日本テレビ系大型特番『24時間テレビ45』(27日18:30~)のスペシャルドラマ『無言館』(同21:00頃~)の監督・脚本を務める劇団ひとりがこのほど、取材に応じ、キャスト陣への印象を語った。
戦争で亡くなった画学生(=美術学校の学生)の作品を集めた実在する美術館「無言館」設立のために全国を駆け巡ったある男の物語で、実話をもとに描く同ドラマ。「無言館」の開館にむけて立ち上がる主人公・窪島を演じる浅野忠信について、ひとりはその表情に魅了されたという。
「脚本を書く段階で、ものすごく想像を膨らませながら、いろんな可能性を考えているのですが、やっぱり現場で役者さんが演じると、自分が想像していた以上のものがよく見られますよね。浅野さんはそれが多分にあります。そんなにここは長く見せるつもりはなかったのに、浅野さんの顔があまりにも心情をうまく語ってくれるから、想定よりも少し長くなるとか、そういうことが多いですね」
今作は浅野のほかにも、窪島とバディを組んで絵を集める洋画家・野見山暁治役の寺尾聰、戦没画学生の遺族・恋人役の大地康雄、笹野高史、でんでん、由紀さおり、檀ふみと、名優たちがそろった。
「今回は、僕がその方々にイメージを持ってオファーしているので、『こういうお芝居をやってください』と押し付けるというより、本当に微調整だけさせていただいた形です。おそらく、皆さんの得意ジャンルであるお芝居を見せてもらっていると思うので、画に困ることはないです」と、全幅の信頼を寄せて撮影に臨む。
具体的に、「ちょっと寄り(アップ)の画が増えちゃうかなと思います。ベテランの方々は、カメラが寄ったときの表情に、何とも言えない哀愁があったりするんですよね」と話し、「今回の作品は、役者さんの力が存分に見える作品になるのではないかと思っています」と力を込めた。
こうした名優たちを撮ることに、撮影前は「どれくらい(指示を)言っていいのだろうか…」と身構えていたそうだが、その心配は初日から払拭。
「寺尾さんは『気になったとこあったらどんどん言ってね。何回でもやるよ』と言ってくれたり、浅野さんも僕がイメージを話したら、それをうまくいくまで何度もやってくれて。ベテラン俳優さんは頑固で、僕みたいな新米監督の話なんて聞いてくれないんじゃないかと勝手に思ってたんですけど、そんなことはなくて、皆さん懐が深くて、純粋にいいお芝居をするということに関して妥協せず協力してくださるので、すごくやりやすいです」と、充実の表情を見せた。
一方で、戦没画学生・日高安典役で、IMPACTors/ジャニーズJr.の影山拓也、日高が出征する直前まで絵を描いていた雪江役で、女優・モデルの八木莉可子というフレッシュなキャストも出演。影山については、「現役のアイドルにこんなことを言うのは申し訳ないんだけど、今どきの顔じゃなくて、昭和の好青年の顔をしてるんですよね。ドラマ初出演とのことでしたが、そうとは思えないぐらい堂に入ったお芝居をしてくれて、安心感がありました」と印象を語る。
八木のキャスティングは、運命の出会いだった。
「このドラマの衣装合わせで日本テレビに来たんですけど、その帰りにエレベーターに乗ったら、そこのテレビにそうめんのCMが流れてて、それに出てる子が雪江のイメージにぴったりだと思ったんです。そのまま地下駐車場で『そうめん CM』で検索したら八木莉可子さんの名前が出てきて、すぐプロデューサーに『この子がいいんですけど』ってお願いして、オファーしたら快諾していただきました」
実際に撮影に入ると、「まあ美しくて、本当に神々しかったんですよ。将来とんでもない大物になる人の最初を今見てるんじゃないかなって思うくらい、カメラを通すとすごく絵になる方でした。目のお芝居がすごく上手で、これって役者さんの重要なスキルだと思うんです。どうしてもみんな、声とかしゃべり方に頼りがちだけど、『目は口ほどに物を言う』とはよく言ったもので、目というのがいかに大事かというのを、無意識なのかもしれないけど、分かっているんじゃないかという感じでした」と絶賛。
そんな若い2人の演者に、「すごく新鮮に演じてくれたし、この2人の擦れてなさみたいなものが、若い男女の空気感をすごく醸し出してくれたなと思います」と手応えを語っている。