具体的には、粒状物質による砂山地形が用意され、その頂点を回転軸として回転させ、粒状物質の砂山の斜面形状がどのような変化をするのかについて、さまざまな粒状物質を用いた計測が行われた。
例えば、回転による遠心力荷重の履歴依存性を調べるため、回転数を徐々に増加させ(最大で容器壁面において遠心力が重力の22倍となるまで)、その後、徐々に回転数を減少させ、その際の回転中の粒状斜面形状における変化を捉えるため、独自の回転観察装置が開発され、それを用いて撮影が行われた。
これらの調査から、この斜面形状変化を重力・遠心力・摩擦力のバランスによるモデル形状で説明することに成功。実験結果のフィッティングから得られた摩擦係数の値が、回転荷重の操作履歴や遠心力と重力の比によって変化することが確認されたという。
なお、今回の研究から、粒状物質の摩擦特性の重力・遠心力依存性やその履歴依存性が評価され、摩擦特性の変動が大きくないことや、粒状斜面の変形が表面付近で局所的に起こることが判明したという。これらの成果について研究チームでは、小惑星の形状進化や表面地形変形の議論のキーとなることが期待されるとしているほか、粉体材料の遠心力を利用したハンドリングなどは産業界で多く用いられており、今回の研究成果はそれらのプロセスの理解や効率化にも資することが期待されるとしている。