スポーツバイクの祭典「第30回シマノ・バイカーズフェスティバル in 富士見パノラマリゾート」が7月30日、31日の2日間にわたって長野県諏訪郡富士見町の富士パノラマリゾートにて開催された。

「南アルプス山麓」「八ヶ岳山麓」「諏訪湖周辺」を舞台に、MTBからグラベル、ロードツーリングまでさまざまな種目が実施され、2日間で延べ約1500人が参加した「シマノ・バイカーズフェスティバル」。今回は新型コロナウイルスの影響で2019年以来、3年ぶりに開催となった本イベントの様子をレポートする。

グラベルバイクをフィーチャーしたレース種目も

自転車乗りの祭典「シマノ・バイカーズフェスティバル」は、オフロードを含むサイクルイベントとしては国内最大規模を誇るサイクリストの夏の定番イベント。今年で30回目の開催という節目を迎えた。 メイン会場は初心者から上級者、老若男女を問わず楽しめる日本有数のMTBフィールドとして利用され、全日本選手権などの各種レース会場として知られる長野県富士見町の富士見パノラマリゾート。長い距離と変化に飛んだコースで「アジアのダウンヒルの聖地」「マウンテンバイクの聖地」として、海外にも知られている。

メインイベントは2日間を通して行われるレース種目。「シマノ・バイカーズフェスティバル」は関東近辺での数少ないダウンヒルイベントとしても注目が高く、富士見パノラマリゾートの環境を活かし、脚力や経験を問わず多くの人が楽しめるユニークなレースが実施される。

大きくクロスカントリー種目とダウンヒル種目に分かれ、ダウンヒル競技にはチームで参加する種目、アップダウンのあるコース設定で総合力が求められるDHエンデューロなど3種目を開催。男子50歳以上のクラスを新設した。 クロスカントリー競技では、近年人気を博しているグラベルバイクやシクロクロスなどを念頭にした耐久系種目として、90分エンデュランス「ドロップハンドルクラス」を新たに追加。ドロップハンドルを備えたオフロードバイクで参加できる種目で、ソロや2~3人のチームでの参加が可能となった。

耐久レースでは富士見パノラマに特別に用意された周回コースを利用し、60分/30分XCマラソンや2時間/4時間エンデュランス、ビギナーXCや小学生を対象にしたキッズXCなど、富士見パノラマを中心にオンロード・オフロードを問わずさまざまな種目を用意。 今回から実況・解説を交えたインターネットライブ中継を全種目で実施し、会場に足を運べない人に向けて、レースの模様が配信された。

また、今年は第30回大会の記念として、レース系全種目で30位のレーサーを特別表彰。同リゾートに展示している富士見地区の練習用御柱と組み合わせた特設ステージが、地域色豊かな表彰式を演出した。

フィールドは高原で都内より涼しいとはいえ、厳しい暑さと日差しの中でのレースとなったが、参加者たちは雄大な自然の中でのレースを心ゆくまで満喫したようだ。

大自然を味わえるツーリングもリニューアル

3年の期間を空け、さらに充実したレース系種目だが、自然を楽しめるのもオフロード系バイクの魅力。富士見町を中心とする八ヶ岳・諏訪エリアは1000〜3000メートルの標高に位置し、豊かな自然や歴史ある文化をめぐるツーリング種目も拡充した。

オンロードツーリングではロングライドコースを10年ぶりに一新。2019年まで八ヶ岳絶景ロングライドとして人気を集めたコースは、「七里岩と徳島堰沿いの旧甲州街道を走るロングライド」として生まれ変わった。約25万年前に山体崩壊した八ヶ岳の痕跡である「七里岩」と江戸時代に人力によって築かれた堰を辿るコースを楽しめるライドとなっている。

また、「八ヶ岳・諏訪地方の堰をめぐる絶景グラベルガイドツアー」を新たに追加。富士見町、原村、茅野市を含む八ヶ岳・諏訪地方に張り巡らされ、約200年前から使われ続ける農業用水路「堰」をテーマに、昨今流行の兆しを見せるグラベルロードを走り、地域の歴史に触れる新たなロングライドだ。

「富士見E-MTBガイドツアー」では、E-MTBを所有している人だけでなく、レンタル付きのプランも用意。電動アシストツーリングは2018年より実施されており、E-MTBの特性を活かした特設コースと富士見町の豊かな自然を楽しめる。

前回大会で初登場したツーリング後に電車やバスで会場まで戻るお手軽な「ワンウェイツーリング」と「八ヶ岳山麓パン屋めぐりライド」は、今年も継続登場した。「八ヶ岳山麓パン屋めぐりライド」は、八ヶ岳山麓西南部の自然を満喫しながら八ヶ岳の名物ベーカリーでこだわりのパンを購入。スタッフが回収後、ゴールで受け取ることができる “手ぶらライド”が楽しめるという。

試乗会やバイカーズマルシェなどサブイベントも充実

日本最高峰のオフロードパークで最新の機材を気軽に試すことができるのもシマノ・バイカーズフェスティバルの大きな特徴のひとつだ。 試乗コーナーには多彩なブランドの最新バイクが勢揃いし、林道や舗装路、アップダウンなど、実際の走行に近い環境で試乗できるコースを設置した。「2.6kmメインコース」「MTB専用シングルトラックコース」「E-MTB専用コース」の3コースがあり、メイン試乗コースの距離は試乗コースとしては日本トップクラスの距離を誇る。

また、シマノサポートライダーはじめとするプロライダーが講師を務めるさまざまなスクールも実施された。例年行われる初心者向けの「MTBスクール」では、基本姿勢から体重の掛け方など、基礎的なライディングテクニックをレクチャー。大会で使われるXCコースをシマノサポートライダーが一緒に走りながら実技指導を行うスクールや、DH系種目の参加者向けスクール「ダウンヒルスクール」も開催された。

協賛企業による出展社PRブースには完成車はもちろん、コンポーネントやサイクルパーツ、ウエア類など話題の最新モデルや人気アイテムが一堂に会し、サイクルシューズやホイールなどのトライアルもできる。 会場内の出展社PRブースを巡り、豪華賞品が当たる抽選会に参加できるスタンプラリーや、レース出場者なら誰でも参加できる抽選会も土・日の2回にわたって開催された。

加えて、会場にはセロリや赤いルバーブ、高糖度トウモロコシなどの新鮮な地元の高原野菜やこだわりのパンなどを販売するバイカーズマルシェも。会場の駐車場は有料オートキャンプエリアとなっており、宿泊者やレース参加者の食料補給にも活用されたようだ。

シマノが開催する夏のサイクルイベントは、鈴鹿サーキットを駆ける「第37回シマノ鈴鹿ロードレース」も8月20日・21日に開催予定。オンロードのレース種目がメインとなる本大会も2019年以来3年ぶりの開催となる。 シマノ鈴鹿ロードレースでは、リアルイベントだけでなく新たな試みとして、バーチャルライドアプリ"ROUVY"を活用したバーチャルイベントも同時に開催されるという。