JR東日本は、利用の少ない線区に関する2019・2020年度の経営情報を開示。全区間が開示対象(平均通過人員2,000人/日未満)となった花輪線では、荒屋新町~鹿角花輪間の営業係数が2019年度「10,196」、2020年度「14,499」と、2年連続で10,000以上となった。

  • 花輪線の列車は好摩駅からIGRいわて銀河鉄道に乗り入れ、盛岡駅まで運転される

営業係数は「各線区の営業費用を運輸収入で割り、100をかけた値」で、100円の収入を得るためにかかる費用を示し、「100」未満は黒字、「100」を超えたら赤字とされる。花輪線は好摩~大館間を結ぶ路線で、列車は好摩駅からIGRいわて銀河鉄道に乗り入れ、盛岡駅まで運転。JR東日本は好摩~荒屋新町間・荒屋新町~鹿角花輪間・鹿角花輪~大館間の3区間に分け、経営情報を開示した。

3区間の中でも、岩手県・秋田県の県境をまたぐ荒屋新町~鹿角花輪間の利用がとくに少なく、2019年度の平均通過人員は78人/日。運輸収入は約700万円、営業費用は約7億5,600万円で、収支はマイナス7億4,900万円、収支率は1.0%だった。営業係数は「10,196」で、久留里線久留里~上総亀山間(営業係数「15,546」)に次いでワースト2位。経営情報を開示した中で、2019年度の営業係数10,000以上はこの2区間のみだった。

コロナ禍の影響を受けた2020年度、荒屋新町~鹿角花輪間の平均通過人員は60人/日で、前年度よりさらに減少。運輸収入は約400万円、営業費用は約7億1,600万円で、収支はマイナス7億1,100万円、収支率は0.7%だった。営業係数は「14,499」で、経営情報を開示した中で陸羽東線鳴子温泉~最上間(営業係数「22,149」)、磐越西線野沢~津川間(営業係数「17,706」)、久留里線久留里~上総亀山間(営業係数「17,074」)に次ぐ数値に。陸羽東線や磐越西線との共通点として、県境をまたぐ区間の経営環境が厳しいことをうかがわせる結果となった。