ビジネスシーンにおいてメールのやりとりをしていると「表題の件」「表題の件につきまして」という言葉を見ることも多いでしょう。
本記事では「表題の件」の意味や使い方と例文、目上の人に対して使えるのかなどの注意点を解説します。「標題の件」「掲題の件」といった類似表現との違い、英語での表現方法などもまとめました。
「表題の件」の意味や読み方とは
「表題の件」という言葉は、ビジネスメールにおいてよく使われる言葉です。早速、具体的にどのような意味の言葉なのか紹介していきます。
表題の件とは「メールの件名にある内容」という意味
「表題の件」は、「メールの件名に書かれている内容」という意味です。メールにおいて、「表題」とはメールの件名のことを指しています。
例えば、メールのタイトルが「発表会資料について」の場合、メールの本文内で「表題の件について、PDFファイルを作成しましたので送付します」と書けば、メールの件名にある発表会資料の話をしている、ということです。
件名に端的に記した内容を本文で詳細に説明する際に、同じ言葉の繰り返しを避けるため、「表題の件」という言葉を使用します。
「表題の件」の読み方
「表題の件」と書いて、「ひょうだいのけん」と読みます。
「表題」の意味とは
そもそも「表題」とは、書物や本の表紙に書かれてある題名という意味があります。また、芸術作品、講演、演劇などの題名という意味でも使われます。
「表題の件」のメールでの正しい使い方と例文
ビジネスメールにおける「表題の件」の使い方を、例文を交えながら紹介します。
「表題の件」を使ったさまざまな例文
基本的な使い方としては、メールの件名にポイントを記載し、本文で「表題の件について」「表題の件につきまして」などの形で言及します。
件名:出張の旅費申請について
本文:(前略)表題の件について、申請書類を添付ファイルにてお送りいたします。(後略)
こちらの本文は、「出張の旅費申請の申請書類を添付ファイルにて送る」という意味になります。
件名:○○商事株式会社とのアポイントについて
本文:(前略)表題の件につきまして、先方より日程の候補をいただきましたのでご連絡いたします。下記が候補日です。(後略)
こちらの本文は、「○○商事株式会社とのアポイントについて、先方から日程の候補がきたので知らせる」ということを表しています。
件名:9月分請求書のご送付について(当月末日必着)
本文:(前略)表題の件について、お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。(後略)
こちらの本文は、「9月分の請求書を当月末日必着で送ってください」ということです。
返信で「表題の件」を使った例文
相手から送られて来たメールの件名が、回答するべき内容と合致する際は、返事にも「表題の件」を使うことがあります。
【相手からのメール】
件名:9月分請求書のご送付について(当月末日必着)
本文:(前略)表題の件について、お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。(後略)
【返信メール】
件名:Re: 9月分請求書のご送付について(当月末日必着)
本文:(前略)表題の件について、承知いたしました。期日までにお送りいたします。(後略)
返信メールの本文では、「9月分の請求書を当月末日必着で送ってほしいという依頼に対し、承知した」ということを表しています。
ビジネスメールで「表題の件」を使う際の注意点
社会人として、メールでも相手に失礼のないよう、適切にコミュニケーションを取れるようになりたいですよね。「表題の件」を使う際の注意点をお伝えします。
「表題の件」は間違いではなく、ビジネスシーンで一般的に使われる表現
見慣れていないと違和感を覚える人もいるかもしれませんが、「表題の件」には、日本語としての間違いはありません。
また現在ビジネスメールの中で頻繁に使用されているフレーズであり、多くの人がその意味を理解している表現なので、ビジネスシーンで違和感なく使える表現といえます。
「表題の件」を目上の人を相手に使うときの注意点
ただし、「表題の件」という言葉を目上の相手に使ってもいいかについては、職場によって異なります。
前述のようにメール本文において「表題の件について」などと表記することで、簡潔に要点を伝えられるメリットがあります。
しかし一方で「表題の件」と簡略化した表記をせずに、本文にて内容を明確に、丁寧に記載するように指導している職場もあるかもしれません。特に目上の人にメールを送る際に、わざわざ件名を確認する手間を与えないように、という考え方の職場もあるでしょう。
上司や先輩がどのようなメールを送っているのか確認したり、職場の人に質問したりするなどして、職場でのルールを確認してみましょう。
「表題の件」と「標題の件」はどっちが正しい? それぞれの違い
「表題の件」以外に、「標題の件」もよくビジネスメールで見掛ける表現です。「表題」も「標題」も、書物や芸術作品などのタイトルという意味がありますが、厳密には少し異なるニュアンスを持つともいわれています。「表題」はタイトル、つまり文章全体を指し、「標題」は見出し、つまり文章を構成する各項目を指すというものです。
その考えに沿うと、ビジネスメールの件名は「表題」になります。しかし内容がつながった複数メールを送るような場合は「標題の件」ともいえるでしょう。また職場によっては、常に「標題の件」をメインで使用するという場合もあります。こちらも、上司や先輩がどのようなメールを送っているのか確認するといいでしょう。
なお、「標題」も読み方は「ひょうだい」です。
その他の類語・言い換え表現と違い
「標題の件」以外の類語の意味や違いも見ていきましょう。
掲題の件
「掲題の件」も「表題の件」と同様に、「メールの件名について」を表す言葉です。
読み方は「けいだいのけん」です。「題としてかかげる」という意味で使われていますが、辞書に掲載されていないケースが多く、あまり一般的ではない言葉といえます。
首記の件
「しゅき」と読み、「文章の冒頭部分に記していること」という意味で使われています。文章においてタイトル、つまり表題を示す言葉として使えるでしょう。
ただし「首記」も辞書に掲載されていないケースが多く、あまり一般的に使用される言葉ではないでしょう。
首題の件
「首題」も「表題」に類似した表現で、「文書の初めに書いてある題目のことや、経典の初めに書かれた語句、題名」という意味です。「標題の件」の言い換え表現として使用できます。
前述・先述・上述
前述や先述、上述は、メールの件名というよりは、メールの中で一度記載したことをもう一度伝える際に用いることが多い言葉です。
「前述の理由により、プロジェクトが遅延しております」といった形の場合は、繰り返しを避ける意味があります。一方「前述の通り、当日は9時にお越しいただけますよう、よろしくお願いいたします」といった形の場合は、既に伝えたことを省略せずに反復して記載し、強調したいときに使用できる表現です。
例文の「前述」の部分は、「先述」や「上述」と置き換えることができます。
「表題の件」の英語表現
英語では「表題の件」という表現があまり使われないようです。「表題の件」ではなく、具体的に「○○について」と内容を記載するといいでしょう。「regarding ○○」「about ○○」などで「○○について」と表すことができます。
「表題の件」「表題の件につきまして」をビジネスメールで正しく使いこなそう
「表題の件」とは、「メールの件名について」という意味を持つ表現で、ビジネスシーンではメールのやりとりの中でよく使われます。 「標題の件」など、類似の表現もあるので併せて覚えておきましょう。
目上の相手に使っても問題ないかについては、組織によって文化が異なるため、会社の先輩や上司がどのようなメールを送っているか確認したり、直接質問したりするようにするといいでしょう。
ビジネスマナーに沿ったメールのやりとりができることは、社会人として重要な要素です。仕事のメールを作成するにあたっては、言葉の意味や使い方をしっかりと確認し、社会人として相手に失礼のないように心掛けましょう。