ポイントは、骨や軟骨の発生・形成に関与することが知られている、TGF-βファミリーに属するサイトカイン「BMP-4」の発現を制御すること。そして、iPS細胞を振盪浮遊培養することで機械的に刺激を与えることだという。
具体的には、マウスiPS細胞に抗生物質誘導性BMP-4発現遺伝子トランスポゾンベクターを非ウィルス的に導入し、容易にBMP-4の発現が制御可能なiPS細胞株が樹立された。BMP-4遺伝子の発現を制御したiPS細胞を振盪浮遊培養条件下で軟骨細胞へ誘導すると、約4週間後には高度に成熟した軟骨様組織が得られたという。また、この軟骨様組織をラット膝関節軟骨欠損モデルに移植すると、腫瘍を形成することなく、関節の軟骨および骨組織の再生が確認できたとする。
なお研究チームによると、試験管内でiPS細胞から軟骨組織を迅速に作製する技術は、再生医療のコストダウンや効率化につながることが期待され、関節などの軟骨の再生医療に貢献するだけでなく、創薬研究の分野への応用も期待されるとしている。