女優の鈴木保奈美が、日本テレビ系ドラマ『家庭教師のトラコ』(毎週水曜22:00~)の見どころなどを語った。
きょう24日放送の第6話では、「次へのリハーサルも兼ねて、今度はいろいろ仕掛ける」というトラコ(橋本愛)が、閉鎖寸前の児童養護施設を救おうとする里美(鈴木)に教える“3000万円を手に入れる方法”で、上原家が騒然となる。
――上原里美を演じるにあたって、どのようなことを心がけてお芝居されていますか?
里美は、自分自身のことや何が欲しいのかがあまりわかっていない、3人のお母さんの中で「一番軸がない人」だと思います。「お金があって、夫が立派で、こどもがエリートであることがいいことに違いないー」里美さん自身が、本心でそうしたいというよりも、「世間一般的なエリート暮らしが幸せだ」と自分に思い込ませようとしている部分があるのかなと。本当の里美さんはそういう人ではなく、津軽から出てきた一人の女の子で、東京で頑張ってきた人。表面を一生懸命に取り繕ってるものの、中にいるのはとてもシンプルな女の子ではないかと思っていて、その感覚を大事にしています。実はそんなに強い女性ではなくて、みんなに好かれたいし、自分を相手に合わせようとする感じでお芝居したいなと思っています。
――会見でも「うちの守はかわいくて…」とおっしゃっていましたが、息子役の細田さんとはどのような会話をされますか?
細田さんはとても素直で、すごくしっかりした青年なので、私がわからないことを教えてもらったりしますし、「選挙行った?」って聞くと、「行ってきましたよ!投票しないと言いたいことを言えませんから」みたいなやりとりがあったり。お芝居では例えば、「このシーンでこんなふうにやったらいいかな?」とか、お互いに「今のだと気持ち悪いからこうしましょうか」とか、その感覚はとても共有できているので、頼りがいのある息子です!
――上原家と対峙(たいじ)するトラコ演じる橋本さんのお芝居についてはどのようにご覧になっていますか?
毎回観客になって堪能しております。事前の打ち合わせは全然なくて、トラコ先生と里美の関係のように、 全然知らない人がどう出てくるかわからない新鮮な感じと、劇中でもそうですが、すでに里美さんが家族の中で守にしか話せなかったことをトラコ先生には言えてしまう部分があって、そういう「新鮮さ」と「独特な親近感」があります。役の上でもそうですし、実際の橋本愛さんという方に対しても同じような感覚ですね。
――3つのキャラの演じ分けについては?
愛ちゃんの凄いところは、やってることは凄いことなんですけど、さらっとやっているところが「カッコいいなこの人」って思っています。周りに嫌なプレッシャー与えることもないですし、前室で読書していて「なんだこの余裕!?」って驚きましたね。
――6話は「人は愛で動くのか、それとも金で動くのか?」がテーマで、「お金の使い方」に関してもいろいろと出てきます。みどころを教えてください。
3000万円のお金の使い方ですね。3000万の存在価値といえば、ちょうど撮影しているときにサッカーのパリサンジェルマンが来日していて、“3000万のVIPチケットがある”と聞いて、いろんな使い方があるんだなと思いました。「愛か金か」ではなくて、そこは人間が生きていく上でのリアルで考えると「金があるから愛もあるのかな」とも思いますね。これは上原家は経済的に余裕があるからこそ出てくる問題なんですけど。
――着物を着ての大立ち回りなどある6話ですが、撮影でのエピソードがあれば教えてください。
大変だったというよりも、とっても楽しかったですね。今回は遊川さんがなかなか今までドラマでやったことがないことを色々とやらせてくださっているのでとても楽しいですし、せっかくそういうシーンをふってくださったので、いかにお応えするか?楽しいチャレンジですね。物を壊すシーンはやったことがあるんですけど、1発勝負なので。本当にこれは物理的な話で1回できれいに決めないと、またイチから準備して頂いてやり直しになってしまうので緊張感があります。物を壊すということは決して楽しいことではないんですけど、こういうことを職業としている私自身としては、それをいかに表現するか?自分がいかに工夫して、いかにエネルギーを出すかっていうのは、とても楽しいチャレンジではあります。
――ここから先の展開で楽しみにしていることは何ですか?
一つは、トラコ先生の野望が本当のところはどういうものなのかということ。もう一つは、こどもたちが受験に受かるかどうかではなくて、守が本当に東大に受かったら幸せなのか?そもそも受かることが彼にとっては必要なのか?それは知恵ちゃんも、高志もそうで、合格したらめでたしなのか?そもそも「この子たちと母親たちの幸せってどちらなんだろう?」という問いの答えが、最後には出るんじゃないかなと期待しています。この作品の一番ベーシックな部分には、「1万円でどうやったら幸せになれるか?」という1話で出てきた大きな命題があって、受験でどうやって幸せになるか?最終的にはどうやったら幸せになるかっていう「幸せを求めているお話し」であって、受かる受からないは一つのツールにすぎないんです。守にとって東大に受かることが幸せなのか?もしかしたら受かって今までと違う才能が開いて幸せになるかもしれないし、そもそも東大じゃなくていいんじゃないの?っていうことになるかもしれない。どういう幸せの形を遊川さんが提示してくださるのがとても興味深いなと思います。