多くの人がいつかは直面する「相続問題」。「遺産をめぐるトラブル」などは、ドラマなどでありがちなテーマですが、実際に当事者になってみて、はじめてその大変さを実感する人も少なくありません。今回はマイナビニュース会員310人に「相続」についてアンケート。相続で苦労したエピソードについて聞いてみました。
Q.相続する際に大変だったエピソードや親族と揉めたエピソードがあるほうは具体的に教えてください
兄弟と揉めた
「弟と配分で揉めたので、連絡しないで手続きをすすめた」(男性/44歳/神奈川県)
「不動産の割合で兄弟と揉めた」(男性/55歳/兵庫県)
「兄弟との配分争いがきつかった」(男性/51歳/島根県)
親族と揉めた
「亡くなった親の兄弟が出しゃばってきたこと」(男性/50歳/大分県)
「同居もせず、遠方に住んでいた親族が、ありもしない預金や動産をあったと言い張り、大騒ぎして大変だった」(男性/ 59歳/奈良県)
「相続の取り分で揉めて、仲が良かった親戚と疎遠になった」(男性/46歳/兵庫県)
「父親が亡くなってあれこれの相続の問題が生じたが、異母兄弟が遠くに二人おり、一人とは円満に話ができたが、もう一人とは普段から疎遠気味で、分与などのことで大もめした」(男性/69歳/島根県)
不動産や土地の分け方で揉めた
「田舎なので土地の境界線が曖昧で、境界線と対峙する土地の所有者と揉めた」(男性/52歳/大阪府)
「土地の取り分に家族の同意がないといけないので大変でした」(男性/53歳/大阪府)
多かったのは、相続で揉めたというエピソード。それまで付き合いが全くなかった親戚が突然首を突っ込んできたり、仲が良かった兄弟が相続問題をきっかけに仲たがいしてしまうといった声も。土地の境界線があやふやであったり、土地が分配しにくい形でひと悶着という声もありました。親戚やきょうだいが多いと、同意を取り付けるにもかなり苦労するようです。
手続きが大変
「法務局の書類のチェックが厳しく、やり直しになった」(男性/56歳/神奈川県)
「親族の数が多く、各地に散らばっているので書類を揃えるのに手間と時間がかかった」(男性/60歳/福岡県)
「大変多くの親戚にも、迷惑をかけられないので、相続放棄をお願いしたので、親戚まわりだけでも大変でした」」(男性/48歳/群馬県)
土地を相続する場合、親の出生時から遡って戸籍謄本を取得しなければなりません。転居した数が多く、本籍地がそのたびに変わっていると、その街ごとの戸籍謄本が必要になるため、すべて揃えるために手間と時間がかかります。相続放棄の手続きをする場合は、期限内に家庭裁判所に申述することが必要。手続きのほか、親戚や兄弟にも同意を取ることも必要で、神経をすり減らす日々が続いたことでしょう。
手続きやトラブル対応が大変だったという声が多く寄せられた今回のアンケート。スムーズに相続を完了させるためには、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。次は、実際に相続に苦労した人から、今後相続される人に向けて、相続のために準備しておいたほうがいいことや心構えを聞いてみました。
Q.これから相続される人へ向け、準備しておいたほうがいいことや心構えはありますか?
公的書類の作成
「相続財産目録や法務局に出す書類について書式などを学習するといいと思います」(男性/51歳/茨城県)
「しっかりとした遺言書があることによって、手続きがスムーズにいく」(女性/55歳/岩手県)
「公正証書を作成しておくこと。土地などの固定資産税の通知書に記載されている書類を大切に保管しておくこと。そこに記載されている土地の場所を把握しておくと、後日売却してもよいかなどが分かりやすい」(男性/64歳/千葉県)
「最低限、資産・負債の明細(目録)の事前の作成は必須。ベースがあれば、あとは分割協議の問題だけなので…」(男性/59歳/奈良県)
多かったのは、事前に提出する書類を確認しておくということ。今は相続に関する情報は書籍のほか、ネットでも収集できるので、今から学習しておいてもいいかもしれません。また、親族や兄弟間のトラブルを防ぐために要式を守った遺言書を作成することも大切。しっかりサポートしてくれそうな弁護士など専門家を今から探しておくのもよさそうですね。
話し合いをしておく
「現金以外のものがある場合は、事前に話し合っておいたほうがいいと思います」(男性/50歳/静岡県)
「日本は『縁起でもない』と言って相続の話し合いをしない文化があるが、相続の話し合いは生きてるうちに絶対にしろ!人は突然に死ぬこともある!」(男性/42歳/香川県)
「親が元気なうちに、取引のある金融機関や印鑑を確認しておけばよかった」(男性/57歳/神奈川県)
「親が認知症になる前にとことん話し合うべき。兄弟姉妹がいるなら全員で」(女性/29歳/東京都)
親が元気なうちに相続のことを話し合うのは、心情的に憚られるという人も多いのではないでしょうか。でも相続で苦労した人の多くは「元気なうちに話し合いを」と強くすすめています。親戚や兄弟が顔を揃える帰省時に、話し合ってみてもいいかもしれません。
借金など負の遺産の把握をする
「ちゃんとした会社ではないところ以外に借金をしていないか、調べておいたほうがいいと思う。私の姉は知らないうちに保証人にされていたりで大変だった」(女性/49歳/北海道)
「借金の有無や連帯保証人になっていないかなど、負の財産については完璧にしておくべき」(男性/42歳/埼玉県)
「財産管理、借金もきちんと管理してください。本当に大変です」(男性/58歳/福島県)
中には、亡くなったあとに親の多額な借金や連帯保証人であったことが発覚したケースも。相続放棄すれば借金返済のリスクをなくすことができますが、放棄せず一定の期限が過ぎると、子が親の借金を背負わなければなりません。そんなことにならないよう、あらかじめ借金の有無や連帯保証人になっていないかきちんと確認しておくことが必要ですね。
まとめ
「異母兄弟や疎遠になっている親戚とトラブル」「兄弟の仲が悪くなった」など、まるでドラマのようなエピソードが寄せられました。1人っ子の場合は兄弟間のトラブルはない分、相続に関する手続きはすべて自分1人で行わなくてはならず、「とにかく大変」としみじみ吐露する人も。揃える書類や親類に合意を取るなど手間のかかることも多いため、事前に財産・負債の詳細といった情報を集めておいたり、相続に関する知識を身に付けておくと、スムーズに手続きが進みそうです。
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調査時期: 2022年7月26~27日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 310人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
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