売上高が前年同期を超える
カシオ計算機は8月3日、2023年3月期第1四半期の決算発表をライブ配信した。2023年3月期第1四半期実績は、売上高613億円、営業利益は48億円。利益率は7.9%となり、売上高は前年同期を上回った。
一方で、利益率・経常利益・当期純利益は前年同期を下回った。この状況をカシオは次のように分析している。
いわゆるコア事業である時計・教育・楽器事業において、前期第四四半期においては急激な外部環境変化により収益性が悪化、これが現在も継続している。
- 原材料高騰(電子部品・機構部品)および物流費の高騰
- 中国におけるゼロコロナ政策継続による主要都市ロックダウン、実体経済減速に伴う消費マインドの冷え込み
- ロシア・ウクライナ情勢
こういった状況を受け、カシオは下期正常化を推進中。事業ごとに収益改善に向けた取り組みを行っており、現在、コア事業の収益性は改善傾向にあるという。
時計事業においては、欧米や東南アジアのエリアと比べて、日本や中国市場での影響が大きく感じられる。が、中国では、TikTokや大手ECで高いブランドランキングを維持していることや、ジェンダーレス・トレンドを取り込みG-SHOCKの女性販売比率を拡大していることなど、市況の改善・回復に伴う材料と準備は着々と整っている。
日本市場においても、MR-GやMT-Gシリーズを中心としたG-SHOCK高価格帯やOCEANUSの新製品が好調に推移。オクタゴンケースの「GA-2100」シリーズとその進化モデルも、スマッシュヒットと呼ぶにふさわしい人気を博している。さらに、2023年には40周年を迎えるG-SHOCKのメモリアルイヤーも控えており、イベントやキャンペーンなどのグローバル展開も期待される。
なお、カシオは時計事業収益改善の一環として「G-SHOCKラインアップ強化と売価適正化を図る」としている。これについて詳細を聞いてみたところ、「原材料費や物流費など製造コストが上昇しているため、下期以降の新製品について売価見直しを検討している」(カシオ計算機 執行役員 IR担当 田村誠治氏)とのことだった。