米Mozillaは、7月26日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 103」をリリースした。Firefox 102から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 102では、2022年7月6日にマイナーバージョンアップの102.0.1がリリースされている。102.0.1では、以下の変更が行われた。
- Windowsのファイルエクスプローラーでドロップ&ドロップすることによるブックマークショートカットの作成で壊れる問題の修正
- ダークモードで開いたときにブックマークのサイドバーが白く点滅する問題を修正
- 英語と非ラテン語系の両方のコンテンツで多言語スペルチェックが機能しない問題の修正
- 開発者ツール:最後に表示されたメッセージが評価結果の場合、コンソール出力が一番下までスクロールされ続ける問題を修正
- Firefoxを閉じるときにCookieとサイトデータを削除するチェックボックスが起動時に無効になる問題の修正
- さまざまな安定性に関する修正
セキュリティアップデートは行われなかった。ESR版の102.1.0では、7月26日に4つのセキュリティアップデートが行われた。したがって、今回は、102.0.1からのアップデートとなる。
Firefox 103のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 103は、図2のようになる。
新規に、Firefox 103をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 103の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- macOS版:最新のロックAPIに切り替えることにより、CPU負荷が高い状態でも応答性が向上
- PDFビューワーで、入力必須フィールドが強調表示されるように
- 高リフレッシュレートモニター(120Hz以上)のパフォーマンスが向上
- ピクチャーインピクチャー(PiP)機能を改善。PiPウィンドウから直接、字幕のフォン- サイズを変更できるように。さらに、PiPでの字幕は、Funimation、Dailymotion、Tubi、Hotstar、SonyLIVで利用できるように
- ツールバーのボタンに対し、[Tab]キー、[Shift]+[Tab]キー、および矢印キーを使用してアクセスできるように
- Windowsの「テキストを大きくする」アクセシビリティ設定が、システムのフォントサイズに適用されるのではなく、すべてのUIページとコンテンツページにも対応するように
- Windows 10、11:インストールの際にWindowsタスクバーにピン留めされるように。これにより、インストール後にFirefoxをすばやく起動することが可能に
変更点は、以下の通りである。
- フォームコントロールからテキストをコピーするときに、改行しないスペースが保持されるようになり、想定外の改行を防ぐ
- Linux版:DMA-Bufを介したNVIDIAバイナリドライバーでのWebGLパフォーマンスの問題を修正
- Webコンテンツのローカルストレージの処理によってFirefoxの起動が大幅に遅くなる可能性がある問題の修正。これは、プラッターハードドライブと重要なローカルストレージを使用するユーザーに影響を与える
- 証明書でSHA-1署名を許可するオプションが削除された。SHA-1署名は、すでに安全でないと判断されてから久しい。その判断をふまえてのものだ
ツールバーのボタンへのアクセスは、以下の通りである。
- [Ctrl]+[L]キーでアドレスバーへ移動
- [Tab]キー、[Shift]+[Tab]キーでツールバーのグループ間を移動
- 目的のグループに移動後は、左右の矢印キーを使用してグループ内のボタンを移動
- 目的のツールバーボタンに移動後は、[Space]キーもしくは[Enter]キーによりボタンをアクティブにする
- [F6]キーでツールバーからウェブページに戻る
- Windows限定:メニューキーもしくは[Shift]+[F10]キーでボタンのコンテキストメニューにアクセス可能に
UIなどの大きな変更はなかったが、ユーザビリティの改善がいくつか行われた。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で8件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が2件、上から3番目の「Moderate」が4件、もっとも低い「Low」が2件となっている。
「High」では、
- Firefox 103で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 103とFirefox ESR 102.1.0で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。最高レベルの「Critical」はないが、早めのアップデートをすべきであろう。