米Appleは8月22日(現地時間)、同社が米国で提供している「セルフサービスリペア(Self Service Repair)」をMacに拡大することを発表した。8月23日から米国で利用できるようにする。同社はまた、年内にiPhone用のサービスの米国以外への展開を欧州から開始することも発表した。
セルフサービスリペアは、Appleデバイスの自己修理に必要なマニュアル、純正パーツ、ツールなどをAppleが提供するプログラム。昨年11月にiPhone用のプログラムを発表、今年4月に米国でサービス提供が始まった。
Mac用のプログラムは、まずM1チップを搭載した「MacBook Pro」と「MacBook Air」から開始し、年内に他のMacモデルも追加する予定。ディスプレイ、バッテリー付きトップケース、トラックパッドなど、モデルごとに十数種類のパーツのリペアを用意しており、今後も順次追加していくとのこと。
パーツ交換のプロセスは、セルフサービスリペアのオンラインストアから修理マニュアルを入手し、必要なツールや修理の手順などを確認した上でパーツやツールを注文する。修理に必要な全てのツールをまとめた「ツールキット」をレンタルするオプションも用意する(49ドル)。ツールは、Apple StoreやApple正規サービスプロバイダー(AASP)の技術者が使用しているのと同じものが提供される。マニュアルのステップバイステップの指示に従ってパーツを交換し、取り外したパーツはAppleに送ってリサイクルする。
Appleは正規サービスプロバイダーの拡大に投資しながら、独立系リペア業者を認定・サポートするプログラム「Independent Repair Provider Program」も展開するなど、Appleデバイスのユーザーが修理にアクセスする方法の拡充に努めている。過去3年間で、3,500を超える独立系修理業者を含め、トレーニングを受けた技術者がApple純正パーツやツールを用いるサービス拠点がほぼ2倍に増えたという。
セルフサービスリペアも修理アクセスを拡充する取り組みの1つだが、公式のプログラムが用意されても、自己修理が性能や機能を損なうリスクが高いことに変わりはない。製品保証も無効になる。Appleは電子機器の修理経験がない多くのユーザーにとって、同社のサービスや認定技術者がいる修理業者を利用することが「最も安全で安心できる修理方法になります」としている。