念願のマイホームを購入するにあたっては、住宅ローンを組むのが一般的だ。返済計画を立てる際には、金利のタイプや頭金の額、返済期間や、月々あるいはボーナス時の返済額などさまざまなチェック項目がある。
自分にとって、なにがベストの選択なのか、多くの人が頭を悩ませているのではないだろうか。そこで今回は、職業・業種関連項目が金融業界に該当するマイナビニュース男女会員100人を対象にアンケート調査を実施。「住宅ローンで『これだけは気をつけたほうがいい』ポイント」などを聞いた。
Q.住宅ローンを利用する際に「これだけは気をつけたほうがいい」と思うポイントはありますか?
「はい」(59.0%)
「いいえ」(41.0%)
Q.住宅ローンを利用する際「これだけは気をつけたほうがいいポイント」について具体的に教えてください(自由回答)
■「無理のない返済計画」
・「無理なローンは避ける」(57歳男性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「適切な返済金額となるか」(34歳男性/クレジット・信販/IT関連技術職)
・「最大でも年収の5倍未満の借入」(57歳男性/信託銀行/営業関連)
・「いくら借りれるかではなく、いくら返せるか」(40歳女性/信用組合・信用金庫・労働金庫/事務・企画・経営関連)
・「借りられる金額ではなく、返せる金額でローンを組むこと」(36歳男性/銀行/営業関連)
・「頭金の確保と、無理な借り入れをしない」(42歳男性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「無理のない返済計画。急な失業、出費に備えて、給料の3カ月分程度は、繰り上げ返済に回さず手元に取っておきましょう」(54歳男性/その他金融/事務・企画・経営関連)
・「借入額は自身の収入や、毎月のBB国債額とのバランスが最も大切」(64歳男性/その他金融/専門職関連)
・「残業代込みの収入で試算して組まないこと」(30歳男性/信用組合・信用金庫・労働金庫/専門職関連)
・「ダブルインカムを前提にすると、妊娠や出産、雇い止めなど予期せぬ事態に直面する可能性があるので、主たる収入がある人の支払い可能な範囲内で設定すべきと思われる」(58歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
・「変動金利を選択した場合、社会情勢等による金利の変動に備えて、月々の余裕をもたせた返済額の設定にした方が良い」(50歳女性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
■「適切な金利タイプの選択」
・「各社のレートを比較する」(53歳男性/証券・投資銀行/営業関連)
・「固定か変動か。返済額/月と期間」(51歳男性/信託銀行/事務・企画・経営関連)
・「今の時期は変動金利型にはしないこと」(59歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)
・「変動金利にして上がると地獄を見る」(32歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)
・「当初のキャンペーン金利以降、金利がどうなるのか」(51歳男性/その他金融/営業関連)
・「取引内容によっては金利が軽減される」(53歳男性/銀行/営業関連)
・「金利が後になって上昇する『ゆとり返済』は避けた方がよい。給料が右肩上がりで上昇すると思うのは幻影です」(58歳男性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「年収に対して借りすぎない。変動金利で借りる」(48歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
■「手数料のチェック」
・「目に見えない手数料。金利は低いが、手数料が高いなど」(42歳男性/銀行/営業関連)
・「金利の種類やパーセンテージはもちろん、手数料等の経費も確認してほしい」(32歳男性/金融総合グループ/販売・サービス関連)
・「各種手数料は押さえておくべきポイントだと思います。条件変更、繰上返済、期前完済など、結構金融機関によって差があります」(58歳男性/その他金融/営業関連)
・「金利だけに目が行きがちだが銀行ごとに手数料面で大きく差があり、そのあたりも考慮すべきしながら借入、借り換え等の判断をすべき」(36歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
■「慎重な将来見通し」
・「これからの収入の把握」(59歳男性/銀行/営業関連)
・「世界的な外部環境の大幅な変化」(53歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)
・「長期的な金利の見通し」(56歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
・「利率が上昇したときのシミュレーションを行っておくこと」(54歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
■「保険への加入」
・「とにかく安い金利。そして繰上げ返済は手数料なし。団体信用保険は成人疾病をカバーする保険にする」(52歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
・「収入が減ることも考えて、妥当な範囲で組む。病気で働けなくなる事もあるので、収入保障の保険に加入しておく」(62歳女性/生命保険・損害保険/専門職関連)
■「適正な返済期間の設定」
・「借入期間は65歳を超えないように」(54歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)
・「収入があるうちに返済が終わること」(58歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)
■「その他」
・「マスコミ報道だけに惑わされることなく、専門家の意見も参考に自分で判断を下すことである」(61歳男性/その他金融/営業関連)
・「金融機関の職員の話を信じてはダメ」(69歳男性/信用組合・信用金庫・労働金庫/事務・企画・経営関連)
■総評
職業・業種関連項目が金融業界に該当するマイナビニュース男女会員に、住宅ローンを利用する際に「これだけは気をつけたほうがいい」と思うポイントがあるかを聞いた。その結果、「はい」が59.0%と、6割近くが気をつけた方がポイントがあると回答した。
「これだけは気をつけたほうがいい」と思うポイントについて、具体的に聞いた。主なコメントとして、「無理のない返済計画」「適切な金利タイプの選択」「慎重な将来見通し」「適正な返済期間の設定」などが挙げられている。
ただし、これらは回答を便宜的に分類したもので、全体として「『無理のない返済計画』を設定する」という意見に集約できそうだ。自身の現状や将来の収入、家族構成の見通し、今後の経済情勢や金利の推移などを慎重に検討、適切な金利タイプを選択し、無理のない返済計画を立てましょう、というのは多くのコメントに共通している。
そのほかの意見で興味深かったのが、「手数料のチェック」や「保険への加入」。住宅ローン金利と異なり「手数料」は見過ごされがちだが、例えばローン金利に借り換えの際に手数料がかかることで、結局は赤字になるというシミュレーションもよく聞く話だ。金利と並んで、手数料のチェックも大切というのは重要な指摘だろう。
「団体信用生命保険」や「収入保障の保険」への加入を勧める声もあった。いざというときに住宅ローンの負担を軽減してくれるこれらの保険の存在は、ローンを組む際にはぜひ考慮したいものの一つだ。
その他では、「マスコミ報道や専門家の意見をそのまま信じてはいけない」というものがあった。金融業界の従事者が、必ずしもマスメディアや専門家に信頼を置いていないというのは興味深い見解ではないだろうか。
金融業界で働く"プロ"たちが指摘する、住宅ローンを利用する際に「これだけは気をつけたほうがいい」と思うポイントはいかがだったろうか。全体的には「慎重に将来を見据えて、無理のない計画を」という、ごくごく常識的なものとなった。
ただ、至極当たり前に思えるアドヴァイスであっても、それが経験豊かなプロによるものであれば、にわかに説得力を増す。今回のアンケートは、「住宅ローンの契約に当たっては、慎重の上にも慎重を期して計画を立てるべき」だという、とても良いサジェスチョンとなったのではないだろうか。
調査時期: 2022年7月15日〜2022年7月16日
調査対象: 職業・業種関連項目が金融業界に該当するマイナビニュース男女会員
調査数: 100人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません