園児の送迎バスでも車内置き去りが一定数発生
送迎バス編の調査では、回答した267名のうち約5.6%の15名が「直近1年間で送迎バスに園児を残したまま車を離れた」と答え、その内3名は、園児を車内に残していることを認識していなかったという。
加えて、回答者全体の約2%にあたる5名が、車内に置き去りになった園児に熱中症の症状が見られた経験があると回答した。
車内置き去りの改善に対しては半数以上が悲観的な回答
「車内に園児だけが残されることは、今後も発生すると思うか」との問いに対しては、現状と同じか、もしくは今後増加するとの回答が過半数を占め、悲観的に捉えられていることが示されたとする。 これについて堀内氏は「送迎バスでの車内置き去りを無くすためには、既存の運用ルールに加え、何かしらの対策が必要だ」と語った。
車内置き去りが発生する理由については、全体の約65%が「担当者の意識が低いから」と回答する一方、送迎バス添乗員の回答では、半数以上が「人手不足」を理由に挙げた。
置き去り防止システム導入には現場と管理者で意向に隔たり
車内の子ども置き去り検知を検知するシステムについて、「そのようなシステムがあれば導入してほしい」とする回答は全体の約8割に上る一方で、車内センサなど既存システムの認知度は約3割にとどまった。
また、送迎バス運転手や送迎バス添乗員など現場に携わる回答者はシステムの導入を希望する割合が大きいのに対し、送迎バスの運行管理者は導入希望の割合が小さく、現場と管理側で意向に乖離が見られるとしている。
堀内氏はその要因として、管理者が抱えるコスト負担への懸念があるとする。実際に、システムの導入に積極的な回答者を対象にした「車内置き去り防止システム導入にいくらまで支払うか」との質問では、送迎バスの運行管理者は運転手や添乗員に比べ、無償~10万円程度までという回答の割合が大きい結果となった。
根強い「注意していれば防げる」との意見
園児の車内置き去り防止システムを送迎バスに搭載することを義務化すべきか、との問いに対しても、現場に携わる運転手と添乗員に比べ、運行管理者の方が「義務化されるべきである」と答える割合が小さかった。
「義務化されるべき」以外の回答を行った人に対し、なぜ義務化は必要ないと考えるかを尋ねる質問では、回答者の約65%が「気を付ければ防ぐことができるから」と答えたとのことで、これについて堀内氏は「車内への園児置き去りは誰にでも起こりうる問題であることの啓蒙が必要だ」と語った。
子どもの車内置き去り事故ゼロを目指す姿勢を強調
三洋貿易の平澤光康氏は「我々は、子供の車内置き去りについて、誰にでも起こりうる事故であると考えてきた。これらの事故を無くすには、保護者だけでなく、子どもを取り巻く社会全体で事故のリスクを正しく認識する必要がある」とし、子どもの車内置き去り事故をゼロにすることを目指す姿勢を強調した。
2022年9月26日修正:「車内に園児だけが残されることが、なぜ起こると思うか」の調査結果について、当初提供された画像データに間違いがあったため、当該画像を修正させていただきました。