日立製作所は、駅係員による車いす・白杖などの利用者を対象とした列車乗降サポート業務を支援するクラウドサービス「移動制約者ご案内業務支援サービス」をリリースした。6月から「JR九州あんしんサポートネット」のシステム基盤として、先行して提供開始されている。
「移動制約者ご案内業務支援サービス」は、電話や口頭伝達を主としていた列車乗降サポート業務のプロセスを電子化するサービスに。従来は、乗車駅から電話連絡を受けた降車駅の係員が詳細を紙の連絡票に記録し、記録内容を参照しながらホームで利用者を迎える流れとなっており、係員の業務負荷軽減などに課題を抱えていた。
日立製作所がリリースした支援サービスは、利用受付から駅係員間の連絡・引継ぎ、乗降サポートの実績管理といった一連の業務をスマートデバイス上で完結できる点が特徴。経路(列車番号)や乗車位置、車いすの場合はその種類(手動・電動)などの乗車情報を乗車駅側がスマートデバイスに入力すると、降車駅側にプッシュ通知で連絡が入り、乗降駅間のスムーズな連携が可能になるという。
このサービスの前身となるシステムは、2017年に西武鉄道と共同で開発し、同年度のグッドデザイン賞を受賞した「車いすご利用のお客さまご案内業務支援システム」。その後、使い勝手の検証やシステムの強化を行い、2020年には小田急電鉄で「お客さま介助システム」として導入されるなど、実績を重ねてきた。今回、SaaS化したことでさらに初期導入負荷を軽減し、今後は幅広く鉄道事業者への提供を開始するとしている。