DXによるラボ効率化を可能とするラボ情報管理システム「SLIMS」
これまで同社はラボのDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に向け、さまざまなツールを提供してきた。代表的なものとして「OpenLab CDS2」や「OpenLab ECM XT」といったものが挙げられるが、これらはラボと分析者を結び付けるツールに留まっていたという。
今回、同社が発表したラボ情報管理システム「SLIMS」は、ラボ、分析者、ビジネスを結び付けることを目的として開発されたもので、電子実験ノート「ELN(Electronic Lab Notebook)」、ラボの試験方法やプロセスの管理・実行システム「LES(Laboratory Execution System)」、研究所や工場の試験業務を統合し管理するシステム「LIMS(Laboratory Information Management System)」の機能を併せ持ったものだという。
Webブラウザベースで利用可能なため、アプリケーションをインストールする必要なく、ラボリソースの登録・追跡・管理、SOP(標準作業手順書)の電子化/ELNワークフローの実行などの目的に応じたモジュールを操作することで必要な機能を実行することができるとする。また、プラグインにより測定機器とのデータ連携が可能なほか、プリセットモジュールを利用することで、従来のLIMSに比べて実装の迅速化が可能になるという。
さらに、例えばサンプル管理の場合、ラボのあらゆるデータを一元化できるため、サンプルに対し、サンプル固有IDを発番し、それにリンクするバーコードを発行。サンプル容器に貼り付けて利用したり、読み取るとサンプル種別、親子・派生関係、受取日、容量、濃度、有効期限、試験状況や結果、詳細な保管場所、業務担当者、使用した試薬などといった情報を瞬時に表示することが可能となるという。
このほか、SLIMSストアというモジュール格納庫があり、共通した作業のワークフロー、基本的なワークフローをモジュールとして搭載。いつでもダウンロードして組み込むことができるという。このSLIMSストアは、ユーザーが開発したモジュールを登録することも可能で、ユーザー自身がそれを活用するほか、外部に向けてそれを公開することも可能だとする。
同社では、OpenLabでは分析しているサンプルの経歴や、SOPの指定などはオフラインで確認する必要があったが、SLIMSを活用することで、それらがデータ化されるため、よりスムーズに作業を進めることができるようになると説明しており、OpenLabとSLIMSを組み合わせることで、ラボにおける分析装置の稼働状況を可視化するといったことが可能になるほか、将来的には、ヒトと装置を結び付け、新たな価値を生み出すデジタルラボの構築を支援できる存在を目指すとしている。
なお、同社は2022年9月7日から9日にかけて千葉県の幕張メッセにて開催される「JASIS 2022」に出展を予定しており、テーマとして「新しいラボのかたちがここにあります」を標榜し、「地球にやさしい、グリーンな製品」「未来を先取り、新しいラボ」「はじめてでも使える、最新の技術」の3つを柱とした展示を実施するとしている。
ポイントとしては、リアルとリモートのハイブリッド展示を行い、ブースでは同社の営業スタッフが中心になって対応しつつ、なにか技術的な疑問がある時などは技術スタッフがリモートで対応する仕組みを採用するとしている。また、デモ(体験)コーナーを設置し、Smart AlertsやCrossLab Virtual Assistを実際に体験できるとするほか、6月に発表したばかりの「6475 トリプル四重極LC/MS」、「5977C シングル四重極GC/MS」、「7000E トリプル四重極GC/MS」、「7010C トリプル四重極GC/MS」といった新製品の実機展示なども行うとしている。さらに、2022年は日本で開発を進めているトリプル四重極ICP-MSが発売から10周年を迎えることから、特別なバナーなどを用意して、日本発技術であることをアピールする予定ともしている。