--学生側から支援について希望が寄せられることなどあるのでしょうか。

ミスミ:学生ものづくり支援では、実施後に毎回アンケートを実施しています。その中で数年前から「5万円分の支援では少ないですね。10万円分くらいあれば……」という意見が多く寄せられました。2021年度に特別支援枠を設けたのは、そんな学生の声を反映してのことです。

--その特別支援枠に選ばれた団体のひとつに、宇宙エレベーターの開発に取り組む神奈川大学のグループ(KUSEP)があります。主要な競技会での部門賞独占や速度記録の樹立など、支援を受けてレベルアップが図れたそうですね。

ミスミ:神奈川大学のグループに限らず応募する多くの学生から、「学生ものづくり支援は、ものづくりには欠かせないプログラム」という声をいただきます。SNSで「機体のこの部分にはミスミの部品を使っている」といった発信をしていただいたり、当社を身近に思っていただいている実感はありますね。

ミスミの支援がなかったら、ものづくりや競技会への参加を諦めなければならなかったという話もあり、それを聞くと、このプロジェクトをやってよかったと感じています。

残念なのは、コロナ禍で一時期、各種大会が中止になって学生たちの腕試しの場が奪われたことです。学校内に入れず、ものづくり自体をストップせざるを得なかった学生も少なくなかったとも聞きました。当社の支援プログラムは続けていただけに、学生のことを思うとつらいものがあります。

  • 神奈川大学のKUSEPは、ミスミの支援プログラムを活用しながら宇宙エレベーターの製作を行っている

    神奈川大学のKUSEPは、ミスミの支援プログラムを活用しながら宇宙エレベーターの製作を行っている

ミスミが見据える学生支援と今後のものづくりとは

--学生を支援する目的やメリットはなんですか?

ミスミ:当社では学生ものづくり支援のほかに、二足歩行ロボット格闘競技大会「ROBO-ONE」の協賛や国際ロボット競技会に参加する中高生チーム「SAKURA Tempesta」の活動支援などを行なっています。

すべては若手人材の育成に尽きますね。学生ものづくり支援が、未来の製造業を担う方々を応援するプログラムとなるよう、常に意識し開催しています。学生時代から当社のECサイトを利用することで、機器や部品を選ぶ楽しさや即日納品の快適さなどを体感していただきたいという思いもあります。

学校で自らものをつくる機会はそれほど多くないとも聞きます。若いときに関わったものづくりの経験が、各人のその後の活躍につながり、さらに製造業の発展へと広がっていくといいですよね。ものづくり支援の開始から10年以上が経ち、当初の学生が中堅エンジニアとなってものづくり業界を牽引しているのだと思うと嬉しい限りです。

  • ミスミはROBO-ONEへの協賛などを通じ、ものづくり業界への支援を続けている

    ミスミはROBO-ONEへの協賛などを通じ、ものづくり業界への支援を続けている

--今後の学生支援とものづくりの未来をどのように考えていますか。

ミスミ:繰り返しになりますが、当社のものづくり支援を通じて、学生の方々が未来の製造業を背負って立つ人材になればいいなと思います。そんなエンジニアが増えていくことで、製造業全体が盛り上がる一助になることを願っています。

支援する学生が口々に「将来はエンジニアになります!」と力強く語る姿をたくさん見てきました。そんな学生の声は私たちも励みになりますし、そこにミスミが貢献できているのだと感じています。

2022年度も学生ものづくり支援を実施予定

2022年度の学生ものづくり支援の公募は10月中旬ごろから開始予定。応募資格や選考基準、支援内容なども現時点では例年同様だという。 ものづくりにかける熱いメッセージが未来のエンジニアたちから届く時が、今年もすぐそこまで来ている。