帝国データバンク(以下、TDB)は8月15日、「ゾンビ企業」の属性分析の結果を発表した。それによると、ゾンビ企業率の高い地域は「東北」、業種は「小売」で多いことがわかった。
ゾンビ企業率、最も高い地域は「東北」
2022年7月27日に発表した「ゾンビ企業」レポートでは、国際決済銀行(BIS)の定義に基づき、TDBの企業財務データベース「COSMOS1」からゾンビ企業1万2,037社を抽出、ゾンビ企業率は11.3%、ゾンビ企業数は企業概要データベース「COSMOS2」により全国16.5万社と推計した。今回、この1万2,037社の属性について多角的に分析した。
ゾンビ企業を規模別にみると、売上規模別では「1億〜5億円未満」(44.4%)が最も多く、約3分の2が年商5億円未満の中小企業であることが判明。従業員規模別では「6~20人」(36.9%)が最多となり、20人以下の企業が約7割に上った。
10年ごとに区切った業歴別にみた場合、一番多かったのは「50~59年」(15.4%)で、業歴30年以上が全体の7割超に達した。
企業の収益力を示す「売上高経常利益率」の平均はマイナス3.59%で、倒産企業のマイナス4.07%に近似していることが明らかになった。
借入負担を示す「有利子負債月商倍率」は10.39倍で生存企業(5.41倍)の約2倍。一方、金利負担を示す「借入金平均金利」は1.26%で生存企業(1.16%)と同等だった。
業種別のゾンビ企業率をみると、「小売業」(17.4%)がトップ。以下、「運輸・通信業」(14.9%)、「製造業」(12.9%)と続いた。
地域別のゾンビ企業率は、「東北」(16.0%)、「中国」(13.3%)、「四国」(12.9%)、「北海道」・「九州」(各12.7%)の順となった。同調査では、「『東北』については、東日本大震災からの復興に伴う資金繰り支援策や返済猶予措置などがあり、他地域に比べ借入負担が増加していることが背景にある」と分析している。
取引金融機関別のゾンビ企業率は、「信用組合」(13.8%)と「政府系金融機関」(12.5%)が高い結果となった。