今回発見されたロス508bは、同プロジェクトで初めて発見された系外惑星であり、同時に赤外線分光器を用いた系統的探査で発見された世界初の系外惑星でもある。地球から約37光年離れており、太陽の約1/5の質量の赤色矮星ロス508を公転している。
このロス508bは地球の約4倍の最低質量で、太陽系には存在しない、地球と天王星・海王星の巨大氷惑星の中間に当たるスーパーアースに分類される惑星とされる。同惑星の中心星からの平均的な距離は、地球~太陽間(約1億5000万km)の約0.05倍で、太陽系なら水星軌道(約5800万km)よりもさらに太陽に近く、わずか750万kmしかない。公転周期は当然短く、この星の1年は地球の約11日にしかならない。
また同惑星は楕円軌道を持つ可能性が高く、それも同星系のハビタブルゾーンの内縁部を回っているという。もしそれが正しければ、半分以上の日数はハビタブルゾーンよりも内側、残りがちょうどハビタブルゾーン内に収まるという。
ハビタブルゾーンにある惑星は表面に液体の水が保持されやすいため、生命を宿す可能性があると考えられている。赤色矮星の極近傍を回る惑星は、放射線の強い影響などの問題もあるが、ロス508bについては今後、赤色矮星の周囲を回る惑星の生命居住可能性について検証するための重要な観測対象となると研究チームでは説明している。
また、惑星と恒星の距離がとても近いため、現在の望遠鏡では直接撮像観測のための解像度が不足しているが、将来的には、現在建設が進められているTMTなどの次世代30メートル級望遠鏡による生命探査の観測対象となるだろうとも研究チームでは説明している。
なお、これまで赤色矮星の周囲の惑星は、プロキシマ・ケンタウリbを含めて3個しか知られていなかったが、IRD-SSPによって、引き続き新たな惑星が発見されることが期待されるという。