大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、主演の小栗旬演じる北条義時の従弟で盟友・三浦義村役を演じている山本耕史。義村は悩める義時をクールにフォローしつつ、常に利害関係を頭に入れて動いてきた冷静な知恵者でもある。そんな義村について、本作の脚本を手掛ける三谷幸喜氏は「もしかしたら三浦義村は、ラスボス的な意味合いを持つ役かもしれない」という意味深発言をしている。

  • 『鎌倉殿の13人』三浦義村役の山本耕史

源頼朝(大泉洋)亡きあとの鎌倉幕府で、頼朝の嫡男・頼家(金子大地)を次の“鎌倉殿”とする新体制作りを始めた義時たち。いよいよタイトルの『鎌倉殿の13人』を示す鎌倉幕府の集団指導体制が発足された。これまでに、義村が北条や比企に後れを取っていることに業を煮やし「三浦の家は、このままでいいのか」と父・義澄(佐藤B作)に詰め寄るシーンも描かれたが、今後の義村の動向とは!?

そんな義村について三谷氏は「本当に不思議な人で、なんだかよくわからないんです」と明言を避ける。

「どの局面においても、何を考えているのかわからない。人を裏切ってばかりの人ですが、そういう面白さも生かしたいと思っています。そして、やはり演じる山本耕史さんの魅力によるところも大きいです。山本さんには、毎回僕の大河に出ていただいていて、土方歳三や石田三成などを演じてもらいました。それで今回は、どんな役がいいだろうと考えた時、あのつかみどころのない、なんだかよくわからないけどかっこいい三浦義村役をぜひやってもらいたいと思いました」

三谷氏が手掛けた『新選組!』(04)の土方歳三は、香取慎吾演じる主人公・近藤勇の幼なじみにして盟友であり、『真田丸』(16)の石田三成は、いわば『鎌倉殿の13人』の義村と同様に、堺雅人演じる主人公の真田信繁(幸村)の好敵手的なポジションの役どころだった。義村も含めて、三者ともかなり重要な役どころに違いないが、そのキャスティングからしても、山本と三谷氏との信頼関係の厚さがうかがえる。

「僕は大河ファンですが、昔から見てきた大河の中に、主人公の友人というか、味方なのか敵なのかよくわからないけど、ずっと一緒にいるというポジションの役があるんです。加藤剛さん主演の大河ドラマ『風と雲と虹と』(76)で、山口崇さんが演じられた平貞盛役もそうでした。主人公である平将門の親友で、なんとなく品があって、少し気高い感じもありつつもうさん臭くて、頭はいいけど信用できない感じ。今回はそういうイメージの義村を、ぜひ山本さんに演じていただきたいと思いました」

ここへ来て、御家人の権力争いとしては、北条家VS比企家の二強の構図が際立ってきたが、そこに義村ら三浦家がどう食い込んでくるのだろうか!? 歴史書『吾妻鏡』をベースにしつつ、三谷氏ならではのオリジナルストーリーが、どうその余白を埋めていくのか、楽しみでならない。

脚本を書く時、息の長い主要キャラクターについては、最初から決め込まずに描いていくという三谷氏。義村についても「いまだにどんなやつなのかよくわかってない人物」と捉えているからこそ「これはもう、最後までどんなやつなのかがわからない感じを貫いてほしい」と、役の方向性について語る。

「歴史を知っている方なら皆さんご存知だと思いますが、ここから義村は暗躍していきますから。そしてせっかく山本さんに演じてもらうのだから、最後の最後に、義村の最大の見せ場を用意するつもりです。まだ言えませんが、物語の終盤、ラスボス的な存在で主人公に立ちはだかるのはこの男かもしれません」と三谷氏。まだまだ先が読めない展開が続きそうで、とてもワクワクする。

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