自分の給与が同年代と比べて高いのか低いのか気になる方も多いでしょう。年齢が上昇すると給与も上がると言われていますが、実際はどのような推移になっているのでしょうか。
今回は厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」の結果から、年齢別の平均給与額を紹介します。性別や学歴によって上昇傾向にも違いがあるので、あわせて解説します。
賃金の定義について
統計調査の結果を見る前に、賃金の定義についてまとめます。この調査の賃金とは、6月分の所定内給与額の平均のことを意味します。
所定内給与額とは、あらかじめ定められている支給条件、算定方法によって、6月分として支給された現金給与(控除前)です。ただし、以下のような超過労働給与は含みません。
・時間外勤務手当
・深夜勤務手当
・休日出勤手当
・宿日直手当
・交代手当
年代×性別:男女計の平均賃金は30万円、50代でピークを迎える
◆年代×性別の賃金(単位:千円)
年代 | 男女計 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
年代計 | 307.4 | 337.2 | 253.6 |
~19歳 | 182.5 | 185.6 | 177.3 |
20~24歳 | 213.1 | 215.4 | 210.7 |
25~29歳 | 246.2 | 253.3 | 236.2 |
30~34歳 | 275.8 | 290.5 | 248.5 |
35~39歳 | 305.0 | 327.0 | 260.0 |
40~44歳 | 328.0 | 357.6 | 269.9 |
45~49歳 | 344.3 | 382.8 | 270.9 |
50~54歳 | 366.2 | 412.1 | 277.9 |
55~59歳 | 365.5 | 413.6 | 273.3 |
60~64歳 | 292.8 | 318.1 | 234.4 |
65~69歳 | 259.8 | 274.8 | 222.2 |
70歳以上 | 243.3 | 256.5 | 210.1 |
上の表は平均給与(月額)を、性別×年代別に表したものです。全体の平均賃金はおよそ30.7万円、男性は33.7万円、女性は25.3万円です。
給与のピークについて、男性は50代後半で41.3万円、女性は50代前半で27.7万円です。男性は30代後半で30万円代に到達しますが、女性はいずれの年代でも30万円に届いていません。
男女の賃金の差を見ると、20代ではそれほど大きな開きはありませんが、30代から差が大きくなります。40代後半では11万円の差、50代後半では14万円の差になり、男女の賃金格差が存在することが分かります。
年代×学歴別:年代が上がると学歴による賃金の差も顕著に
◆年代×学歴別の賃金(単位:千円)
年代 | 大学院卒 | 大卒 | 高専・短大卒 | 高卒 |
---|---|---|---|---|
年代計 | 454.1 | 359.5 | 289.2 | 271.5 |
~19歳 | - | - | - | 182.5 |
20~24歳 | 245.0 | 229.4 | 210.7 | 199.0 |
25~29歳 | 278.8 | 260.7 | 236.7 | 224.1 |
30~34歳 | 345.2 | 301.2 | 257.3 | 247.1 |
35~39歳 | 425.3 | 346.0 | 279.4 | 265.3 |
40~44歳 | 490.4 | 386.1 | 297.1 | 283.1 |
45~49歳 | 538.2 | 426.9 | 311.2 | 301.6 |
50~54歳 | 611.2 | 484.5 | 336.2 | 310.4 |
55~59歳 | 657.1 | 485.1 | 339.3 | 314.5 |
60~64歳 | 606.9 | 371.8 | 277.4 | 252.1 |
65~69歳 | 611.5 | 352.0 | 262.8 | 226.8 |
70歳以上 | 543.6 | 383.0 | 257.0 | 216.6 |
年齢による賃金上昇が顕著なのは大学院卒と大卒です。大学院卒は50代前半で60万円以上、大卒は40代後半で40万円以上になります。
ピーク時の賃金の差を見ると、50代後半で大学院卒と高専・短大卒の差は32万円、大学院卒と高卒では34万円もの差があります。年齢が上がるにつれ、学歴による賃金の差が大きくなっていることが分かります。
年代×雇用形態別:正社員と非正規では10万円~20万円近くの差がある
◆年代×雇用形態別の賃金(単位:千円)
年代 | 正社員 (男女計) |
正社員以外 (男女計) |
正社員 (男性) |
正社員以外 (男性) |
正社員 (女性) |
正社員以外 (女性) |
---|---|---|---|---|---|---|
年代計 | 323.4 | 216.7 | 348.8 | 241.3 | 270.6 | 195.4 |
~19歳 | 183.9 | 167.9 | 186.9 | 168.9 | 178.6 | 166.8 |
20~24歳 | 216.6 | 183.0 | 218.0 | 187.8 | 215.0 | 179.2 |
25~29歳 | 250.9 | 204.9 | 256.7 | 212.8 | 242.2 | 198.9 |
30~34歳 | 283.7 | 207.6 | 295.6 | 218.7 | 258.6 | 199.4 |
35~39歳 | 315.9 | 208.3 | 333.4 | 225.1 | 274.5 | 197.4 |
40~44歳 | 341.8 | 210.2 | 364.6 | 230.4 | 288.1 | 200.2 |
45~49歳 | 361.3 | 209.9 | 390.5 | 236.2 | 292.6 | 199.2 |
50~54歳 | 388.4 | 212.0 | 422.6 | 246.9 | 305.6 | 196.1 |
55~59歳 | 393.0 | 210.5 | 428.6 | 242.8 | 305.3 | 192.8 |
60~64歳 | 329.8 | 248.8 | 351.6 | 274.7 | 272.2 | 197.8 |
65~69歳 | 299.2 | 224.2 | 310.0 | 240.9 | 268.6 | 186.9 |
70歳以上 | 280.1 | 205.6 | 291.3 | 218.6 | 248.6 | 176.2 |
正規・非正規別の数字を比較すると、ほぼどの年代でも給与の差が付いていますが、50代後半で差が最も大きくなっています。男性では18万円以上、女性では11万円以上の差があります。
非正規の数字を見ると、男女ともに年齢が上がっても年収があまり伸びていません。40代・50代になっても、男性は年収200万円台、女性は190万円~200万円程度の状態が続いていることが分かります。