伊勢方面へ運転される近鉄特急などが発着する宇治山田駅(三重県伊勢市)は、国の登録有形文化財に指定された優美な形態の駅舎でも知られる。8月14日から駅舎1階コンコースにストリートピアノが設置されることになり、同日にお披露目イベントが開催された。

  • 宇治山田駅は国の登録有形文化財に指定された優美な駅舎でも知られる

宇治山田駅へのストリートピアノ設置は、伊勢市を中心にさまざまな社会奉仕活動を行う神都ライオンズクラブの結成40周年記念事業として実施されたという。伊勢市内の介護施設から寄贈された1971(昭和46)年製のグランドピアノ1台が1階コンコース玄関口付近に置かれ、誰でも気軽に弾けるようになっている。

ストリートピアノの設置に合わせ、8月14日に記念イベントが開催され、神都ライオンズクラブ会長の藪野裕道氏が挨拶。同団体の結成40周年を背景に、「明るい話題を提供したい」との思いから、ストリートピアノの設置を進めたことを明かした。宇治山田駅長の佐藤守彦氏も挨拶し、「ストリートピアノを通じて、お客様に癒しと安らぎを感じていただけたら」とコメントした。

  • 宇治山田駅1階コンコースに設置されたストリートピアノ

  • お披露目イベントを主催した神都ライオンズクラブ会長の藪野裕道氏

  • 関係者によるテープカットが行われた

伊勢市教育委員会と伊勢市観光協会の後援で、ストリートピアノを使った演奏会も行われた。地元・伊勢市出身のピアニスト、西井葉子氏は、リスト「愛の夢 第3番」をはじめ、計6曲(アンコールも含む)を演奏。多くの人が美しいピアノの音色に耳を傾けた。地元の小中学生による演奏も行われ、日頃の練習の成果を披露していた。

ストリートピアノが設置された宇治山田駅の駅舎は、1931(昭和6)年に建てられた近代建築で、建設当時の面影をいまも残している。外壁はテラコッタで繊細に飾られ、1階コンコースは屋根が高く広々とした空間で、2階への吹抜けもあり、開放的なつくりに。駅舎内ではピアノの音がよく響き、抜群の音響効果があるように感じられた。演奏後、取材に応じた西井葉子氏は、「宇治山田駅の天井は高く、ヨーロッパの教会に近い雰囲気でした」と感想を述べた。

  • 地元・伊勢市出身のピアニスト、西井葉子氏による演奏

  • 地元の小中学生も演奏した

  • 近鉄は「記念ハンドタオル」と「記念缶バッジ」を販売している

宇治山田駅でのストリートピアノの設置期間は1年間となる予定。その後は反響を見ながら検討するという。演奏可能時間は10~19時。誰でも無料で演奏ができる。ただし、1回あたりの演奏は10分程度とされている。

なお、宇治山田駅へのストリートピアノ設置を記念し、近畿日本鉄道は宇治山田駅営業所(営業時間10~18時)にて、「記念ハンドタオル」(500円)と「記念缶バッジ」(300円)を販売。数量は各200個で、なくなり次第、販売終了となる。1名1会計につき、各5個まで購入可能とのこと。