加藤桃子清麗へ里見香奈女流四冠が挑戦する第4期清麗戦五番勝負(主催:大成建設株式会社)の第2局が7月22日(金)に新潟県新潟市「ホテルオークラ新潟」で行われました。結果は93手で里見女流四冠が勝ち、五番勝負の成績を2勝0敗としました。
本局は先手番の里見女流四冠が得意の中飛車を採用します。対する加藤清麗は居飛車穴熊に組みました。里見女流四冠は33手目▲1七桂から桂を活用して、加藤清麗の居飛車穴熊に攻撃を開始します。以下は1筋で双方の桂香が総交換となりました。後手の居飛車穴熊はだいぶ薄くなっていますが、先手も本来は守備駒となる右辺の桂香を攻めに使いましたので、形勢としては互角の範囲です。ただ、ここからの順で先手は攻めあぐねた感があり、形勢は徐々に後手の加藤清麗持ちになっていきます。
優位に立った加藤清麗ですが、このまま守勢を維持して受けつぶしを目指すか。それともどこかで反撃に出るべきか。どちらも有力そうなので選ぶのが難しいところ。68手目に指された△5七銀は後手からの反撃手でしたが、代えて△3三銀打と受けるべきだったと振り返っています。局面はまだ後手が指しやすいのですが、受けの順と比較するとお互いの玉の危険度がより増しています。77手目▲4四角から次の▲1三角が勝負手で、2枚の角で後手玉頭をにらんでいます。
この直後、加藤清麗に痛恨の見落としがあり、一気に里見女流四冠が逆転しましたが、逆転に至る道を作ったのは間違いなく直前に指された2枚の角でしょう。この角の威力で後手玉の受けがいっぺんに難しくなったのです。
里見女流四冠は2連勝で、清麗奪回と女流五冠復帰へ王手をかけました。次局第3局は8月3日(水)に愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われます。男性棋士との公式戦も含めて、まさに勝ちまくっているといえる里見女流四冠ですが、そうなると必然的にハードスケジュールの懸念が生じます。清麗戦に加えて挑戦を決めた白玲戦。女流棋士として初めて8大タイトル戦の本戦に出場した棋王戦。そして8月から始まる棋士編入試験。厳しい対局日程をこなしての戦いぶりにも要注目です。
相崎修司(将棋情報局)