”向けに機能を絞ったものが多いです。その1つ、ガーミンの最新アクティビティトラッカー「vivosmart 5」(ヴィヴォスマート)を1カ月使って感じた、3つの注目ポイントを紹介します。
vivosmart 5ってどんなトラッカー?
「vivosmart 5」は、歩数・心拍数・ストレスレベル・睡眠などの健康情報を自動でトラッキングするリストバンド型デバイス。0.41インチ×0.73インチのOLEDディスプレイ(88×154ドット)という小型ディスプレイに、計測データを表示します。
本体はブラック、バンドカラーはブラック、ミント、ホワイトの3色が選べます。ミント、ホワイトはS/Mサイズ(1サイズ)のみ、ブラックはS/MサイズとLサイズの2サイズを揃え、本体の重さはバンド込みで約24.5(S/Mサイズ)~26.5g(Lサイズ)と、同社のスマートウォッチの中では軽量。ちなみに各バンドは4,950円で別売もあります。
今回試用したのはブラックのLサイズ。バンドは柔らかいシリコン素材で、表は1mmほどの細かい凹凸が付けられていますが、腕に当たる裏側はなめらかな加工。着け心地は良好で、肌への当たりが柔らかく異物感がありません。本体は軽く、50mの完全防水性能もありシャワーもOK。就寝中も含め1日中着けていられました。
注目ポイント1:本体の操作性
注目ポイントの1つは本体の操作性。今回使ったLモデルは実測26.7gで、腕にフィットし重さを感じにくい……というのは先程紹介した通りですが(普段は実測34.2gのOPPO Watch Freeを着けているので余計に軽く感じました)、画面の下には押すと1段階戻る物理的ボタン(いわゆるホームボタン)が搭載され、タッチ操作と合わせると迷わず深い階層と表層を行き来できます。
項目の並びは独自色が強く、最初はどこに何の項目があるか手探りで(あるいは説明書などを見ながら)確認していきます。ただ、一度おおまかな並びを覚えてしまえば、「昨日の睡眠データを見たい」「ストレスレベルが気になる」など、よく使う項目は手元を見ずに大まかな操作ができました。
注目ポイント2:アプリの使い勝手
vivosmart 5で取得した健康・アクティビティ関連の詳細データを見るには「Garmin Connect」アプリを使います。今回はGarmin Connect バージョン4.58とAndroidスマートフォン「Pixel 4a (5G)」(Android 12)と組み合わせました。
このGarmin Connectアプリの表示が非常にわかりやすかったです。トップ画面では項目ごとに概要が表示され、各項目をタップすると詳細データを確認できます。1日/7日間/4週間/1年間など、一定期間ごとにデータを一覧表示できるのも便利な点。また、取得データ自体も時間/日にちごとにグラフで表示され、自分の活動を振り返られます。過去に遡って各日の詳細な活動内容をグラフ表示できるのはGarmin Connectアプリの素晴らしい点だと思います。
ちなみに本機は「コネクテッド GPS」対応機。アクティビティ時の位置情報はスマートフォンのGPSを使いますが、それも良好に記録できていた点もよかったです。
注目ポイント3:水分補給アラートとストレスレベル
機能面では、「水分補給アラート」と「ストレスレベル」が特に気に入った機能でした。いずれもアクティビティトラッカーとして主要な機能ながら、筆者は両機能とも初使用です。
「水分補給アラート」は、「1時間/2時間/アクティビティ後のみ」のいずれかを設定し、水分補給のタイミングを通知する機能。1日の目標水分補給と実際の水分補給量(手動で入力)も表示できます。今のような暑い時期ランニングのほか、個人的には仕事中に忘れがちな水分補給を思い出させてくれるよい機能でした。
「ストレスレベル」は自分のストレスを数値化したもので、心拍数の変化や運動/睡眠状況などを基に計測されます。数値は0~25が休息、26~50がストレスレベル低、51~75がストレスレベル中、76~100がストレスレベル高。瞬間的な数値だけでなく、1日のストレスレベルの推移も確認できます。
普段は特に気にすることなく過ごしていたのですが、ある日の仕事中、とある製品開発の取材で突然vivosmart 5が振動したため目をやると、「ストレスを感じていますか?」という通知が出ていました。
ストレス値の変化、自分では全く気づかなかったのですが、専門用語が飛び交う取材の中で知らず知らずのうちに緊張が高まっていたようです。これまで自分が今どういう状態であるのか意識したことがなかったのですが、これ以降ストレスレベルを適宜確認するようになり、数値が高いときは本体の「ストレスレベル」項目にある「ブレスワークアクティビティ」(ナビゲーションに合わせて呼吸を整える機能)を使うようになりました。
着けるだけで詳細な健康データを取得・分析できるお手軽トラッカー
vivosmart 5は個人的にとても面白いアクティビティトラッカーでした。画面付きのトラッカーの多くは、ある程度画面上でデータを見ることが想定されているものですが、vivosmart 5は画面が小さいため、データを見る時は基本的にスマートフォン用アプリを使うことになります。
アプリ側では心拍や消費カロリー、睡眠スコアなどの概要から細かいデータまで、時間の経過を合わせて詳細に表示できるほか、カレンダーで1カ月分の健康データを簡易表示できるなど、健康データの一覧性が非常に高い仕上がりになっています。この小さいトラッカーが細かく健康データを取得していることがわかります。
この細かいデータは手元では表示できない(画面サイズが小さいため視認し難い)もので、トラッカー本体では健康データを取得、取得した健康データはスマートフォンで確認、という割り切った仕様です。例えば朝起きて妙に疲れていて、昨日の睡眠状態はどうだったか気になる時、まず見るのは本体ではなくスマートフォンのアプリです。スマホの使用頻度が高い筆者に、実際この使い方は便利でした。
1つ残念だったのは、睡眠トラッキングがやや不正確な点。多くの場合、寝る前に横になってスマートフォンを見ている時間なども睡眠中に含まれ、全体的に実際の睡眠時間よりも長めにカウントされている印象でした。とはいえ、深い眠り・浅い眠り、レム睡眠・ノンレム睡眠がどの程度取れているかなど、自分の状態を知るのに十分参考になります。
画面の小ささは恐らく好みが分かれるところで、ある程度ウォッチ本体で健康データを視認したい人には向かないでしょう。その反面、面倒な操作をせず、全てをスマホアプリで管理・確認できる快適さがあります。
価格は21,800円。活動量を記録するだけならもっと安いアクティビティトラッカーもありますが、プロのアスリート向けスマートウォッチを製造しているガーミンならではの詳細な活動量・健康データ計測と、それらを過去に遡ってチェックできる点が魅力。
健康管理やアクティビティ計測、スマホ通知の表示、連携したスマホの音楽コントロールなど必要十分な機能を内蔵しつつ、「とりあえず着けておけば、本体で面倒な操作をしなくても必要な健康データを全部取り、スマホに記録してくれる」というお手軽さがおすすめです。