MMD研究所は8月9日、法人向け携帯電話の利用実態調査の結果レポートを公開した。レポートによれば、社用携帯電話の現在利用は大企業が42.1%、中小企業が30.4%で企業規模により利用率に差が出ているという結果だった。また、社用携帯電話を利用する従業員の側には、「個人用と2台持ち歩くのが面倒」といった不満があるという。
携帯電話の会社支給は大企業が10ポイント以上多い。中小企業は個人携帯をそのまま利用
大企業と中小企業のそれぞれについて、社用携帯電話の利用状況を聞いたのが次のグラフ。「現在利用している」と答えたのは、大企業で42.1%、中小企業で30.4%という結果だった。「過去利用していたが、今後利用したいとは思わない」の回答は、大企業でも中小企業でも5.3%で同じ。「現在利用している」「過去利用しており、再度利用したいと思う」「利用したことはないが、利用したいと思う」を合わせた前向きなスタンスは、大企業で52.9%、中小企業で45.9%と、実際の導入率よりも差が縮まっており、中小企業では導入の意思がありつつも費用面や運用面の負担から導入に至っていないという状況がうかがえる。
個人所有の携帯電話に業務用の電話番号を付与する形で業務に使用しているかどうかについては、大企業で13.6%、中小企業で13.0%が「現在利用している」としており、その他の回答も大企業と中小企業で大きな差がない。端末を購入するのにくらべて、導入コストが低いためだろうか。
個人所有の携帯電話で、私用の電話番号を業務に利用することについては、大企業の58.0%、中小企業の62.2%が「現在利用している」と回答。運用・セキュリティを考えれば決して望ましくない形ではあるが、この形をとっている企業は少なくないようだ。
業務用携帯電話についての不満は、会社支給携帯と個人携帯で違いが
業務で利用する携帯電話に対する不満を、前述の3つの導入形態ごとにまとめたのが次の表。会社支給の携帯電話がある場合は「個人用携帯と合わせて2台の端末を持ち歩くのが面倒」が、個人携帯で会社用番号を利用する場合は「仕事とプライベートの切り替えがしにくい」が、個人携帯で個人番号を利用する場合は「料金が個人負担」が、それぞれ20%超で1位となった。総じて、個人携帯を業務に利用している場合、会社用番号を使っていても個人番号を使っていても不満の内容には大きな差がなく、会社から端末を支給されている場合は2台持ちであることや自由度の低さに不満が出るようだ。
導入にあたっては大企業のほうが重視するポイントが多く、慎重
業務用携帯電話の導入にかかわっている担当者が重視するポイントをまとめたのが次の表。上位となる項目に大企業/中小企業で若干の違いがあるが、全体として大企業のほうがそれぞれの項目を重視すると回答した比率が高く、中小企業よりも多面的に評価して導入を検討しているといえる。
業務用携帯電話導入の予定がないとした回答者にその理由を聞いた結果が次のグラフ。「社員の個人所有の携帯電話で事足りるから」が20.8%でトップ、「費用対効果を感じられないから」「パソコンなど、他のデバイスで事足りるから」がいずれも19.5%で2位タイという結果だった。セキュリティやワークライフバランスの問題から個人所有の携帯電話を業務に使うことを避けるのが近年のトレンドではあるが、まだまだ個人所有の携帯電話を業務にも利用することは続きそうだ。